トヨタ ランドクルーザー 試乗レポート

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“KING OF 4WD”の原点は北米にあり

ランドクルーザーのプロトタイプは警察予備隊(現自衛隊)の依頼を受けた軍用車。その後、堅牢さと優れた整備性で、北米を中心に世界で高い評価を受けたのが始まりだった。

先代の100系は1998年に登場して、静粛性の高さを代表されるようにヘビーデュティSUV最高のラグュジュアリーモデルとしてポジションを不動のものにした。新しい200系のランクルは基本的なレイアウトを100系から受け継いでいるが、ラダーフレーム、エンジンなどすべてを一新して悪路走破性、オンロードの走行性能、居住性のすべてのレベルアップを図ったものだ。

また昨今のSUVが電子制御化を進めており、ランクルもその例に漏れないが、世界の悪路で活動することを目指したランクルは最後の砦を崩していない。それがラダーフレームであり、リジッドアクスルにも現れている。さてますます冴え渡るランクルの世界、いよいよ試乗を通じて紹介しよう。

力強さと優しさが融合する日本的なデザイン

写真で見たランクル200は100系からそれほど変わったようには見えない。多分読者もそう感じただろう。しかし実車は幾分サイズアップされて、よりゴージャスなデザインで存在感が高くなっている。ランクルの主要な市場が北米や中東であることを考えるとこれでもおとなしい。力強さを優しさを融合させたような日本的なデザインだ。

インテリアは無骨さは極力排除されており、トヨタ流のまとまったデザインだが面白みは乏しい。センターコンソールには5速ATのセレクターが配置され、クロールコントロール(微低速悪路走行モード)なども個々に配置される。これまでの副変速機はダイヤルスイッチになってスターターボタンの下に置かれる。インテリアはこれらのスイッチ類さえ見なければ、高級セダンそのものだ。もちろんシートは3列で8人乗り。さすがにミニバンほどではないが、けっこう3列目も座れるのがランクルなのだ。100系よりさらに広く豪華な室内。200系のアドバンテージは大きい。

静粛性、乗り心地は“LS”を上回るほど

オンロードではAX“Gセレクション”に標準のKDSSが有効に作動する。これは前後のスタビを油圧連結するもので、オンロードではロールを抑えることが出来、オフロードでは連結が解除されて大きなサスストロークが取れるのが特徴だ。実際にハンドルの応答性が良く、これまで以上に乗用車ライクなハンドリングだ。実際に後輪の接地性はリジットの強みを活かして、ストローク、荷重の左右分配とも申し分ない。ただラダーフレームと後輪リジットの組み合わせはさすがにオンロードでは限界があり、不整地などの通過の際はややボディのブルブル感を伴うことがある。また素晴らしいのは静粛性で、この点ではある意味LSよりも優れている。何しろ静かで、しかも乗り心地もゆったりしているのが美点だ。

4WDシステムがコンパクトなトルセンタイプとなり、レスポンスの良さは極め付き。また注目のクロールコントロールは低ミュー路や悪路でジワリと走る必要があるときに効果を発揮する。従来の降坂だけでなく登坂でも歩くような速度でもぞもぞと悪路を這い上がっていくのだ。スタックしそうな場面でも、ハンドルで探ってやるとかなり回避できる優れもので、ドライバーはアクセルからもブレーキからも解放される。ベテランのテクニックを機械が代行してくれるのだ。

粘りのある新しい288PS/45.7kg-mの出力は明らかにこれまで以上の回転の伸びを示し、2.5tの重量でも不足感なく走れる。

機能満載、イージードライブなランクル200は必見

クロールコントロールは自動運転ではないが、かなりの悪路を歩くような速度で移動することが出来る。4輪を駆動と制動を別個に作動させて動くので、もぞもぞと路面を探りながら悪路を脱出できる機能を備える。たとえばスタックしそうな場面でも、ハンドルで路面を探りながら、移動可能な場所を探せるのだ。いきなりアクセルを踏んでアナを掘って事態を悪化させる結果は防げる。ブレーキ、アクセルからアシを離して機械任せで移動する機能だが、下り坂ではブレーキを踏んでも装置が復帰可能だ。これ以上はもはやステアリング舵角センサーなどを組み合わせて、電動パワーステアリングで修正舵をあてるようなものに発展していくのだろう。

気になる見えにくい斜め左方の視界についてもワイドビューフロント&サイドモニターでカバーしている。さらにABSも砂地では自ら砂の壁を作りながら止められるマルチテレインABSをもつ。日本では積雪地でこれらの機能が役に立ちそうだ。

機能満載、しかもイージードライブ化が進んだランクル200。ますますラグジュアリー、ますます快適なトップ・オブ・ザSUVに迫ろうとしている。

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日下部 保雄
筆者日下部 保雄

大学卒業後、モータージャーナリズムの世界へ入り、自動車専門誌をはじめ各媒体に新車の試乗レポートやコラムを寄稿。最近では、雑誌媒体のほかにFMラジオやインターネット自動車情報サイトでも活躍。記事一覧を見る

MOTA編集部
監修者MOTA編集部

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