鈴鹿でも最速! メガーヌR.S. トロフィーRがありえないタイムで記録更新|密着レポート

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2019年4月、ルノー メガーヌR.S. トロフィーRがドイツ・ニュルブルクリンクでホンダ シビック タイプRの記録を破り、「量市販FF最速」のタイムを叩き出したことは記憶に新しい。

そんなトロフィーRが2019年11月26日、日本の鈴鹿サーキットにおいて先代モデルが持つラップタイム「2分28秒465」を更新すべく登場した。果たして記録更新は成功するのだろうか!?

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目次[開く][閉じる]
  1. メガーヌR.S. トロフィーRはサーキット・スペシャル!
  2. トロフィーR、鈴鹿サーキットに再び降臨!
  3. 鈴鹿サーキットでの記録更新なるか!?
  4. それは、「ありえないタイム」だった
  5. トロフィーRは、タイムアタック用のワンメイクモデルにあらず
  6. メガーヌR.S.が日本市場を切り拓く

メガーヌR.S. トロフィーRはサーキット・スペシャル!

ニュルでのFF世界記録達成モデル

高性能と快適性を高い次元で両立する現行型ルノー・メガーヌ(メガーヌIV)R.S.は、ノーマルでも279PSを発生するターボエンジンを搭載するなど十分に速く痛快なモデルだが、最高出力を300PSにアップしてさらにスポーツ性能を高めた「R.S.トロフィー」も2019年10月31日から発売が開始されている。

しかしルノーがメガーヌR.S.に与えた進化はこれにとどまらず、このR.S.トロフィーを軽量化したサーキットスペシャル「メガーヌR.S. トロフィーR」も同年7月に発表している。

もはや執念!? 徹底的な軽量化で130kgダウン!

メガーヌR.S. トロフィーRのエンジンはトロフィーと同じで、シャーシのセッティングも同年3月に限定100台発売した「カップ」と同じだが、大幅な軽量化によって戦闘力を獲得した。

4WS機構の4コントロールシステムを外して35kg、EDC(デュアルクラッチトランスミッション)からマニュアルトランスミッションにすることで35kgを削減したほか、リアシートとリアドア窓の開閉機構を撤去、一部ガラスを薄いタイプに変更、防音材を削減するなどしてなんと130kgもの軽量化を達成している。

その執念は凄まじく、シフトノブのカウンターウェイトも減らし、ダッシュボードのモニターも小型化するなど、グラム単位での軽量化が進められた。

徹底した軽量化が行われたことで、「加速、コーナリングなどすべてのポイントで、先代のトロフィーRよりも速く走れる」という開発第一目標をクリアしたという。

ライバルはシビック タイプR

メガーヌR.S.といえば、ホンダ シビックタイプRと、ニュルブルクリンク北コースで「量市販FF最速」の座を競い合っていることでも知られる。トロフィーRは同年4月にシビックタイプRの記録を約3秒更新し、「7分40秒100」を叩き出したのも記憶に新しいところだ。

トロフィーR、鈴鹿サーキットに再び降臨!

ただならぬ雰囲気をまとわせて登場

そのトロフィーRが、日本での発売を前に鈴鹿サーキットに姿を見せた。

白い車体に赤いデコレーションが特別なクルマであることを高らかに主張するが、インテークとアウトレットを穿ったカーボン製ボンネット、専用デザインのリアディフューザー、そしてその奥からはアクラポヴィッチ製チタンエキゾーストシステムが顔を覗かせ、ただならぬクルマという雰囲気も強く感じさせる。

タイムアタックに現れたモデルのホイールはなんとカーボン製で、ブレーキパッドもカーボンセラミック製となる。世界限定500台の発売のうち、わずか30台がこのホイールとブレーキをセットで装着した仕様となるそうだ。

カーボンホイールもやはり軽量

前述のようにリアシートはないが、ここにホイールを4本搭載できるので、標準装着のトロフィー専用ホイールでサーキットに行き、到着したらカーボンホイールに交換してタイムアタックを行うことも可能だ。

実際、カーボンホイール装着車では、後部にホイールとタイヤ(トロフィーR標準装着の「ブリヂストン・ポテンザS007」)がセットされた状態で納車される。

なお、トロフィー用ホイールはノーマルのR.S.用ホイールよりも1本当たり4kg軽いが、カーボンホイールはさらに2kgも軽量である。

鈴鹿サーキットでの記録更新なるか!?

2人の精鋭ドライバーが挑戦

ルノー・スポールが鈴鹿サーキットでの記録にこだわるのは、世界有数の名門サーキットであるからだという。そのため2014年11月には、先代のトロフィーRも鈴鹿サーキット国際レーシングコースを走行しており、その際に「2分28秒465」を記録している。

そして今回、この「2分28秒465」の更新を目標として、新しいメガーヌR.S. トロフィーRが持ち込まれたというわけだ。

記録更新のために、ルノー・スポールの開発ドライバー、ロラン・ウルゴン氏を本国から招聘。ウルゴン氏は、ニュルブルクリンクでメガーヌR.S.に市販FF車最速の栄冠を与えた本人そのものある。

さらに、鈴鹿を知り尽くしたレーシングドライバーで、2019年2月にもアドバイザーとしてメガーヌR.S. トロフィーRのテストを行ったという谷口 信輝選手も来場。ウルゴン氏同様、ステアリングを握ってタイムアタックを行なった。

それは、「ありえないタイム」だった

わずか2時間でのチャレンジ

タイムアタックに与えられた時間は、14時から16時までのわずか2時間。雨が降り出しそうな寒い日だったが、タイムを出すには絶好のコンディションでもあった。

ウルゴン氏が乗り込んだメガーヌR.S. トロフィーRは、待ちきれないように14時きっかりにコースイン。ウォーミングアップで1周を消化したのち、本格的なタイム計測をスタートした。

慣らしも終えていないまっさらな新車でアタックするのは無謀とも思われたが、ウルゴン氏はわずか2周目で「2分25秒961」をマーク。この日の目標だった先代のタイム超えをあっさりと達成した。ピット内で記録更新を待ち構えていたルノー・ジャポンや取材陣からは大きな歓声があがった。

その後、谷口選手もコースインしてタイムアタックを行い、ウルゴン氏の記録をさらに上回る2分25秒749で走行。そしてタイムアップ終了直前に再びウルゴン氏が更新にチャレンジし、最終的に「2分25秒454」というタイムを記録!

最後は大きな拍手でウルゴン氏をピットに迎えた。この数字は、谷口選手曰く「市販の2L以下のFF車ではありえないタイム」とのことだ。

トロフィーRは、タイムアタック用のワンメイクモデルにあらず

記録は「楽しいクルマ」の証明

メガーヌR.S. トロフィーRは、ニュルブルクリンクでのレコード更新や、今回のようなタイムアタックで素晴らしい数字を出すことができた。

しかしルノーは、メガーヌR.S. トロフィーRがタイムアタック用のスペシャルワンメイクモデルではなく、タイムだけが一人歩きしてしまうクルマでもなく、腕があれば誰でも同じような記録が出せるクルマ、かつ誰もが楽しめる「いいクルマ」を提供することが大切なのだ、という。

車体だけでなく、チームワークの勝利

そして、開発側でクルマを知り尽くしているウルゴン氏と、鈴鹿サーキットのマイスターである谷口選手が協力しあって、タイムが出せるクルマが仕上がっていったということに大きな意味があり、ウルゴン氏もその点を大いに喜んでいた、とルノー・ジャポンのスタッフは語っていた。

また興味深かったのは、タイムアタック前日、細かく調整できるオーリンズ製ダンパーのセッティングなどをいろいろと試した中で、最終的には「開発本来の設定に戻した」状態がベストだった、という話。ルノー・スポールの開発力とセッティングの妙がわかるエピソードだ。

メガーヌは本当に楽しい

谷口選手は、「電子デバイスなどの“お助け”がないメガーヌR.S. トロフィーRは、ドライビングテクニックのあるサーキット経験者でなければ速く走らせることは難しいが、本来のメガーヌシリーズはよく曲がって、速い。とてもよく出来たクルマだ。メガーヌより速いクルマはいくらでもあるが、メガーヌは乗っていてほんとうに楽しい」と、メガーヌに高い評価を与えていた。

メガーヌR.S.が日本市場を切り拓く

ファミリーユースにも対応

日本は、ルノー・スポールにとってとても重要な市場だという。というのも、フランス、ドイツに次いで、日本は第3位の販売台数を誇るのだ。ルノー・ジャポンでは、2020年は日本をナンバー1にすることを目標にしているという。そしてそれを牽引するのは、言うまでもなくメガーヌR.S.である。

先代と比べ、5ドアとなってファミリーユースにも対応、マニュアルトランスミッションからEDCになったことで商品力が大きく向上しており、BMWやアウディなどドイツ勢からの乗り換えも増えているほどなのだ。

トロフィーRは最速のイメージリーダー

メガーヌR.S. トロフィーRは、まさにそのメガーヌR.S.シリーズのイメージリーダーである。市販FF車最速の称号と、鈴鹿で先代モデル比約3秒短縮という記録は、大きなアピールポイントになるだろう。

メガーヌR.S. トロフィーRの正式な価格などは年明け以降の発表が予定されているので、詳細な情報を心待ちにしたいと思う。

[筆者:遠藤 イヅル]

ルノー/メガーヌ
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新車価格:
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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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