VWの新型「ゴルフ8」に迫る!ディーゼル不正から1年、次世代「MEB」で新時代への幕開け(1/3)

VWの新型「ゴルフ8」に迫る!ディーゼル不正から1年、次世代「MEB」で新時代への幕開け
VWが次世代プラットフォーム「MEB」で電動化へ加速 VWが次世代プラットフォーム「MEB」で電動化へ加速 VWが次世代プラットフォーム「MEB」で電動化へ加速 VWが次世代プラットフォーム「MEB」で電動化へ加速 PHVモデルのVW ゴルフGTE PHVモデルのVW ゴルフGTE PHVモデルのVW ゴルフGTE PHVモデルのVW ゴルフGTE PHVモデルのVW ゴルフGTE PHVモデルのVW ゴルフGTE PHVモデルのVW ゴルフGTE 画像ギャラリーはこちら

アメリカでのディーゼル不正問題から1年、VWはどう変わった?

フォルクスワーゲンの本社工場

アメリカでのディーゼル・ゲートから約1年が経ち、その後、フォルクスワーゲンはどう変わったのか?その真相を確かめに、本拠地のあるウォルフスブルクを訪ねた。

ハノーバーから約1時間ほどのドライブで、フォルクスワーゲンの本社工場に着く。戦後間もなくからの歴史を持つレンガ作りの工場と、そこからそびえ立つ4本の煙突が目印だ。

ワークショップの前夜、各国から集まったジャーナリストと忌憚のない意見を交わす。ディーゼル問題を受けて、ディーゼルだけではなく、電動パワートレインに関する動きも顕著だ。ヨーロッパでは次世代の排ガス規制の法制化が進み、EVやPHVの補助金が強化されている。この直前にもドイツの隣国であるオーストリアが電動パワートレインへの補助金制度を整えたばかりだという。

翌朝、伝統ある「ゴルフ」の生産ラインへと足を踏み込む。1950年代から外観は変わらないが、内部は最新の生産ラインへとリノベーションを繰り返して使われ続けている。“e-Mobility”と銘打って開催されたワークショップでは、PHVの「ゴルフGTE」やEVの「eゴルフ」といった電動パワートレインを積んだモデルの生産ライン見学に加え、パリモーターショー2016(通称:パリサロン)で発表予定の次世代プラットフォーム「MEB」を予見する内容にも触れられた。

1.5キロ平方メートルの広大な工場では、プレス、塗装、ファイナルアッセンブリーを一貫して行っており、「ゴルフ」系のモデルに加えて、「ティグアン」や「トゥーラン」を生産しており、1日に2200台もの新車が世に送り出される。1台のクルマが工場に入ってから出来上がるまでに約27時間、1分間に1台が作られる計算だ。

eモビリティを2016年までに10万台以上へ

フォルクスワーゲンの本社工場フォルクスワーゲンの本社工場

「ゴルフ」の生産ラインの特徴は、常に最新設備に刷新されている点だ。通常、自動車のアッセンブリーラインではベースの設備を活かして、設備投資は最小限に抑えることで、コストを下げるのだが、「ゴルフ」ベースモデルの累計生産台数を考えると、設備を一新するほどの大規模投資ができるのだろう。

ここでは、最新の生産管理システムであるインダストリアル4.0の導入はもちろん、デジタライゼーション、人間とロボットが共に働くことに配慮した新世代ロボット、そしてエンジン車に混じってeモビリティを生産する混走生産が可能だ。

実際に生産ラインを見学すると、エンジン車の「ゴルフ」の生産ラインの中に、8~10台に1台くらいの割合でPHVの「ゴルフGTE」やEVの「eゴルフ」が流れてくる。外から見るとイマイチ違いがわからないが、ボディの下からパワートレインを取り付ける“マリッジ”の工程では、オレンジの高圧ケーブルが組み込まれた電動パワートレインが取り付けられている。電気じかけの心臓部を組み込まれた「ゴルフ」は、その後も同じラインの中で完成されて、最後に検査を受けて世界中に出荷される。

ウォルフスブルクの工場で一日に生産される電動「ゴルフ」の台数は約80台。加えて、ヨーロッパにある他の2つの工場で「パサートGTE」や「eco Up!」といったeモビリティが生産されている。フォルクスワーゲンでは、2014年に初のEVとなる「eゴルフ」を発売して以降、10機種のEVやPHVを生産している。現在までに累計で6万台を販売し、2016年までに10万台以上への成長を目論む。ノルウェー、フランス、ドイツなどが現在の主要マーケットだ。

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川端 由美
筆者川端 由美

1971年生まれ。大学院 工学専攻 修士課程修了。1995年住友電工にて、カーエレクトロニクスやタイヤの研究にたずさわる。1997年、二玄社『NAVI』編集部に編集記者として転職。2004年からフリーランスの自動車ジャーナリストとなる自動車の新技術と環境問題を中心に取材活動を行なう。エンジニア、女性、自動車ジャーナリストといったハイブリッドな視点でリポートを展開する。国土交通省・独法評価委員会委員、環境省・有識者委員ほか。記事一覧を見る

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