高速の渋滞では左車線の方が速い?
- 筆者: 清水 草一
- カメラマン:清水草一
高速の渋滞では左車線の方が速い?
先日、テレビを見ていたら清水先生が登場して、「渋滞では左車線が速い」と言っていました。
さっそく実践してみたところ、確かに最初は左車線が速かったですが、そのうち同じになってしまいました。あれは本当なのでしょうか?
其の疑問、MJブロンディがお答えいたします!
「左車線が速い」というのは極言のしすぎでしたね。「左車線が速いことが多い」と言うべきでした、スミマセン。
TBS『がっちりアカデミー』で言ったように、高速道路の渋滞は、まず追い越し車線から始まります。これは交通学会でも定説の、渋滞の鉄則です。
道路が混雑してくると、平均速度が徐々に下がってきます。すると、速く行きたいクルマが次々と追い越し車線に割り込んできて、追い越し車線の交通量が他の車線より多い状態になります。最終的には、追い越し車線が交通容量を超え、“サグ”をきっかけに渋滞が始まるんです。
追い越し車線で渋滞が始まると、そこを走っていたクルマの一定割合が「うわ、たまらん」という感じで左に逃げてきます。それで後続車がブレーキを踏みます。そうやって左側車線にも渋滞が“伝染”して、全体が渋滞するのです。
つまり、渋滞の震源地は常に追い越し車線。よって、「渋滞では左車線の方が速い」というのが原則になるわけです。
ただ、渋滞にはケースバイケースの要素も多々あるので、いつも左車線が速いとは限りません。例えば夕方の渋滞は、帰宅するクルマが大部分です。すると、渋滞の途中のインターで降りるクルマの方が多い。つまり左車線はクルマの台数が徐々に減るので、左が速い度合いが高くなります。
一方朝の渋滞は、これから出かけるクルマが大部分。渋滞の途中のインターから、多くのクルマが高速に乗り入れてきます。すると、左車線はどんどんクルマが増えます。この状況では、左車線が速いという原則が崩れることがあります。
高速道路が途中で狭くなっている(車線数が減っている)場合は、「割り込まれる側」の車線より「割り込む側」の車線の方が流れが速くなります。一箇所で交互に割り込みが行われれば、速さはどちらの車線も同じになりますが、実際にはいろんな場所で好き勝手に割り込みが行われるので、結果として割り込む台数の方が多くなります。つまり、消える車線にいたほうが速いわけです。
中央道上り線は、上野原インター手前で片側3車線から2車線に減っています。ここは、左車線が右に合流して「消える」形なので、左車線にいたほうがかなり速いです。
しかし、舞鶴若狭道の福知山インター手前のように、右車線が左車線に合流して消える場所もあり、そこでは右車線が速い。
どっちの車線が消されるか、ポイントごとに覚えておけば、速い車線を選択することができますね。そして大事なポイントは、番組でも言ったように、「合流は最後の最後まで待ってから行った方がより速い」ということ。早く割り込むほど損をします。
すべての人が「最後まで待って合流」を実践するようになれば、左と右の速度差は解消され、左右平等に、全体としてはよりスムーズに流れるようになると言うわけです。
MJブロンディの「ひとりごと」
実はあの番組放送直後の7月の3連休、左車線が速い度合いがぐっと小さくなっていた気がしました。データではなく感覚なので断言はできませんが・・・。
実は、10人にひとりのドライバーがあの番組を見ていて、「左の方が速い」を実践すれば、それでもう左車線が速い要素はほぼ消えてしまうんです!
テレビの影響は恐ろしいですね。
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