衰退のきっかけは“AT限定免許”!本格的に復活の兆しが見えてきた「MT車」(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
MTをラインナップしたことで話題となった「マツダ アテンザディーゼル」
1990年以前に運転免許を取得したユーザーには、今では中高年齢層に成長したクルマ好きが多い。1990年代の後半から2000年代は子育てに追われ、最近になってようやく「昔みたいに好きなクルマを買おうか」と考えている人達も多いだろう。
そこで手頃な予算に合ったスポーティなMT車を探すと、選択肢がほとんどないことに気付く。その反動で、新たに設定されたいくつかのMT車が、クルマ好きの間で注目された。
発端は、2012年に登場した新型「マツダ アテンザ」だった。
CX-5に続くスカイアクティブ技術をフルに採用した車種で、ボディタイプはセダンとワゴン。そこに2.2リッターのクリーンディーゼルターボと併せて「6速MT」が用意された(ガソリンエンジン車は6速ATのみ)。
セダン&ワゴンのディーゼルMTは欧州では一般的な組み合わせだが、ディーゼルの排出ガス規制が厳しくなった後の日本国内では初採用となる。
マツダも販売台数が伸びるとは考えず、スカイアクティブのコンセプトを示すグレードだったが、発売すると予想を超える売れ行きになった。発売後1ヶ月の受注台数は7300台で、その内の76%をディーゼルが占めた。ディーゼル専用の6速MTは、全体の13%であった。この販売動向は、クルマが好きなユーザーの車種ラインナップに対する不満の表われだろう。
昨今の小型&普通車のエンジンといえば、ベーシックな直列4気筒と上級ではV型6気筒、あとはハイブリッドしかない。トランスミッションは前述のように大半がATで、燃費効率が優れていることからCVT(無段変速AT)が増えている。
「日本はオマケ」で売れ行きを落とした3ナンバー車と、「国内専売」で売上を伸ばした軽自動車
今の日本車の品ぞろえでは、MTと同様の現象がさまざまな分野に見受けられる。例えばセダンとワゴンは5ナンバー車が激減して、海外向けの3ナンバー車ばかりになり、売れ行きを落とした。
問題はサイズというより、商品企画の対象にある。海外向けに企画された車種を「日本でも売る」という姿勢で投入すれば、販売台数を伸ばせないのは当然だ。この背景にもMTと同様の誤解が絡む。
1989年に消費税の導入と併せて自動車税制が改訂され、3ナンバー車の自動車税が大幅に安くなった。それまでは2リッターを超える自家用乗用車は年額8万1500円だったが、改訂後は2.5リッターまでは4万5000円に引き下げられた。
また出荷価格に課税される物品税が廃止され、3ナンバー乗用車はこの税率も23%と高かったから(5ナンバー乗用車は18.5%)、価格も大幅に値下げされた。そこでメーカーは、海外向けの車種を国内でも売るようになった。3ナンバー車にすればユーザーは豪華になったと喜び、メーカーは国内向けの5ナンバー車を開発する必要がなくなる。一石二鳥というわけだ。
ところが前述の「日本はオマケ」のクルマ造りでは共感を得られず、肥大化して密度感の薄れたセダンを中心に売れ行きを下げた。
「クルマ離れ」ではなく、日本車の「日本離れ」が進行して、小さなクルマに代替えするユーザーが増えた。この時もまたメーカーは誤解をした。ユーザーが冷めた気分になって実用的な小さいクルマに代替えしたこともあるが、本質は違う。
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