エコカーの真相/第一回「災害時のエコカー」(1/2)

エコカーの真相/第一回「災害時のエコカー」
日産 リーフの冠水路実験 三菱 i-MiEV 日産 リーフ トヨタ プラグインプリウス パナソニック エーガールズ BE-ENDF632 パナソニック リチウムビビ RX-5U BE-ENDR632R 画像ギャラリーはこちら

ガソリンや灯油などの「燃料不足」で関東全域が混乱

ガソリンがない。灯油がない。

東北地方太平洋沖地震の後、関東全域が燃料不足により大混乱となった。被災地での救援や避難所への物資の配送など、車での移動が困難になる場合も多かった。

東京周辺では、ガソリンスタンドに長蛇の列。

東京湾沿岸の石油コンビナートが生産を中断、千葉の製油所では火災が発生し、関東周辺の高速道路の通行止めなども影響した。

さらには、「もしかすると、東京にも避難勧告が出るかもしれない・・・」という不安感から、ガソリンだけでなく、灯油や食料品の買占めが起こった。

全てが想定外だった。それほど、東北地方太平洋沖地震の規模は大きかった。そうしたなかで、車は無力だった。道路が壊れ、燃料が無く、走ることが出来なかった。

ならば、電気自動車はどうだったか?被災地では当然、停電した。だから電気自動車も無力である。

しかし自治体の中には、ガソリン不足により電気自動車に頼るところもあった。

日産 リーフ三菱 i-MiEV

3月19日、福島県の災害対策本部は地元の日産ディーラーから、電気自動車「リーフ」7台の貸与を受けた。県職員などの移動用として活用。

この他、三菱「i-MiEV」の使用も行うとした。

だがこの場合、航続距離に関する「本当のこと」を、自動車メーカー側が各自治体へ包み隠さず「全てを話す」必要がある。

ヒーターの使用や走行速度によって、カタログへ記載されている航続距離「160km」は、100km以下、80km以下、さらにはそれ以下に激減する場合がある。使用方法による航続距離の大幅な変化について、本来は自動車メーカー側がユーザーに対し、詳細に説明する必要があるはずだ。

だが、「リーフ」の開発担当者によると、公正取引委員会から「ある一部の民間企業が自社の独自判断で(航続距離の変化を)周知することは出来ない」旨の通知を受けた、という。

そうしたことから、結果的に「リーフ」「i-MiEV」とも、航続距離に対して「玉虫色の解釈」のまま市販されている。

だが、被災地の自治体にとって、航続距離の解釈は重大な課題だ。決められたルートを巡回するだけでなく、不測の事態にも臨機応変に対応する場合も出てくる。

その際、想定内の航続距離が稼げなければ、立ち往生してしまう。

被災地周辺では、急速充電の対応にも限界がある。こうした「電気自動車の真相」を、被災地の自治体が自覚した上で、あくまでも「その場しのぎ」の代替車として、電気自動車を使って頂きたい。

1 2 次へ

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる