凍った湖の上で氷上ドライブの“いろは”をお勉強! 「2019 iceGUARD6 & PROSPEC Winter Driving Park」今年も開催(2/3)
- 筆者: 磯田 薫
- カメラマン:オートックワン 編集部
ハンドルを切っても曲がらない!? 氷上に潜む罠とは
まずは「ハンドリングエリア」に挑戦。スタッフの合図でスタートし、直線でスピードを上げた後に1コーナーへ入っていきます。すると、クルマは本来行きたい方向よりほんの少し外側へ向かい始めました。
これはいけないと思い、ハンドルの切る角度を深くしたそのとき、“事件”は起こります! なんと、進行方向は変わらず、コーナーの外側へまっすぐ向かっていきました! 結果、あえなくコースアウト…。当然、コース上に壁などの障害物は無いのでそれ以上のことは起きませんでしたが、これが一般道だったら…と考えると、寒気がします(ちなみに、会場の長野県・女神湖の気温は日中でも0℃前後と、そもそも寒い!!)。
あの日下部保雄氏が、運転のコツを生解説!
では、プロドライバーの方は氷上でどのように運転しているのでしょうか。筆者はインストラクター陣に同乗走行をお願いしたところ、なんとプロスペック代表の日下部保雄氏の運転を見せていただけることになりました。
日下部氏がハンドルを握り、筆者は助手席へ。1コーナーで日下部氏がハンドルを切った瞬間、レヴォーグはこれまでとは全く違う動きを見せ始めました。先程よりも左右に体が揺すられず、確実にコーナーをクリアしていきます。当然、コースを外れることもなし。その瞬間、濃紺のレヴォーグは会場のどの車よりもスムーズに走っていたのです。
驚嘆のため息しか出ない筆者。日下部氏は、氷上で最も重要なことは「早め」かつ「丁寧」な運転操作だと明かしました。
例えばハンドルを切った時、通常は曲がれる程度の速度だったとしても、氷上では摩擦限界が低いことからタイヤの限界を超えて、前輪が滑り出してしまいます。一旦滑り出したら、ハンドルの切る角度を深くしてもクルマは曲がりません。
そのような状態に陥らないための予防策として有効なのは、ハンドルを小刻みに切るという方法。ハンドルを一度切った後、タイヤの限界を迎える前にハンドルの角度を戻すことで、グリップを保持できる、というわけです。また、これと同じ理屈で、一度滑り出したクルマを制御できる状態にするにはハンドルを元に戻すことが有効です。
もちろん急ハンドルをしないためには、様々な運転操作を早めに行うことが必要。そのため、安全に走るには「早め」かつ「丁寧」な運転操作が求められます。
その後、日下部氏以外のインストラクターにも同乗走行の機会をいただけましたが、どのインストラクターもポイントは「早め」「丁寧」だとコメント。一般道でも気をつけるべき基本を研ぎ澄ますことで、氷上もクリアすることができると語りました。
反復練習できる環境で何度でもチャレンジ
そこで筆者も再びハンドルを握り、ハンドリングエリアにチャレンジ。日下部氏も実践していたように小刻みにハンドルを切ると…無事コーナーをクリア! その後のコーナーでも、早めかつ丁寧な運転操作を心がけたことで、どうにか氷上運転のスタートラインに立ちました。
そして、ハンドリングエリアで得た経験は、他の2エリアでも活きてきます。
アクセルワークエリアでは、氷上でグルグルとドリフトを行います。ドリフト走行は見る分には迫力満点ですが、実はこれこそ繊細な操作が求められるのです。アクセル開度やハンドルの角度も、細かくじわ~っと動かさなければ、クルマはパイロンからどんどん離れていきます。ハンドル操作は少しコツを掴んだものの、アクセルの操作に難があり最後まで納得行くドリフト走行が出来なかった筆者。いますぐ仕事を放っぽり出して、もう一度練習したいぐらい、再チャレンジの機会を窺ってるところです。
ブレーキング&スラロームエリアは、前半と後半で運転操作が異なります。前半では、目印でピッタリ停止できるようフルブレーキング。氷上でABSを効かせるという貴重な経験をしました。
後半ではスラロームコースが組まれ、クルマの挙動が大きくなりすぎないよう気をつけて操作。ここでもポイントとなるのが、「早め」を心がける運転です。進行方向が自分のイメージより外側になることを見込み、ハンドルを切るタイミングを早くするのがコツ。「早く切りすぎて、内側のパイロンにぶつかるのでは?」と思うものの、早めに切りすぎかな? ぐらいのタイミングで曲がり始めることで、クルマは狙ったラインを通過していきます。自分で運転操作しているにも関わらず、狐につままれたような感覚です。
こうして、朝9時から日没の頃まで“雪遊び”は続いたのでした。
参加者の感想は?
プロドライバーによる指導は、他の参加者に対しても絶え間なく続けられました。次ページでは、その熱心な解説に耳を傾けていた参加者の皆さんにインタビューを敢行。生の声をご紹介いたします。
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