スバル 新型WRX STIの目玉を垣間見た!新DCCD搭載のプロトに先行試乗(1/2)
- 筆者: 山本 シンヤ
- カメラマン:SUBARU
北米仕様で先行発表された次期WRX、その目玉は”新DCCD”の採用
デトロイトショー2017で世界初公開された大幅改良された北米仕様の新型スバル WRX STI。詳細に関してはすでにお届けしているが、その中の変更項目のハイライトが”新DCCD”の採用だ。当然、今後登場するであろう”D型”日本仕様にも同じアイテムが採用されるのは間違いないが、そもそも、現行のDCCDと何が違うのだろうか?
DCCD(ドライバーズ・コントロール・センター・デファレンシャル)は、一言で説明するならば「モード切り替え電子制御LSD付きトルク配分センターデフAWD」。現行WRX STIのDCCDは電磁式LSD+機械式LSDを組みあわせて前後のトルク配分を制御、前後輪の差動制限を自動もしくは任意で変更可能なシステムである。
DCCD自体は初代から採用されるが、AUTOモードの採用は2代目のアプライドモデルC型(通称・涙目)以降、現行モデルが使用する「電磁式LSD+機械式LSD」仕様となったのはアプライドモデルF型(通称・鷹目)以降、更にAUTOモードの3モード対応になったのは3代目以降である。
実はそこからDCCDは細かい制御の変更はあるものの、進化をしていなかった・・・と言うのが現状である。スバル関係者は「現行モデルではシャシー側を大きくレベルアップさせましたが、AWDシステムに関してはほぼキャリーオーバー。今回はそこにメスを入れた…と言うわけです」と語る。
ついに機械式LSDが廃され”フル電子制御”になった
新DCCD最大のポイントは、機械式LSDを廃し電磁式LSDのみの「フル電子制御」となったことだ。
なぜ、機械式LSDが不要になったのか? それは基本性能の進化だ。
話は2代目に遡る。当時のシャシーは特にリアの安定性に乏しく、安定性を高めるためには前後輪の拘束力を強める必要があった。そのため電磁式LSD+機械式LSDの組み合わせがベストと言う判断だった。しかし、3・4代目でシャシー側の飛躍的な進化が行なわれたことでメカニカルに安定性を高めることが可能になったと言う。その結果、機械式LSDを廃し、コーナリング初期の前後輪の拘束を弱めることで「より曲がりやすいAWD」に変更できた・・・と言うワケだ。
現在、スバル車のMTはWRX STIとBRZ、そしてフォレスター(NAモデル)のみと言う状況。経営的な観点で言えば、販売台数の少ないモデルへの新たな投資は難しいのも本音だろう。しかし、WRX STIはスバルの走りのフラグシップ。スバルの提唱する「安心と愉しさ」をより高みを目指すために、新DCCDの投入は必要不可欠だったはず。あくまでも予想だが、本当は4代目投入時から採用したかったアイテムだと思っている。
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