衰退のきっかけは“AT限定免許”!本格的に復活の兆しが見えてきた「MT車」(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
分岐点は「自動車税制改訂」
今になって振り返れば、1989年の「自動車税制改訂」が分岐点だった。
クルマ造りの軸足が海外に移り、日本市場の本質を見失い、数々の誤解を重ねたことで国内販売が衰退した。一般的に国内販売が衰退した理由はバブル経済の崩壊とされるが実情は違う。そして1990年の国内販売は778万台だったが、2015年は65%の505万台だ。
このような誤解はもうやめたい。「AT車しか買ってもらえない」と判断しそうになった時、「MT車を完全になくして良いのか?」と考えるべきだ。「もはや軽自動車が売れ筋」と諦めかけた時も「まだ小型車や普通車でやり残したことはないか」と視野を広く取って考えて欲しい。
改めて“MT車の魅力”とは
最後に「なぜMT車に魅力があるのか」という点にも改めて触れておきたい。
MT車の魅力は、「ドライバーにとって駆動力のコントロール領域が広がること」だ。エンジンの力はアクセルペダルの操作で増減できるが、エンジンと駆動輪の間にはトランスミッション(変速機)が介在する。
この変速操作をクルマ任せにすると、運転がラクになる半面、走りのすべてをドライバーがコントロールすることにはならない。
その点、MT車であれば駆動力の伝達過程も自由に操れる。さらにいえば、シフトレバーやクラッチペダルを操作することも、ハンドルやブレーキと同様に運転の楽しさを盛り上げる。
今はATのメカニズムが進歩したので、機能的な速さにMT車の優位性はほとんどない。
高性能な「日産 GT-R」などは、ドライバーの変速操作が車両の速度に追い付かないこともあり、クラッチペダルを操作するMTは用意していない。
つまりMT車を選ぶ理由は、操る楽しさであり、情緒であり、「クルマが勝手に変速するのは邪道で許されない」というドライバーの意地だったりする。これもまた、クルマが持つ魅力の本質に深く係わる。
MT車は大量に売れる商品ではない。しかしそれがあることで「クルマはやっぱり楽しいね」と思える人達がいる。
少数のニーズに目を向けることは、今はとても大切だろう。売れ筋路線を追いかけて衰退したのだから、次は発想を転換させて、少数のニーズをヒントに需要の掘り起こしをねらいたい。前述のマツダ車は、市場対応としては、少数に焦点を絞ったしたことで成功している。
欧州においては、MT車の比率が格段に高い。日本では前述のように5%以下だが、EU(欧州連合)は90%以上に達する。国別に見るとスウェーデンは80%前後だが、フランスなどはMT車が限りなく100%に近い。
背景には「ギヤチェンジをドライバーが行うのは当たり前」という常識がある。運転のすべてをドライバーが行って責任を持つ考え方だ。MT車の設定にも深い意味がある。
日本と欧州ではクルマの使用環境が異なり、トランスミッションの受け止め方にも違いがあるが、日本でMT車を少数派に追いやった商品開発は行き過ぎだったと思う。
ユーザーの「選べる自由」はとても大切だ。そこから需要が増え始めることもあるのだから、メーカーも選択肢を充実させて欲しい。
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