速度超過が時速15キロ未満でも捕まる例、急増中!?|移動式オービスが怖すぎる

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2016年頃から速度違反の取り締まりに導入開始された「新型移動式オービス(可搬式・小型オービスともいう)」が急速な勢いで全国の警察に採用されている。昨今の交通取り締まりはどのように変化しているのだろうか。調べてみると、驚くべき実態が明らかになった。自動車ジャーナリストの加藤 久美子氏がレポートする。

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目次[開く][閉じる]
  1. 移動式オービスが2020年中に全国すべての都道府県に設置
  2. 「生活道路での事故を減らす」ことが目的のひとつ
  3. 速度差15キロ未満での取り締まりが急増!
  4. 「ゾーン30」 はそもそも生活道路! 安全にゆっくり走ろう
  5. 移動式オービスを事前にキャッチする方法はないのか?

※▲画像はイメージです▲

移動式オービスが2020年中に全国すべての都道府県に設置

「新型移動式オービス(可搬式・小型オービスともいう)」は、2019年7月では全国30都道府県で稼働(または導入決定)していることが公表されたが、2020年には鳥取、山口、熊本など残り17府県すべてに導入される予定となっている。

移動式オービスの怖いところは、その名の通り移動や持ち運びが容易であること。つまり、これまでのオービスのように一度設置したら長ければ何十年もその場所にある固定式と違って、日によって場所を変えることも自由自在だ。もちろん、ドライバーに場所を覚えられることもない。

さらに、「速度違反取締実施中」といった予告看板も多くの場合は出されないし、出されていたとしても小さくて気づかないなど、注意するのはとても難しい。

ドライバーにとってみればこの上なく恐ろしい状況で、移動式オービスが「速度違反取り締まりの最終兵器」と言われる所以だ。

「生活道路での事故を減らす」ことが目的のひとつ

移動式オービスは小型で持ち運びが簡単。取り締まりに必要な警察官も最低2名いれば可能となる。

これまでのネズミ捕り方式では、その場で違反車両をキャッチして、通称「サイン会場」に引き込む。つまり、必要となる警察官の数もクルマを引き込むためのスペースも必要になるが、移動式オービスでは速度違反車の写真を撮って後からナンバーに登録された住所に送付する方式のため、住宅街の生活道路のような場所での取り締まりも簡単に行うことができる。

そもそも、移動式オービスの導入に至った経緯のひとつが、「生活道路での速度違反を減らす」ということだから当然と言えば当然。

とくに、歩行者が犠牲になる事故を減らすという目的もあるので、意外な速度でキップを切られるケースも十分にあるのだ。実際に「意外な速度」で最高速度違反となるケースが、急増している。

速度差15キロ未満での取り締まりが急増!

こちらの表は、警察庁が2020年2月13日に公開した令和元年中の「道路交通法違反の取締り状況」である。

ここでは、最高速度違反の速度別取り締まり件数に注目してみたい。

このデータによると、速度差・時速20キロ未満~速度差・時速50キロ以上はすべて、すべての速度帯でマイナスとなっている。中でも速度差15キロ未満がなんと43件から340件と約8倍も増えている。

もともとの母数は少ないが、これまでほとんどゼロに近かった『15キロ未満』でも、最高速度違反として取り締まりの対象になる可能性が出てきた、ということになる。

「ゾーン30」 はそもそも生活道路! 安全にゆっくり走ろう

警察が特に取り締まりを強化しているのは近年、全国各地の住宅地などを中心に整備が進められている「ゾーン30」と呼ばれるエリアだ。

「ゾーン30」とは、生活道路における歩行者や自転車の安全な通行を確保することを目的とした交通安全対策の一つ。区域(ゾーン)を定めて時速30キロの速度規制を実施するとともに、その他の安全対策を必要に応じて組み合わせ、ゾーン内におけるクルマの走行速度や通り抜けを抑制する。

近年、交通事故の死者数は毎年減少しており、とくにエアバッグをはじめとした安全装備の普及が進んだこともあって、自動車乗車中の事故による死亡者は減少傾向が大きい。

その一方で、歩行中や自転車乗車中の死者数は半数を占めるまでに上がってきている。しかもそのうち約半数が自宅から500m以内の日常的な生活道路の中で発生している。

さらに道幅5.5m未満の生活道路における歩行者とクルマの事故では、クルマの速度が時速30キロを超えると急激に歩行者の致死率が高まるというデータも出ている。

それゆえに、「ゾーン30」の整備を進めて生活道路における事故から歩行者を守ることが急務とされているのだ。

警視庁管内では平成23年度から平成30年度までに336地区、神奈川県警でも同じく県内228か所にゾーン30を整備している。

移動式オービスを事前にキャッチする方法はないのか?

レーザー式移動オービスを探知できるレーダー探知機も登場

移動式オービスには数種類あり、レーダー式と非レーダー式(レーザー式)に分かれる。これらの中で、東京航空計器が製造するLSMシリーズがレーザー式の小型・中型移動式オービスとなる。

かつては、これらレーザー式移動オービスを探知できるレーダー探知機は存在しなかった(GPSデータでの対応のみ)が、2019年4月にユピテルがレーザー式オービス(光オービス)も探知できるレーザー&レーダー探知機を発売。

その後は、競合他社からもレーザー式に対応した探知機が発売されている。

スマホアプリでも情報が得られる

また、アプリで対策する方法もある。有限会社パソヤが開発したオービス情報サイト「Orbis Guide」(スマートフォンアプリはAndroid版/iPhone版)では、全国の最新オービス設置状況はもちろん、移動式オービスや検問などのリアルな情報をドライバー同士で共有することもできる。

移動式オービスは低速度であっても取り締まりの対象となるのが怖いところ。30km/h制限のところを、周囲の車両の流れに乗ってしまい、そのゾーンの手前の制限速度、例えば40km/hでうっかりそのまま走っていても捕まる可能性が増えつつある。

探知機やアプリで武装しても100%万全とは言えないが、これらの文明の利器を活用するとともに、定められた速度以下での安全運転を励行することがもっとも賢い方法と言える。

とくに『ゾーン30』区域内でなおかつ死亡事故が多発しているようなエリアでは、取り締まり云々の前に、そもそも30km/h以下での走行を厳守し、十分な安全を確保することがドライバーの義務だ。

[筆者:加藤 久美子]

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加藤 久美子
筆者加藤 久美子

山口県下関市生まれ 自動車生活ジャーナリスト 大学時代は神奈川トヨタのディーラーで納車引き取りのバイトに明け暮れ、卒業後は日刊自動車新聞社に入社。出版局にて自動車年鑑、輸入車ガイドブック、整備戦略などの編集に携わる。95年よりフリー。2000年に第一子出産後、チャイルドシート指導員資格を取得し、チャイルドシートに関わる正しい情報を発信し続けている。 得意なテーマはオリジナリティのある自動車生活系全般で海外(とくにアメリカと中国)ネタも取材経験豊富。愛車は22年間&26万km超の916アルファスパイダー。記事一覧を見る

MOTA編集部
監修者MOTA編集部

MOTA編集部は自動車に関する豊富な知識を持つ専門家チーム。ユーザーにとって価値のあるコンテンツ・サービスを提供することをモットーに、新型車の情報や、自動車の購入・売買のノウハウなど、自動車に関する情報を誰にでも分かりやすく解説できるように監修しています。

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