輸入車の値段はどのように決まっているの?
- 筆者: 清水 草一
輸入車の値段はどのように決まっているの?
ここ数年、ドルとユーロが安くなって、日本の円が大変強いです。でも、こんな最中でも輸入車の値段はそれほど下がったようには思えません。アメリカで安く車を購入して、日本に持って帰ればいいのに、と思っても、それを実行している人が少ないのを見ると、それなりに理由がありそうです。
また、そもそも、どういった仕組みで輸入車の値段は決まっているのでしょうか。最近、日本車をやめて、輸入車を買いたいと思っているので、興味があります。よろしくお願いします。(ヤマグチさん)
其の疑問、MJブロンディがお答えいたします!
ユーロ経済危機の影響で、ここわずか1年余りの間に、円に対してユーロは3割近く値下がりしてしまいましたね。
フェラーリ458イタリアを例に取ると、正規輸入車の価格は2830万円ですが、ヨーロッパの現地税抜き価格は2000万円を切っています。その分、日本のインポーターは丸儲け……なのかと思いきや、現在、ヨーロッパの本社と日本のインポーターとは、ほとんどの場合円建てで契約を結んでいるので、インポーターとしては値下げしたくてもできません。丸儲けは本社に行く、という形になっています。
ま、丸儲けとは言いましても、もともと日本は、先進国としては信じがたいほど輸入車が売れない国でして、自動車販売台数のわずか4%程度を占めるのみ。日本向けの輸出事業はもともと赤字だったというところも多いでしょうから、今回の円高でどれほどの利益が出ているかは定かではありません。
では、輸入車の日本での価格はどうやって決めているのかと言いますと、現在と過去の通貨レートの実績から勘案し、かつライバル車の価格も勘案し、いろいろな要素を組み合わせて決めている「はず」です。「いまユーロが安いんだから大幅に値下げすべきじゃないか!」そう思われることでしょう。しかしそれをやると、逆にユーロが急激に高くなった時は、価格を大幅に上げなくちゃなりません。そうすると一気に客離れが進んでしまいます。ディーラーとしてはおまんまの食いあげです。そんな不安定なディーラー業じゃ、おちおち経営してられません。
クルマのような高価格商品は、値段が社会情勢によって大幅に変動すると、販売台数が非常に不安定になります。客にとっても投機的な部分が大きくなってしまい、「今ユーロが安いから買い時だ!」「今買うのは得策じゃない」と言った感じで、まるでFXでもやるような感覚でクルマを買わねばなりません。
そういったことを避けるために、輸入車の価格は、数年単位でゆっくり見直すのが通例になっているんですね。本社側としては、丸儲け?になる時期もあれば、丸損?になる時期もある。本社が為替変動を吸収することで、インポーターやディーラーの経営の安定を図っているということです。
しかしまあ、それだけじゃ理解を得られない部分もあるので、円高の時期はスズメの涙ほど価格を下げたり、標準装備を充実させたりすることで、顧客にサービスすることも多いです。はは
MJブロンディの「ひとりごと」
現在のような円高の時期には、高額な輸入車は並行輸入した方がはるかに安く買えるので、並行輸入業者が活躍します。しかし並行輸入の台数は、そんなに多くはなりません。やはり多くのユーザーは、保証やら整備の面で安心な正規ディーラーでクルマを買うことを望んでいるのです。
並行輸入車を買うのは、クルマに精通し、正規ディーラーに頼らなくても維持できる人脈のようなものを持っている人、というのが通例ですね。さらに個人輸入となると、手続きがきわめて複雑なので、「クルマの達人」級の人しか実行していません。
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