クルマを評価するなら、まず山陰道まで駆け抜けろ! 【月間5000キロドライバーの独り言 Vol.6】

トラックに乗るようになって改めて感じるいいクルマの条件

今回も、トラックに乗るようになって改めて感じる「良いクルマの条件」についてお話したいと思います

トラックは案外疲れないものなのです。基本設計の万全さは、ドライバーを快適に過ごせることを最優先に考えてはいないものの、どこまでも走っていられるクルマに仕上がってます。コレは乗用車にも求めていきたい、とトラックに乗るようになってから顕著に感じるようになりました。そして前回はこんなお話をしました。

乗用車のなかには、長時間運転すると疲れてしまうクルマもあるのです。どこまでも乗って行きたい、いつまでも乗っていたいクルマ。私はこういうクルマがいいクルマなのではないかと思うわけです。

本当にいいクルマは「箱根に持って行っただけ」では判断できない?

一般に自動車メディアは箱根に行ってインプレッション、というのがいつものパターンになっています。もっとも物事を評価するうえで、ある程度前提条件を揃えるというのは大事なことですから、これを否定するつもりはありません。

しかし、私の考える"いいクルマ"の判断は箱根では不足と思うのです。

正確に言えば、箱根自体の環境、コース自体は全く問題ないと思います。何が問題かと言えば、「箱根自体が近すぎる」ということです。箱根の峠を振り回して帰ってきてもせいぜい300~400km。私が言いたいのは、名古屋を往復してから、今から大阪いけますか? と言われて「ええ行けますよ」と素直に言えるかどうかなのです。当初の目的地よりも遠いゴールに向けてラクに走れるかどうかでクルマの良し悪しがわかるのです。

単なる移動手段ではない! クルマは”自由”を与えてくれるのだ

自動車が私たちに何をもたらしてくれるかと言えば、単なる「移動手段」ではないと思っています。終電後にでも出かけられる「時間的制約からの解放」と「自由」なのです。

片道100キロくらいであれば、どんなクルマでも我慢できます。ぼろぼろの廃車寸前の古参中古車でも問題なし。だが、数百キロ先に向けてアクセルを踏めるかどうか。問題はそこではないでしょうか。

以前から私もこういう判断軸を持ってはいましたが、トラックに乗るようになって、それが正しく、そういう基準で評価したいと思うようになったのです。

徹底的に評価するなら山陰道まで走れ!

具体的にどこまで行けばいいか? 理想的には「山陽道を走れ!」であります。神戸の先から山口県までひたすら走るんです。東名の大井松田の比ではないアップダウンが続きます。あのアップダウンを広島県、山口県くらいまで走って、ふと山間のインターで降りてそこから峠を一つ二つと抜けていくと、日本海側に出るでしょう。夜道なんかですと鹿が忽然と道の真ん中に構え、堂々とこちらに対峙してくるかもしれません。1000キロ走って、その道を再び帰ってこられられるのか? ということを考えてほしいのです。

少なくともこれを判別式として基準に持っていることで、いいクルマかどうかはわかりますから。そんな気になれないクルマは、そこまでのクルマということではないでしょうか。

最近の自動車ユーザーの一般的な年間走行距離は5000キロ~7000キロくらいと言われたりしています。このデータからすると、ややスケールの異なる評価法だと言われるかもしれません。

しかし、それほど乗らないクルマだからこそ、万が一の状況下でいざ出陣できるかどうか、が大事なのです。涼しい顔で1000キロ走ったうえ、その足で800キロ先まで出かけられるクルマ。トラックに乗るようになってから、私にとっての”いいクルマ“はそんなクルマだと思うのです。

[筆者・撮影:月間5000キロドライター 中込 健太郎]

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中込 健太郎
筆者中込 健太郎

自動車ライター。1977年生まれ。神奈川県出身。武蔵工業大学(現東京都市大学)工学部電気電子工学科・水素エネルギー研究センターを卒業。自動車産業向け産業機械メーカーを経て、大手自動車買取販売会社で店舗業務からWEB広告、集客、マーケティングなどに携わる。現場経験に基づくクルマ選びや中古車業界の事情に明るいことから、ユーザーはもとより、自動車販売の現場からの信頼も厚い。幼少期からクルマをはじめとした乗り物好きが高じ、車種を紹介するコンテンツなども手掛ける一方、「そのクルマで何をするか」をモットーに全国をクルマで旅行し、食べ歩き、温泉巡り、車中泊といったカーライフに関する執筆も多数手がける。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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