スバル、コンセプト「VIZIV」に見るパワートレーン戦略、今後の方向性とは(2/2)
- 筆者: 清水 和夫
年々厳しさを増す各国の環境規制に対する戦略とは
自動車メーカーの戦略に大きく影響を及ぼすのは年々厳しさを増す各国の環境規制である。なかでも、差し迫ったテーマは米国カリフォルニア州の排ガス規制(通称ZEV規制)の改正だ。
これまでスバルは規制の対象外だったが、2018年以降はマツダや三菱自動車、Jaguar Land Rover(ジャガー・ランドローバー)、Volvo(ボルボ)とともに規制対象になるため、EVかPHEVを販売してクレジットを得なければならない。
スバルとしては今後も北米市場でビジネスを続けるためには、2018年までにPHEVを出す必要があるが、それで終わりではない。こうした環境規制は今後も強化されると予想される。
スバルでは将来的な規制の変化も踏まえて、どのようなパワートレーン戦略を描いているのか、常務執行役員の前田聡氏に尋ねた。
「いま持っているガソリンエンジンの技術を高めて、さらなる燃費向上のポテンシャルを引き出さなければならないと考えています。たとえば、ダウンサイジングターボの思想を水平対向エンジンに適用するとどうなるのかなど、さまざまなケーススタディを行っているところです。2018年に北米市場でPHEVを出す以上は、その先の話としてEVも考えていかなければなりません。エンジンのポテンシャルを上げ、電動化に取り組みながら、将来の方向性を決めていくことになると思います」
エンジンのポテンシャルを引き出すために、スバルでは基本のディメンジョン(寸法)を見直すところから取り組んでいるという。
「技術的にはエンジン排気量1.5リッターから3.0リッターまで対応可能ですが、競争力という意味では排気量のレンジを見直すところから考える必要があると思っています。たとえば、北米向けアウトバックが高地での走りをキープできるように最低排気量を決めて、それを基に適正な排気量レンジを設定し、そのレンジのなかで水平対向の骨格を決めていくという具合です。現行市販車では1.6リッターが一番小さいのですが、最低排気量はそれよりもさらに小さくなるかもしれません」
さらに、将来的にはストイキ(燃料と空気を理想的な比率で混合した理論空燃比)燃焼から、理論空燃比よりも燃料が希薄なリーンバーンを目指す。リーンバーンでは三元触媒を使えないため、NOx(窒素酸化物)の後処理にコストがかかるが、メルセデス・ベンツはE250でリーンバーンを実用化し、マツダもエンジンの進化の方向性がリーンバーンとの考えを持っている。
最適効率を追求すれば、自ずとリーンバーンに近づいていくものなのかもしれない。
今回披露されたワールドプレミアモデルの名前「VIZIV」とは「Vision for Innovation(革新のための未来像)」を意味する。スバルの将来コンセプトを示すのにこれ以上ないネーミングと言えるだろう。
その名の通りの革新は果たして成るか。今後の動向に期待したい。
[Text:清水和夫]
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