軽自動車の上級規格は検討されていないの?
- 筆者: 清水 草一
軽自動車の上級規格は検討されていないの?
軽の上級規格は検討されていないのでしょうか。
リッターカーと軽の中間のニッチな規格で800cc程度で5人乗り。サイズは少しだけ大きく、税金は最小限に高く。インドへの輸出や逆輸入(新マーチの様に)も出来るでしょうし、需要はあると思うのですが。(はらぽん)
其の疑問、MJブロンディがお答えいたします!
はらぽんさんのおっしゃるとおりですね。
軽自動車の規格はイビツでおかしい、という議論は、軽の新規格が施行される以前からありました。が、国土交通省はまったく動く気配がありません。
現在の軽自動車に660ccでは、排気量が小さすぎて、燃費的にはかえって不利です。1,000ccくらいあった方がいいんです。
軽自動車を「多くの国民が必要十分な(=最低限の)利便性と安全性を享受できるクルマ」と考えると、排気量アップが望ましい。エンジンだけでなく、ボディサイズも再検討しないと、そのままでは輸出もできず、グローバルに展開できない。
軽自動車はまさにガラパゴス化しています。貴重な技術開発資源が、日本国内専用の規格に投入されている状況は、日本の産業界全体にとってもマイナスです。実際、多くの軽メーカーが「軽ばなれ」を始めています。
スズキは軽自動車のシェア争いから撤退し、グローバルに展開できる車種に軸足を移しました。スバルはダイハツからのOEMに移行し、三菱も開発は低調です。ホンダですら軽の開発ペースをダウンさせています。頑張っているのは、準「軽専業メーカー」のダイハツだけです。
もはや軽自動車に莫大な開発費を投入しても、回収が難しいという判断がなされつつあるのです。ただ、軽の性能自体は、私の予想をはるかに超えて進歩しているのも確かです。ほんの5~6年ほど前まで、私は「軽ノンターボ車みたいな、トルクのない、燃費の悪いクルマはいらない!」くらいに思っていました。軽は優遇税制だけに支えられた、一種のあだ花だと思っていたのです。
ところが、ダイハツがトパーズエンジンを出した頃から変わってきました。軽は、660ccという排気量のハンデを克服して、実用上必要十分な加速性能とともに、優れた実用燃費性能も手に入れています。
正直「まさかここまでやるとは!」という感じでした。実に頭が下がります。ガラパゴス化とは言え、ここまで性能が高まった軽規格をいきなり大胆に上級移行させるのは、既得権益やユーザーの利便性の面からも不可能でしょう。地方には、田畑のあぜ道など「軽の車幅でないとダメ」な部分もいろいろありますからね。
そこで、はらぽんさんのおっしゃるように、軽と普通車の中間的な新規格を作るのが望ましい。
コンセプトは「グローバルな軽自動車」です。「大人4人+荷物を載せられるベストな燃費のクルマ」を狙って、つまり日本の自動車業界の国際競争力向上をターゲットに新規格を作り、優遇税制を創設するのです。排気量はどこがベストか議論があるでしょうが、排気量で区分けするより、燃費(あるいはCO2排出量)で枠を設けたらどうでしょう。
たとえば、JC08モード燃費でリッター50キロ超!くらいの、ハードルの高さがあっていいかと思います。そしてハイブリッドだろうがディーゼルだろうが電気だろうが、何を使ってもOKにする。これなら年間税額をゼロに設定してもいい。
現在のグローバル経済下では、官民挙げての試みが必要だと私も考えます。
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