スバル アセント海外試乗|“ランクル並みに大きい” スバルの北米向け3列SUVに乗った!(1/2)

日本にない日本車に北米で緊急試乗!

日本車はワールドワイドで販売されている。理想を言えば、グローバル1スペックで売れるクルマがベストだが、ユーザーが求めるニーズは国によって千差万別である。そんな事から昨今「日本で発売されない日本車」が増えている。今回紹介する「スバル アセント」もそんな一台である。

日本で乗れない日本車のスバル アセントに、ニューヨークオートショー2019訪問のため渡米したタイミングで試乗ができたので報告したいと思う。

スバルの北米ビジネスは大成功を収めているものの、車種バリエーションの少なさが原因で取り込めないユーザー、他銘柄に流れてしまったユーザーが多かったと言う。そのユーザーとは“子育て層”である。そう、家族構成の変化に対応できるクルマがなかったのだ。

いや、厳密に言えば2005年から北米市場をメインターゲットにした3列シートSUV「B9トライベッカ」(2008年以降はトライベッカ)があった。

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現地からの熱烈な要望に応えて再挑戦

※画像はスバル B9トライベッカ(左)と改良型トライベッカ(右)

スバル B9トライベッカは、4代目レガシィの基本コンポーネンツを用いて開発。走りはスバルらしいSUVに仕上がっていたが、北米では中途半端なボディサイズと狭い3列目、3リッターエンジンのパワー不足、そして奇抜(!?)なエクステリアなどでセールスは苦戦。2008年の大幅改良でフロントマスクの刷新や3.6リッターエンジンの導入が行なわれたがすでに焼け石に水で、2014年に生産終了となっている……。

しかし、北米のスバル販売会社から3列シートSUVのリクエストは強く、再挑戦を行なったモデルが今回のアセントというわけだ。

スバル アセントが属する「ミッドサイズSUV」は北米の王道と呼ばれるカテゴリーで、フォード エクスプローラー、トヨタ ハイランダー、ホンダ パイロット、マツダ CX-9、フォルクスワーゲン アトラスなど強豪ひしめく激戦区である。スバル アセントは、北米市場が求める3列SUVの要件を盛り込みながら、スバルらしさをアピールしたモデルとして開発された。

スバル アセントのボディサイズは全長4998×全幅1930×全高1819mm、ホイールベース2890mmと歴代スバル車最大である。ちなみにこの寸法にも意味があり、大人7人がシッカリ乗れるパッケージングとスバルとして最適な走行性能が得られるトレッド(フロント:1635/リア1630mm)から決定されたそうだ。

スバルの最新トレンドに則った内外装デザイン

エクステリアデザインは、スバルのデザイン言語「ダイナミック&ソリッド」を全面採用。イメージ的には2018年にデビューした「フォレスター」(それもアドバンス)の兄貴分と言った雰囲気だが、厚みを持たせた堂々としたフロント周り、ダイナミックなフェンダー処理のサイド、そして高級感を演出したリアと、SUVシリーズのフラッグシップにふさわしい「上質感」や「存在感」をプラス。ボディサイズは大きめだが最小回転半径5.8mで、意外と小回り性が良いのもポイントだ。

スバル アセントのインテリアは、基本レイアウトこそインプレッサ/フォレスターと同じだが、トライベッカを思い出す左右ラウンドの造形により、コクピット感を強めたデザイン。もちろん、SUVのフラッシップと言うこともありソフトパッド&ステッチの加飾の採用など、質感にもこだわっている。インパネセンターはアセント専用で、タッチスクリーン式のモニター(ベースは6.5インチ、上級グレードは8インチ)や3ゾーンエアコンコントロールなどを採用。ハーマンカードン製プレミアムオーディオや北米で展開するテレマティクスサービス「スバルスターリンク」、シートヒーター&ベンチレーション、8個のUSBポート、19個(!!)のカップホルダーと装備も充実している。

スバル唯一の3列シート車、居住性は!?

スバル アセント最大の注目ポイントは居住空間だろう。

絶対的な広さはもちろん、スバルお得意の良好な視界性能、そしてパノラマルーフも相まって数値以上に広く感じる。

実際に座った印象は「より目線が高く、より広くなったエクシーガ」と言った感じだ。

2列目はベンチシートとキャプテンシートが選択可能だが、どちらもシートスライドを最後端にしなくても足元スペースは余裕たっぷり。キャプテンシートなら余裕でウォークスルー可能、ベンチシートなら大人3人乗車も苦にならない室内幅である。更にエクシーガにはなかった後席空調コントロールもシッカリと用意されているのも嬉しいポイントだ。

3列目は170cmを超える人だとヘッドクリアランスはやや厳しいかもしれないが、見た目以上に十分なスペースが確保されている。

また、2列目、3列目と着座位置が高くなるエクシーガ譲りのシアターレイアウトを踏襲しているので閉塞感はない。ちなみにラゲッジスペースは3列目使用時でも504Lを確保する。

水平対向2.4リッターの最新ダウンサイジングターボ「DIT」を搭載

アセントのパワートレインは水平対向6気筒3.6リッターNA(EZ36)に代わるダウンサイジングターボ、水平対向4気筒2.4リッター直噴ターボ(FA24 DIT)を搭載する。

このユニットはFA20 DITをベースにボアを8mm拡大したユニットで、スバルが現在開発中の次世代ダウンサイジングターボシリーズの第一弾となる。基本的な考え方は日本のFA16 DIT(レヴォーグに搭載される1.6リッター直噴ターボ)と同じで、パフォーマンスと環境性能/燃費性能をバランスさせたユニットだ。スペックは264ps/376Nm。

組み合わせられるトランスミッションはおなじみのリニアトロニック(CVT)だが、6気筒用(旧アウトバック)をベースに軽量化/補強/冷却性能(オイルクーラー追加)などを行なっている専用品で、クラス最大級の5000ポンド(約2.27トン)のトーイング性能も実現した。

最新プラットフォームはアセントの全長5mボディも想定済みの設計

プラットフォームはインプレッサ/フォレスター譲りのSGP(スバルグローバルプラットフォーム)を採用する。ちなみにスバルがSGPを開発する上で、最初からその上限をアセントのサイズに定めて設計が行なわれたそうだ。

駆動方式は全車四輪駆動。アクティブ・トルク・スプリットAWD(ACT-4)+Xモードの組み合わせで、旋回性能を高めるアクティブトルクベクタリングも装着される。

スバル アセントの最低地上高はフォレスターと同じく220mmを確保。アプローチアングルは17.6°、ディーパーチャーアングルは21.8°に加え、ヒルディセントコントロールタイヤを用意するなど、SUVとしての性能も抜かりはなし。

装着されるタイヤは全車オールシーズンタイヤで、グレードによって18インチと20インチが用意されるが、試乗車(リミテッド)は245/50R20サイズ。ファルケンZIEX ZE001A/Sを履いていた。

スバルらしく安全支援デバイスも充実しており、「アイサイト」(恐らくバージョン3)と「アイサイトアシストモニター」を全車標準装備。更に上級モデルには後退時自動ブレーキやブラインドスポットディテクション、リアクロストラフィックアラートなどが用意される。

>>アメリカンサイズのスバル アセントだが、走りは大味にあらず[次ページ]

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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