EVフェスティバル2009 レポート(3/3)

EVフェスティバル2009 レポート
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海外と日本におけるEVの動向

筆者はここ数年、世界各地にあるEV関連のイベントやフォーラム、企業などへ訪問し、取材を続けている。

そうした世界のEV界で、いま最も大きな課題となっているのが、急速充電器をはじめとする世界標準規格化である。

今回の環境EXPOにも、東京電力がハセテック(神奈川・横浜市)の製造した急速充電器を展示していた。同型機器は、神奈川県など関東圏を中心に、経済産業省が全国で推進している「EV・pHV(プラグインハイブリッド)構想」のなかにおいて、各地へ設置を進めている。

だが、急速充電器のコネクター形状や通信プロトコル(通信言語)については、米国(エネルギー産業省)、中国(中国自動車開発センター)、さらには欧州各国が「ウチが主導権を取る」として、水面下で激しい攻防を繰り広げている。

さらに、中国政府は、EV用のリチウムイオン二次電池のセル(単体)、モジュール(数個単位のパッケージ)、電池パック(モジュールの集合体)の形状や容量について独自基準を設け、それを世界標準化したいとの意思を示している。

このように、世界は大変革期にあるにも関わらず、日本のEV産業界はまとまりが甘い。

今回のように、民間団体が主導となって「EVを楽しもう」という企画は大いに結構だ。そこに自動車メーカーなどが参加することも至極自然な成り行きであり、会場内には活気が満ちていた。

しかし、国の政策として、各自動車メーカーや各リチウムイオン二次電池メーカーの事業方向性を取りまとめる求心力がないのが現状だ。

15年かけて、ここまで盛り上がってきたEV草の根運動。これを是非とも、日本の未来産業の基盤として有効利用してもらいたい。

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

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