【燃費】エコタイヤで燃費は良くなるの?
- 筆者: 清水 草一
- カメラマン:住友ゴム工業株式会社
エコタイヤで燃費は良くなるの?
最近よく、「エコタイヤ」という言葉を耳にします。転がり抵抗が少なくて燃費が良いからエコロジー、という謳い文句です。
ところでその「エコ」って、どれくらいエコなのでしょう。燃費改善のためにわざわざタイヤを買い換えてもモトが取れるくらい、効果のあるものなのでしょうか。
そもそも、本当に効果があるのでしょうか。
その謎、私がおもしろ可笑しくお答えいたします。
エコタイヤは、もちろん効果はある。
ただ、その効果は、残念ながら、一般ドライバーが肌で感じられるほどのものではない。いや、転がり抵抗が減って「よく転がる!」ってのは、ひょっとしたら肌で感じられるかもしれない。
特にマニュアル車の場合、ニュートラルにして惰性で走った時、「おっ、転がる転がる!」ってのが感じやすい。タイヤの空気圧を高くした時にもそう感じられる。
でも、それはあんまり燃費には反映されないものなんだよ。たとえば、タイヤメーカーが一生懸命頑張って、転がり抵抗が10%少ないタイヤを開発したとしよう。
でもそれで改善される燃費は、たったの1%くらい!そんなの、どんな正確な燃費計測をしたって誤差の範囲だろ?「燃費を3%改善」って謳ってるタイヤがあったとすると、それは転がり抵抗を3割減らしたって考えればいい。
それって凄いことだ!!でも燃費にすると、たったの3%なんだよね・・・。転がり抵抗の低いタイヤは、当然グリップは高くない。
昔のエコタイヤってのは、雨が降るとぜんぜんグリップしなくて怖かった。「事故っちまったらエコどころじゃないじゃん!」って感じだった。
最近のエコタイヤは、ゴムにシリカなんかを混ぜてあるから、昔のエコタイヤに比べるとぜんぜん問題はない。でも、今履いてるタイヤの寿命が残ってるのに、わざわざエコタイヤに替えるのは、ぜんぜんエコロジーじゃないしエコノミーでもない。
「タイヤ交換の時期に来たら、次はエコタイヤにしてみようかな~」くらいの気持ちでいいだろう。知り合いに初代プリウスを改造して乗ってた人がいて、タイヤも太いのに替えてたんだ。
エコカーにそんなもん履かせて本末転倒じゃん!って感じだったけどさ。でも、燃費は目立って悪くはならなかったそうだ。タイヤの銘柄だけで燃費を10%悪化させるには、タイヤの転がり抵抗が100%、つまり2倍に増えないといけないからね(あくまでテキトーな計算で、テストしたわけじゃないけど)。
正直な話、俺はタイヤを替えて燃費が変わったってのは、ただの一度も体感したことはない。燃費を向上させるには、タイヤよりもテクニック、つまり「上手なガソリンの使い方」にあるって思ったほうがいいだろう。