タックスヘイブンでセナやシューマッハも住人だった!F1モナコGPは絢爛豪華のオンパレード!(2/2)
- 筆者: 山口 正己
観客にレースを見せているのではなく、ご覧いただいている感じ
他のレースとモナコが最も違うのは、表彰台がないところだ。ご存じの通り通常のF1レースでは、レースが終わった後に上位3名が見上げる高さの表彰台、英語で言うポディウムに呼ばれて、シャンパンファイトを行なう。
通常、表彰台のバックボードには大会スポンサー名のロゴが飾られているが、モナコの表彰台のバックにはメーカーのロゴはない。それは、そこが王家のスペース“ロイヤルボックス”だからだ。
ドライバーはいわゆる労働者であり、ローマ時代の戦車競技の選手と思えばいい。シューマッハ時代から、F1ドライバーは年収数十億円と言われる億万長者になったが、厳しい階級社会が存在するヨーロッパでは、ドライバーは上流階級の仕事ではないということだ。
そういう労働者階級(?)のドライバーのうち、モナコGPトップの3人だけが、上流階級の領域であるロイヤルボックスに招かれる。ホンダF1第二期を戦った名物監督の桜井淑敏さんは、モナコについてこんな感想を漏らしてくれた。
「他の国のレースでは、観客にレースを見せてあげているけれど、モナコはご覧いただいている感じ」。ガードレールがギリギリまで迫るリスキーなコースは、エンジンパワーではなく運転技術と肝っ玉がモノ言うドライバーコースと言われるが、ドライバーだけでなくチーム関係者にもモナコは特別なのだ。
警官にとって、モナコ・ウィークは年に何度かやってくる“威張れる期間”
モナコの特殊性は、コースが市街地の公道を閉鎖して行なわれるところにある。さらに、時速280km/h以上で通過するトンネルもある。平均速度は160km/hそこそこと全レースの中で最も遅いが、首都高と同じくらいの道幅で、周囲がすべてガードレールに囲まれていることを考えれば、充分以上に肝試しが出来る。
いつだったか、1960年代のホンダF1第一期のマネージャーとして、ホンダF1初勝利の立役者となった中村良夫さんを宿泊されているローズ・ホテルにお送りした時のことである。
通行止めの入り口に立っている警官に、すぐそこのローズに泊まっていると言ってもガンとして通してくれない。結局中村さんには歩いて帰っていただいた。乗っていたのはVW ゴルフGTIだったのだが、翌年は、思い切ってBMWの7シリーズを借りた。
去年と同じ警官がそこにいたが、ニコヤカニに「どうぞ」と右折させてくれた。クルマで判断されたのだ。富豪の住民にペコペコしなければならない警官にとって、モナコ・ウィークは年に何度かやってくる“威張れる期間”。ゴルフに乗る庶民の言うことを聞かないのは当然らしい。
ルイス・ハミルトンが久々に優勝
今年のモナコは、100回目を迎えるインディ500と同じ日に開催された。平均速度が370km/h以上という世界一速いインディ500と、F1グランプリの中では一番遅い平均160km/hそこそこのモナコ。危なさでは甲乙つけがたいそのレースで、ルイス・ハミルトン(メルセデス)が久々に優勝。コクピットを降りると、チームクルーの群れにダイブした。去年のメキシコGPから7戦連続でチームメイトのニコ・ロズベルグにやられっぱなしだった窮地を脱したこともだが、そこがモナコだったことが喜びを大きくした。
狭くて追い越しができないことから、展開を大いに有利にするポールポジョンを取り、レース半ばまでリードしたダニエル・リカルド(レッドブル)は、チームがタイヤを用意していないという凡ミスでピットアウトした目の前をハミルトンが通過。その後塵を排して忸怩たる思いの終盤を強いられて2位に甘んじた。
笑顔がトレードマークのリカルドが、モナコ湾に停泊するクルーザーの群れが一斉に汽笛を鳴らすモナコ独特のエモーショナルなエンディングの中で白い歯を見せることはなかった。
[Text:山口正己]
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。