白のSUVもビックリ!? 海外でのあおり運転事情とは|世界をめぐる自動車評論家に聞いてみた

あおり運転って海外でもあるの?

「海外でも、あおり運転は社会問題になっているのか?」

2019年夏、日本で一気に話題となった「あおり運転」について、そんな疑問を持つ方もいるのではないだろうか?

英語であおり運転は、「テールゲート」という俗称がある。そんな名前がついているのだから、海外でもあおり運転は存在するということだ。

テールとは「後方部分」、すなわちクルマ全体の「後部」を指す。そしてゲートは、一般的には野球場などの「出入り口」を指す一方で、「あおる」という意味もある。

「テールゲート」とはまさに、「クルマの後ろからあおる行為」なのだ。

>>ミニバンも軽も「オラオラ顔」!? 怖い顔のクルマはこんなに増えた(画像28枚)

アメリカ、あおり運転が多い州トップ3

自動車大国アメリカでの「テールゲート」事情はどうか?

若い女性が「まったくもう、さっきフリーウェイでデッカイSUVにテールゲートされちゃって、頭にきちゃう!(英語)」なんて会話をしているのをよく聞く。そして実際、筆者自身もこれまで全米各地で「テールゲート」されたことがある。

その経験でいえば、地域によって「テールゲート」に遭う頻度に差があるように思える。言い換えれば、運転が荒い地域で「テールゲート」が多いのだ。

具体的には、テキサス州、ミシガン州、そしてカリフォルニア州で「テールゲート」が多い印象がある。

1:デカいクルマが「オラオラ」するテキサス州

まず、テキサス州はピックアップトラック・カウンティ(地域)と呼ばれるほど、大型のピックアップトラックやSUVが多い。販売データで見ても、この種のクルマが全米で最も数多く売れているのがテキサス州なのだ。テキサスでは未だに「クルマ=ステータスシンボル」と捉えている人が多く「でっかくて、立派なクルマが欲しい」という意識になる。

そして、ステータスシンボルを手に入れると「オラオラ」状態になりやすく、結果的に「テールゲート」が起こりやすいのではないだろうか。

2:クルマ好きが集まるミシガン州

次にミシガン州だが、GM、フォードなど米自動車メーカーの本部や、トヨタなど日系各社の技術開発拠点が多い。そんな自動車産業集約地で、クルマ好きの自動車業界関係者の数が多いからかどうかは不明だが、全般的に法定速度は守らず、実勢速度が高い印象がある。そうなると、やはり「テールゲート」が起こりやすい環境となる。

3:IT長者がかっ飛ばすカリフォルニア州

最後にアメリカで最も潤っているカリフォルニア州だが、IT系でひと山当てた若き経営者などがマクラーレンやテスラで「オラオラ」状態になりやすい。だが世間体を気にしてか、そうした輩の「テールゲート」はさほどひどくないように思える。

それよりも、80年代~90年代の古いアメ車や日本車などに乗る「自称クルマ好き」の男性による「テールゲート」を見かける機会がちょくちょくある。

ドイツ、速度無制限のアウトバーンは逆に安全!?

筆者は過去数十年間で、ドイツ各所のアウトバーン(高速道路)を走行してきた。

その経験上、アメリカのフリーウェイと比べるとアウトバーンでの「テールゲイト」はあまり気にならない。

速度無制限区域があるアウトバーンだが、そうした区域でも全体の流れは時速130~150キロといったところ。時速200キロ以上で追い越し車線を走行するクルマの数は、日本人が想像するよりはかなり少ないのではないだろうか。

さらに、時速250キロ以上、そして300キロ以上で走る車は、かなりレアだ。

こうした超高速走行していれば、追い越し車線での実勢速度である時速150キロ程度のクルマの後方に、あっという間に追いついてしまう。結果的に「テールゲート」になるが、あまりに速度差があるため、追いつかれた側も追いついた側も、さほど「あおられている」「あおっている」という意識にはならず、ほどよいタイミングで、追いつかれた側は車線を譲る場合が多い。

それはドイツのドライバーが走行中、後方確認を常にしっかり行っているということの表れでもある。

もちろん、なかには「オラオラ」顔で「テールゲート」する輩もいるにはいるが、こちらもレアケースに思える。

東南アジアやインドなどの新興国はむしろドライ?

では、近年になって一気にクルマ社会となった東南アジアやインドでも「テールゲート」はあるのだろうか?

答えは、「ないとは言い切れないが、目立つほどでもない」、そんな印象だ。

そもそも、経済新興国では都市部を中心に高速道路でも日常的に交通渋滞が激しく、走行速度が低いため「テールゲート」になりにくい。

また、「テールゲート」するのは主にタクシーなどの商用車が目立つが、周囲の人は「商売で急いでいるのだから、まあ仕方がないか」という感じだ。

一方、欧米で目立つプチ金持ちの「オラオラ」系のあおりは、経済新興国の富裕層やプチ金持ちは、さほどしていないように思える。

結局、あおり運転が一番ひどい国は?

世界各地を定常的に廻っている筆者だが、「テールゲート(あおり運転)」が一番ひどいと思う国は、残念ながらずばり「日本」だ。

[筆者:桃田 健史]

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

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