これがトヨタの最先端!今後採用される安全技術を探る/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部/トヨタ自動車株式会社
赤外線レーザーの欠点を補ってくれる単眼カメラ
一方、「赤外線レーザー+単眼カメラ」は、ヴィッツやアクアといった1.5リッター以下のコンパクトカーを中心に設定する模様だ。赤外線レーザー方式は軽自動車にも幅広く使われ、今では2~4万円程度の価格上昇で装着することが出来る。
ただし、赤外線レーザー方式は短距離しか検知できないという欠点がある。軽自動車の場合、先行車両の検知距離は6~8m。従って作動速度は時速30km以下と低く、先行車両を検知したら警報を発する余裕もなく緊急ブレーキが作動してしまう。
そんな赤外線レーザーの欠点を補うのが単眼カメラだ。単眼カメラが加わると、対象物の形状も含めて把握できる距離が約15mと長くなり、早期に危険を検知して警報を発せられる。なので時速80kmまで作動させ、最大約30km減速することが可能だ。
試乗会では、「単眼カメラ+赤外線レーザー」搭載のカローラアクシオハイブリッドに乗り、時速30kmで模擬車両に接近した。
警報が鳴り、次いで自動ブレーキが作動して模擬車両の手前で停止。ちなみに死亡事故の発生頻度は、車両の速度が時速30km以上になると急増する。なので検知範囲が時速80kmまで高まるメリットは大きい。
日産のノートやセレナは単眼カメラ方式で、赤外線レーザーやミリ波レーダーは使わず、作動の上限速度を時速80kmとした。
以上のように「単眼カメラ+ミリ波レーダー」と「単眼カメラ+赤外線レーザー」では、単眼カメラの役割が微妙に違う。ミリ波レーダーでは遠方の車両も検知できるため、単眼カメラは歩行者や白線の認識に使うが、赤外線レーザーは検知範囲が短いから、車両を早期に発見する役割も担う。
センサーの取り付け方法は、「赤外線レーザー+単眼カメラ」はユニットが一体化されて、フロントウィンドウの内側に収まる。
「ミリ波レーダー+単眼カメラ」は、カメラがフロントウィンドウの内側、ミリ波レーダーはフロントグリル(エンブレム)の内側と分割した。そのために後者はスペースが必要だが、今後は小型化も進み、コンパクトカーにも「ミリ波レーダー+単眼カメラ」を装着することを考えて欲しい。
スバルのアイサイトは、以前は10万5000円で安いといわれたが、レヴォーグでは、グレード間の装備差を補正すると7万円程度で装着されている。そしてレクサスRCのミリ波レーダー方式が6万4800円で設定されたことも考えると、全車に標準装着して量産効果が得られれば、「ミリ波レーダー+単眼カメラ」で5万円程度に抑えることも可能だろう。
このほかの衝突を回避する機能としては、「インテリジェントクリアランスソナー」も公開された。後退時などに障害物との間隔を検知して、衝突の危険が生じると自動ブレーキを作動させる。
ボディの四隅にカメラを装着して、車両を周囲から見た映像としてとらえる機能も改善され、車両周囲の安全確認がさらに容易になった。
夜間ドライブ時の安全性を確保する機能としては、LEDアレイAHSが披露された。
LEDヘッドランプだが、ハイビームについては「通常/高速/住宅地」の配光パターンがある。一番の特徴は、前述のカメラセンサーを使うことで、対向車が接近してきた時に対向車両の部分だけをロービームにできること。周辺の視界を確保しながら、対向車のドライバーを眩惑させない。
シェードによって対向車を照射する部分だけ隠す方法もあるが、LEDアレイAHSでは、ハイビーム用に片側11個、両側では22個のLEDランプを装着。対向車の部分だけ照度を落として眩惑を防ぐ。アウディA8などと同様の方法だ。
このほか高速配光用LEDランプも装着され、時速80km以上では、遠方まで明るく照らすことが可能。路上の障害物も早期に発見できる。
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