ロールスロイス ゴースト ブラック・バッジ 試乗レポート|市場の声を反映し生まれたロールスロイスのドライバーズカー(2/3)

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フルロックまでステアリングを切って出ようとしたら、さらに切り返す羽目に

重くずっしりとしたドアを開け、中に乗り込むと、オレンジ色のシートステッチ、ステアリングリムやメーターナセルが目に付く。

これはブラック・バッジのみの特徴で、同時にインフィニティマークが入ったシートやサイドシル、時計などもそのひとつである。優秀な広報女史にコックピットドリルをしてもらい、左手でスターターボタンを押し込むと、かすかな吐息とともにV型12気筒エンジンは目覚めた。

細いシフトレバーを手前に引きながらDを選択。駐車スペースからフルロックまでステアリングを切って出ようとしたら、切り返す羽目になった。全長5,400mm、全幅1,950mmを実感した瞬間だ。ちなみに最小回転半径は6.7mである。

クラスがひとつ低くなる(!)が、メルセデスベンツS600ロングと比較をすると、全長5,255mm、全幅は1,890mmなので、それよりも一回り大きいことになる。しかし、外から見ると、それよりもはるかに大きく威圧感を感じてしまう。それは立派なグリルと1550mmもある全高からくるものだろう。

意外と都内では乗りやすい

一回だけ切り返してクリープを使いながら狭い駐車場から這い出して、やっと一息付けた。慣れるまで、そのサイズは数字以上に感じてしまうが、一度都内を走りだしてみると、フライングレディが見事に水先案内人を務めてくれるので、するすると狭い車線や路上駐車も気にせずに、適度に速いタクシーなどと渡り合いながら混んだ都内を泳ぎ回ることが出来た。

また、ステアリングは街中で使っている限りでは極めて軽い。路面からのフィールは若干少ないものの、時速50キロ程度の速度域では決して不安に思うことはない。ロックtoロック3回転という適度なクイックさを持つステアリグについてもう少し述べておくと、ステアリングを9時15分の位置や10時10分の位置で握り、交差点などでそこから一気に切り込むと、一瞬遅れて強いGが立ち上がり、場合よっては違和感につながりかねないか、あるいは、後席のVIPからクレームが出かねない様相がみられることがあった。そこでハタと思いつき、大径のステアリングを捧げ持つようにし、必要に応じて指の腹でステアリングを回転させる、いわゆる送りハンドルに変えてみると、非常にスムーズに交差点を曲がることが分かった。やはりこのクルマは基本的には古式ゆかしきショーファーカーなのである。

恐ろしく静かな室内

それにしても、この静粛性の高さはどうだ。信号で止まっていると、アイドルストップがついているかのように無音の世界が広がっている。

外からの喧騒も聞こえてこず、まるで時計の秒針が刻む音が聞こえてきそうなほどである。信号が青に変わり、わずかにアクセルを踏み込むと、ふわっとエンジン音が高まるとともにぐいぐいと勢いよく加速が始まる。そこに、変速ショックはおろか、路面からの突き上げも感じられず、何ともフラットな気持ち良い乗り心地が提供されている。

しばらく走り、少し落ち着いて室内を見渡すと、センターコンソールのコントローラーをはじめ、スイッチ類やそのレイアウトがBMW、特に7シリーズと共通しているということに気付いた。

もちろん、そのまま使っているということではなく、例えばナビなどを操作するコントローラーにはフライングレディが描かれているし、センタークラスターのエアコン吹き出し口の下にあるボタンはクリア化されている。それでもナビやオーディオ等の操作方法は全く一緒だし、ナビの表示も共通だ。決していい悪いではないが、こういうところから、BMWグループの一員なのだと改めて感じた次第である。

ロールスロイス/ゴースト
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1,118万円5,342万円

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内田 俊一
筆者内田 俊一

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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