ポルシェにも認められた韓国タイヤメーカーが新たに日本に挑む理由(3/4)

  • 筆者: 吉澤 憲治
  • カメラマン:吉澤 憲治/ネクセンタイヤ ジャパン
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超絶厳格監視体制から生まれるハイクオリティ製品

さらに工場内部へと進む。機械のメンテナンスのために数人が各ポジションに配置されている程度で、本当に人の気配がない。機械の音も静かでまるで無人のようだ。

場内通路を小型運搬車両がタイヤ素材を載せて静かに徐行する。人が運転しているのではなく、カメラとモニターで待機時間、材料、運搬量、行き先を常に監視している。まるで映画「スターウォーズ」のように、トゥルーパーが遠隔管理によって一糸乱れぬ行動を強いられているかのよう。工場内は撮影禁止の為、お見せできないのが残念だ。

さて、我々取材陣一行は成形工程エリアで足を止めた。冒頭で説明した“混合工程から製造、そして検査、物流まで一直線で管理”の大部分を占めるのがこの成形工程。特に重要な真円工法を司る成形工程は、スーパーPEB工法が採用され、従来の設備の約2倍の生産能力をもつ。ここでもスキャナーでゴムの厚さを丹念に計測し、バラつきを徹底的に無くしていく。

その後、グリーンタイヤと呼ばれる素の状態のタイヤに、13~15分ほど高温の熱と圧力を与える加硫工程へと入る。タイヤにとって超重要なトレッドパターンは、この加硫工程で施される。ここはAからHまでの8ラインが稼働。各ラインに19機、トータル152機もの加硫機が置かれ、1台につき約200本/日、トータル約32,000本/日のタイヤが次々と出来上がる。

出来上がったタイヤはいよいよ検査工程へ。肉眼での外観チェックにはじまり、ユニフォニティチェック(重さ、寸法、剛性の真円度)を通過後、X線でゴムに異物が混合されていないか等の厳正な検査が行われる。

ここまでの工程で驚かされたのは、100万本生産するうち、欠陥としてはじかれる本数はわずか340本ほど。これは某超有名グローバルメーカーの半分という驚異的数字だ。

品質チェックを終えた後は、製品やサイズごとに仕分けされる。ここでも機械が行う。床に番号が記載されたシールが貼られ、機械はそれを読み取り認識し、適宜仕分けをする。通常20~30人が必要な場所だが、人員はまったくのゼロだ。

そして最後は出荷を待つために倉庫へと移送される。この倉庫、高さ50m×奥行50m×幅40mとかなり巨大な造り。外から眺めるとその大きさに圧倒されるほどだ。

視察を終えた感想としては、オートメーションが決して珍しいわけではないが、ここまで人員が少なく一貫したフルオートメーション生産体制を布いている現場を見たのは初めてだった。環境配慮も高いレベルで、極めて清潔、そして丁寧なことにも驚かされた。

ネクセンタイヤは過去にミシュランやファルケンの生産ノウハウを得ていたとしても、それを維持することへの投資を惜しまなかった姿勢が、今、世界から評価されている要因と言える。改めてものづくりは根幹が重要ということに気付かされたと同時に、「見ていただければわかります」の自信に満ちた顔の理由がここで理解できた。

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筆者吉澤 憲治
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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