トヨタ ランドクルーザー 70シリーズ 30周年記念モデル(バン&ピックアップ) 発表会レポート
- 筆者:
- カメラマン:島村栄二 レポート:オートックワン編集部
世界中のありとあらゆる道で活躍する「ランクル70(ナナマル)」
低燃費のコンパクトカーからレクサスブランドの高級車に至るまで、実にキメ細かい車種展開で世界TOPのシェアを誇るトヨタ。4年に一度のハイペースでフルモデルチェンジを繰り返し、日々ユーザーの要望を取り入れ「カイゼン」の手を休めず、格段の進歩を遂げている。
その一方で、30年も同じモデルが継続し販売されているのをご存知だろうか。そう、ご覧のクロカン四駆「ランドクルーザー70」(ランクル・ナナマル)だ。
しかし誤解して欲しくはない。ランドクルーザー70が、決して進歩やカイゼンの手を休めているというワケではない!ということを。
ランクル70が活躍するのは、世界中のありとあらゆる場所だ。
アフリカ・タンザニア、広大な大地を駆け巡る野生動物を密猟から守るレンジャー団体。南米ボリビアで、標高3500mの高地にあるウユニ塩湖へと観光客を運ぶ送迎車。極寒の北極圏アイスランドで、巨大氷河の上で活躍する雪上レスキュー隊・・・
高地の岩場、灼熱の砂漠、極寒の雪原と、世界のありとあらゆる条件下の道なき道で、日夜ランクルは人や物資等を運んでいる。そんな場所では、ちょっとした故障が生命の危機へと直結するのだから、求められるのは何よりも「信頼性」「耐久性」「悪路走破性」。ランクル70は、他のトヨタ車のように数年スパンで姿かたちこそ大きくは変わらなくても、世界中の過酷な走行状況に耐えうるためのカイゼンと進化を続けてきた。30年の歴史は、世界中からその高い実力を認められ続けているからに他ならない。
期間限定で10年ぶりの国内復活、しかも初のピックアップモデルも登場!
とはいえここ日本は、ファッション性の高い「SUV」が人気を集めている国だ。そのいずれもが乗用車をベースにスタイリッシュな内外装を与えられ、燃費にも優れている。それは必ずしも4輪駆動ではなく、FFモデルのシェアも高い。タフで重厚な昔気質の本格クロカン四駆ニーズは、年々減ってきているのが事実だ。ランクル70も2004年、ひっそりと日本での発売を中止している。
そんな中でも、少なからずランクルの支持者がいる。「次に乗り換えるクルマがない」との声も市場から上がっていたようだ。トヨタではそんな熱狂的なファンの期待に応え、デビュー30周年記念モデルとしてセミロングホイールベースの4ドアバンモデルと、国内初導入のピックアップモデル(スーパーロングホイールベース・ダブルキャブ)の発売を決めた。2014年8月25日から発売を開始し、2015年6月末生産分までの期間限定受注となる。バンが360.0万円、ピックアップが350.0万円[ともに消費税込み]。2タイプともパートタイム4WDでV6 4.0リッターガソリンエンジンと5速MTという、イマドキ珍しい硬派な組み合わせのみとなっている。
海外向けには月6,000台の安定した生産を続けていたランクル70。国内生産終了の後も大きなマイナーチェンジなどを実施しており、あの頃とはフロントマスクやインパネなども大きく変わっているが、隠し切れない無骨な佇まいは昔のままだ。もちろんハシゴ型フレームによる堅牢さや、前後リジッドサス(前:コイルスプリング/後:リーフスプリング)やパートタイム4WDシステム、前後電動デフロック(オプション)の組み合わせによる高い走破性能は相変わらず。発表イベントに先駆けお台場のMEGA WEBに特設されたタフなオフロードコースを、キレイにアシをさばきながら難なく走破するランクル70。その全身から放つイマドキ珍しいほどの辛口さに、ワケもなく惹かれてしまう方も多いはずだ。
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■トヨタ ランドクルーザー70でオフロード走行![動画:オートックワン TV!]
ランドクルーザーは地上最強のクルマだ!
ランドクルーザー70の復活にあわせ、2014年8月25日にファン向けイベント「ランドクルーザーモーターショー2014」がMEGA WEB[東京都江東区青海]で開催された。もちろん目玉は「70 COME BACKセレモニー」だ。ステージでは、入社以来29年間、一貫してラダーフレームのクルマに携わってきた(!)というランドクルーザー開発責任者であるトヨタ自動車 製品企画本部の小鑓 貞嘉(こやりさだよし) チーフエンジニアや、世界中を旅してきた冒険家のホーボージュンさん、ランクル200を駆り無改造車部門でダカールラリーなどに参戦する三橋 淳 選手などをゲストに呼び、ランクルの魅力について語った。
三橋選手はランクルのタフさについて「地上最強」と表現。ダカールラリーの市販車部門はほとんどがランクルであることを引き合いに出しながら、その「最強のクルマをぜひ手に入れて欲しい!」と語れば、ホーボージュンさんも「ランクルでの冒険を通じ、地球の大きさ、広がりを知った。ぜひランクルで旅に出てください」と、会場へ集まった多くのランクルファンに対しメッセージを伝えた。
ランドクルーザーの歴史は、1951年「トヨタ ジープ BJ型」から始まった
「ランドクルーザーモーターショー2014」では、歴代のランドクルーザーもお台場へ集められた。1951年、長いランドクルーザーの歴史の第一歩を飾った「トヨタ ジープ BJ型」をはじめ、ランドクルーザーの名を世界に知らしめた名車「ランクル40系」、乗用クロカンの先駆けであり現在のランクル200系へと続く系譜を生んだ「ランクル55系」、そして歴代のランクル70系など実に30台近くが展示され、ランクルファンたちの熱い視線を集めていた。
中でも自衛隊の前身である警察予備隊への採用を前提に造られたタフなジープ型4輪駆動車「トヨタ ジープ BJ型」は貴重なモデルで、特に多くのファンがひっきりなしに写真をおさめていた。このBJ型を初代ランドクルーザーと考えれば、1955年デビューのトヨタ クラウンや1957年デビューのプリンス(日産) スカイラインを超え、最も長い歴史を持つ国産自動車となる。また1955年発売の2代目「20系」(「ランドクルーザー」の名はここからスタート)からは、早くも海外への輸出がスタートしている。もう60年も世界の道を走り続けているのだから、トヨタブランドを広めた貢献度はかなりのものだ。その系譜を受け継ぎ、日本で再び復刻したランドクルーザー70。そんな世界の名ブランドを日本で手に入れられる期間は短い。気になる方は迷わずディーラーへ!
[レポート:オートックワン編集部/Photo:島村栄二]
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