ドキッ！“スバルだらけ”の雪上試乗！WRX STIやレヴォーグ、さらにはスパイクタイヤのBRZまで！(2/2)
- 筆者： 山本 シンヤ
古い機構だが世界的には今だに主流／ビスカスLSD付センターデフ方式AWD
そして3つ目は、現在ではフォレスターの6速MTモデルのみとなってしまった「ビスカスLSD」だ。
前後駆動配分は50：50が基本で、ビスカスカップリングLSDのセンターデフにより差動制限を最適化。スバルのAWDラインナップで唯一電子制御を使わないコンベンショナルなシステムである。かつてはWRX STIにも採用されていた、実績あるシステムでもある。
自然なフィーリングとオールマイティな特性が特徴で、水平対向エンジン＋シンメトリカルAWDの素性の良さを、最も味わいやすい。ハイパワーモデルだと低μ路のタイトコーナーからの脱出でトラクションの遅れを感じることがあったが、ベーシックな2.0L-NAではそれも気にならず。VDC以外の制御はないので、AWDの走りを学ぶにはピッタリな存在と言える。
日本では絶滅の危機に瀕しているビスカスLSDだが、世界に目を向けるとまだまだ主流のシステムだ。
スバル AWDの代名詞ともいえる存在／DCCD（ドライバーズコントロールセンターデフ）方式AWD
そして4つ目は、WRX・STI用のDCCD（ドライバーズコントロールセンターデフ）付きAWD。
モータースポーツユースまで対応するシステムだが、こちらは大幅改良モデルに採用される新DCCDを含めたレポートをお届けしているので、そちらを参照してほしい。
スパイクタイヤ装着のBRZにも試乗
そして最後に、FR駆動のBRZとFF駆動のインプレッサに試乗。
BRZはスタッドレス以外にスパイクタイヤ（！）装着車（スバルドライビングアカデミー用のトレーニングカー）も用意。スパイクはピレリ製で、ヨーロッパから取り寄せたのだそうだ。
ピンの突出量がそれほど大きくないので、雪や氷の上でも鬼グリップではなく、最新のスタッドレス並と言った感じであった。
もちろん、FRならではの操る喜びやコントロールする楽しさを味わう一方、同じ路面でも何事も無く走らせられるAWDの凄さを再認識した。
一方、インプレッサのFFモデルは、トラクションさえ気を使えば想像以上にしっかりと走れてしまうバランスの良さに驚いた。また、AWDよりはリアが流れやすいが動きはゆっくりなのでコントロールもしやすい。シンメトリカルAWDの恩恵は、FFでもしっかりと感じ取れた。
商品性と言う意味では「スバルでFFはないでしょ」と思っていたが、街乗り主体であればFF＋スタッドレスと言う組み合わせもありかと思う。
一口に「AWD」と言っても、そのシステムの機構や構成、仕組みなどは千差万別。逆を言えば、各メーカーの四輪駆動システムを見ると、そのメーカーの走りに対する考え方や思想も見えてくる。
そう、スバル独自のシンメトリカルAWDは「安心と愉しさ」を実現させるためのコア技術なのだ。
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自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る
自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。
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