“グランツーリスモ”を生んだ(株)ポリフォニー・デジタル 代表取締役「山内一典」氏×「学生カーソムリエ」対談/飯田裕子(1/3)
- 筆者:
- カメラマン:茂呂幸正
グランツーリスモ“生みの親”山内氏に学生カーソムリエがアタック!
2013年12月5日(木)、プレイステーション3専用ゲームソフト「グランツーリスモ6」が発売となった。
“グランツーリスモ”といえば、オートックワンをご覧の皆様なら言わずもがな、ソニー・コンピュータエンタテインメントから販売されている超人気ドライビングシュミレーターのこと。1997年に初代グランツーリスモが発売されてから16年、つい先日最新版の6代目のグランツーリスモが発売された。
そして先日、オートックワンの学生カーソムリエたちはグランツーリスモ6の開発に携わる(株)ポリフォニー・デジタル社を訪れ、発売直前の現場でグランツーリスモの産みの親であるポリフォニー・デジタル代表、山内一典氏にグランツーリスモについて、そして新作のグランツーリスモ6についてお話をうかがった。
インタビューの最中、「なんだか、ゲーム関係の記者から質問を受けているみたいですね(笑)」と山内氏がおっしゃられたように、学生カーソムリエたちの質問はとても真っ直ぐで、かつレベルが高い。そして、グランツーリスモが大好きで研究している。皆、グランツーリスモで沢山のクルマに触れていたからこそ、聞きたいことが沢山あったのだ。
さらに、山内氏のゲームに対する価値観や考え方、製作にまつわる意外な事実を知ることができたのであった。
これから、グランツーリスモはどう進化していくのか?
早稲田大学 原田さん(以下、原田)「今、レースゲームがカジュアル志向のものとリアル思考と二極分化が進んでいると思うんです。その中でリアル思考の中でも画像がキレイであったり、挙動がリアルだったものが増えてきていると思っていて、その中でGTシリーズの中で今後どのような進化をしていくのでしょうか」
ポリフォニー・デジタル代表取締役 山内一典氏(以下、山内氏)「何だかゲーム関係の記者から質問を受けているみたいですね(笑)」
山内氏「ボクの時代認識では、これまでビデオゲームはハードウエアの世代が一世代進むごとに2ケタぐらいの性能向上があったんですよね。これはコンピュータそのものの進化でもあったわけですけれども、今はその進化の速度は明らかに頭打ちになっていて、今、業界の中でもムーアの法則(半導体チップの集積密度が1~2年で倍増していくという法則)がいつ終わるのかっていうのがむしろ関心事だったりするんですね。
例えばPS3とPS4を比べた性能向上分っていうのは一桁程度に留まるでしょう。で、明らかにハードウェアの進化というのは落ち着きつつあって、じゃあ今後、どうやってビデオゲームが進化していくのかっていう話になると思うんですね。グランツーリスモってどちらかと言えば、表現や物理計算とかそれぞれのハードウェアにおけるテクノロジーの最先端をいっていたというところもあったと思うんです。ですけれども、ビデオゲームそのものが成熟期を迎えようとしている」
飯田裕子さん(以下、飯田)「では、グランツーリスモはどう進化していくのでしょう?」
山内氏「例えば、先日僕らが発表したビジョンGTっていうプロジェクト。これは自動車メーカーあるいは世界のリーディング・ブランドの皆さんが考えるGT(グランツーリスモ)、つまりGT(ジー・ティー)カーをデザインしてGT(グランツーリスモ)のユーザーに送ってくださいっていうプロジェクトです。
通常、ビデオゲームって一個人の頭の中の空想でできあがっているんですが、GTはもともと現実の外の社会(ユーザーや自動車メーカー、リーディング・ブランド)とどう係っていくのかっていうことを大事にしてきているんです。それをより進めていくと、例えばビジョングランツーリスモみたいなプロジェクトに繋がっていきます」
飯田「ゲーム機器の進化よりも、中身の進化に変化を加えているのですね。実車の世界のように製作時間は短くなっていたりするのでしょうか?」
山内氏「いや、クルマを再現するために必要な時間はどんどん伸びています。再現するクオリティが上がっているからなんです。グランツーリスモ2のころは真剣になると一日一台くらいできたんですよ。ところが今は、何をどう頑張っても約6ヶ月はかかります。今、スタジオは国内に三ヶ所にあって全部でカーモデラーは50名。一人がヘッドライトのバルブ、リフレクター、内装まで一台を担当します」
学生カーソムリエの皆さん「ひぇ~っ!」
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