スズキ ワゴンR・MRワゴンWit 新型車解説(2013年一部改良)-燃費30km/Lへ向上-(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
その内容は、R06A型エンジンに改良を施し、タイミングチェーンの幅も狭めて抵抗を減らしている。CVT(無段変速AT)にも改善を加え、制御の見直しも図った。空気抵抗を抑えるため、エンジンのアンダーカバーも追加装着されている。
薄型ラジエターを採用するなど軽量化も図られ、機能を充実させながら車両重量は増加していない。前述のようにスティングレーXが800kg、標準ボディで売れ筋になるFXリミテッドは790kgとなる。
変更前のJC08モード燃費は、ノーマルエンジンが28.8km/Lだったから、30km/Lになると燃費の向上率は約4%だ。
ノーマルエンジンと併せて、ターボの優れた燃費性能にも注目したい。スティングレーTに搭載されるターボも、従来の26.8km/Lから27km/Lへと向上。マイナーチェンジを受ける前のMRワゴン・エコのJC08モード燃費が27.2km/Lだったから、新しいスティングレーTは、同等の燃料消費量で150%の最大トルク(9.7kg-m)を得ている。
エコカー減税の達成率も優れており、4WDの5速MT車以外の全グレードが免税対象となった。
燃費のみならず、先進の安全装備が安価に装着出来るのもメリット
そしてワゴンRでは、先進の安全装備を装着したことも注目される。
レーザーブレーキサポートは、フロントウィンドウの内部に赤外線レーザーセンサーを装着。前方の先行車両を常に検知していて、時速5~30kmで走行中、衝突不可避と判断すると自動的に緊急ブレーキを作動させる。先行車両との相対速度差が時速15km以内の時には、衝突を未然に防げる場合もある。
レーザーブレーキサポートには、レーザーセンサーを使ったアクセルとブレーキペダルを踏み誤った時に働く誤発進抑制機能も備わる。停車中、あるいは時速10km以下で徐行中に、壁や生け垣に向かってアクセルペダルを強く踏み込むと、エンジン出力を最大で5秒間抑えてペダルの踏み間違いに基づく事故を防ぐ。この機能が働いている時は、ブザーやメーター内部の表示によってドライバーに注意を促す仕組みだ。
このほか、エマージェンシーストップシグナルも採用。時速55km以上で4輪ABSが作動するような急ブレーキを働かせると、ハザードランプが自動的に高速で点滅。後続車両の注意を促す。
車両がスピンやコースアウトを生じる状態になった時、4輪のブレーキを自動的に独立制御して、立て直しを図るESP(横滑り防止装置)も設定されている。
以上のレーザーブレーキサポート/誤発進抑制機能/エマージェンシーストップシグナル/ESPをセットにして、標準ボディのFXリミテッド、スティングレーのXとターボモデルのTにオプション設定した。
オプション価格は4万2,000円。同様の機能を備えたムーヴが5万円の価格上昇だから、ワゴンRは8,000円安く抑えたことになる。一般的な相場をいえば、ESP(横滑り防止装置)だけでも2万5,000円くらいになるから、レーザーセンサーを使った低速域における衝突回避支援機能が、1万7,000円前後で装着出来ることになる。これは安い。
今はスバルがアイサイトの宣伝を積極的に行った成果もあって、衝突回避の支援機能が認知された。ワゴンRも低価格と相まって装着比率を高めるだろう。
なお、ボディの傾き方を制御するフロントスタビライザーは、依然としてスティングレーのみの採用。標準ボディのFXリミテッドにESPをオプションで加えた場合でも装着されない。ESPを装着するなら、フロントスタビライザーも加えることで、相乗効果に基づく走行安定性の向上を図って欲しい。
MRワゴンでは新たに「ウィット(Wit)」が登場
ワゴンRと基本部分を共通化しているMRワゴンもマイナーチェンジが図られた。最も大きな変更点は、ワゴンRと同じく30km/Lまで高められた燃費性能だが、さらに新シリーズとして「MRワゴン ウィット」(Wit)がラインナップへと加えられた。
ウィットは先代MRワゴンにも設定されていたから、復活と表現しても良いだろう。
外観のデザインは、ワゴンRスティングレーのような迫力のあるスポーティ指向ではなく、抑制の利いたメッキグリルなどにより、上質な雰囲気に仕上げられている。LEDを使ったポジションランプの装着も特徴だ。内装はアイボリーとブラウンでコーディネートされ、上質な雰囲気。シートの生地もレザー風の仕上がりで、質感が高められた。
唯一、レーザーブレーキサポートが装着されていないのは残念だ。これは早期に対応して欲しいところ。
なお、ウィットはMRワゴンの標準ボディに対して、おおむね10万円の価格上昇になるが、ウィットにはディスチャージヘッドランプとオートライトシステムが装着されている。
この装備の違いを補正すると、約5万円の価格上昇。エアロパーツは備わらないものの、内装の質感はかなり高まるので、MRワゴンウィットも買い得なグレードといえるだろう。
今後はホンダライフが新しいNシリーズにフルモデルチェンジされたり、タントの一新などが行われる。ライバルメーカーの新型車投入に対応する意味も含め、スズキは先手を打って背の高い軽自動車の商品力を強化した。
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