【ahead×オートックワン】-ahead 6月号- 道とクルマと未来のコト(1/2)

【ahead×オートックワン】-ahead 6月号- 道とクルマと未来のコト
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地球環境への配慮、高齢化社会への対策。

私たちは今、否応なくそれらの問題と向き合わなくてはならない。

どうしたらクルマの魅力を失わず、誰もがハッピーになれる未来を描けるか。

自動車先進国ヨーロッパに、ヒントはありそうだ。

ヨーロッパの真実

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日本のクルマ好きで、ヨーロッパ車に憧れている人は多い。最大の理由として、何時間走り続けても飽きることがなく、何時間乗り続けても疲れ知らずという、走りの良さを挙げる人が多いことは間違いない。何を隠そう、僕もそのひとりだ。

ただその中には、ヨーロッパ車の走りのレベルが高い要因として、彼の地の道路がクルマにとって恵まれた状況にある、つまりクルマ天国だからだと主張する人がいる。

他の日本人よりも少しだけ、欧州の都市事情や道路状況を目にしてきた人間として言わせてもらえれば、それは大きな誤解だ。ヨーロッパは必ずしもクルマ天国ではない。

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たしかに日本よりスピードは出せる。制限速度は高速道路で120~130㎞/h、一般国道でも100㎞/hという国が多い。さらにドイツのアウトバーンは、環境保護団体からの反対を受けつつ、いまだに一部区域で速度制限を設けていない。

しかも都市を抜け出せば、道は空いていて気持ち良く飛ばせるし、交差点は信号の代わりにラウンドアバウトを使うので、止まらずに進める。標識には数多くの地名が記されているので、初めての土地でも迷わずに行ける。たしかに走りやすい。

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ところが都市の中心部に乗り入れると、逆に制約が多いことに気付く。郊外の幹線道路でも街や村に入ると50㎞/hに落とされ、大都市の裏通りではゾーン30といって、30㎞/h制限を敷いている場所が多い。旧市街の繁華街は歩行者専用道路としてクルマの進入を禁じたり、ロンドンのように通行税(ロードプライシング)を課すことで交通量を減らしている例もある。

自転車道やバス専用レーンの整備も進んでいる。日本では時代遅れの乗り物と見られることも多い路面電車を、新たに敷設した都市さえかなりある。おかげで数年前は2車線だった道が今は1車線、なんてところはざらだ。サイクルシェアリングやカーシェアリングも目立つ。クルマも自転車も、自己所有だけでなく、共同利用というスタイルが広がっている。

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一方、地方の町や村では、軽自動車よりさらに小さなクルマ、いわゆる超小型モビリティも目にする。高速道路は走れない代わりに、免許なしで乗れるので、高校生から高齢者まで幅広い層に愛用されている。たしかに近所の移動ならこれで十分だ。

ヨーロッパも日本やアメリカと同じように、1960年代に大気汚染が問題になりはじめ、自動車の排気ガスがその元凶と結論づけられた。ところがその後の対応は違った。まず排ガス規制が実施された日米に対して、彼の地ではその前に「交通の再配分」が行われたのだ。

クルマの排気ガスが大気汚染を引き起こしたのは、クルマが多すぎたからだ。それなら移動の一部を他の乗り物で置き換えていこうという考えなのである。

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とりわけ大気汚染が酷かったのは大都市だ。そこで自転車道を整備して自転車の利用を促進し、バスレーンを設けてバスの定時運行を助け、利用を増やそうとした。さらに地下鉄より安く敷設できるうえに、バリアフリーでもあることから、路面電車を復活させていった。

一連の取り組みは、大気汚染の軽減以外にも目的があった。駐車場に割いていた空間を減らし、土地の利用を効率的にすることや、住民を都心に集めることで、ゴミ収集などの住民サービスの費用を減らすことも理由になっている。

郊外はどうか。こちらは人口が少ないので、鉄道はもちろん、バスでさえひんぱんに走らせるのが難しい。だからクルマの機能性は維持しつつ、必要最小限までダウンサジングすることで、環境負荷を抑えた。これが超小型モビリティだ。

つまり「交通の再配分」とは、乗り物の選択肢を数多く用意し、目的に応じて使い分けてもらうことで、結果的にクルマ依存を減らす作戦なのである。都市計画の世界ではこれを、規制型ではない、誘導型のまちづくりと表現している。

新しいから楽しい

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クルマ好きの中にはこうした状況を嫌う人もいるだろう。でも地球環境対策や高齢化対策のためには、ここまでやらないといけない。今の世の中はそれだけクルマ偏重なのだ。世界で初めてクルマを使いはじめたヨーロッパが改革を実行しているのだから間違いない。

でも実際にヨーロッパで新しいモビリティを目にした人は、それらをカッコいいと思ったのではないだろうか。実は僕もそのひとりだ。

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きっかけはフランスだった。2006年に首都パリに70年ぶりに路面電車が復活すると、翌年にはサイクルシェアリングという、新しいスタイルの自転車共同利用システムが、「ヴェリブ」という名前で登場した。2011年には、これの電気自動車版である「オートリブ」がサービスを開始。そして次の年にはルノーから「トゥイジー」という名前で超小型モビリティが登場し、パリ郊外の街でカーシェアリングを始めた。これらがどれもスタイリッシュなのだ。

柔らかいデザインと大きな窓、白地にライトグリーンの帯というカラーリングが爽やかな路面電車。オーガニックなハンドルやフェンダー、石造りの建物と同じグレージュの色調が、街に違和感なく溶け込むヴェリブ。対照的にトゥイジーは、F1マシンのようにボディからタイヤを張り出させ、ドアはランボルギーニのように上に跳ね上がる。どれも思わず目が引き寄せられ、乗ってみたいという気持ちになる。

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走りもまた新鮮だ。路面電車はまるで、水平に動くガラス張りエレベーターのよう。ヴェリブは僕のような観光客でも自転車でパリを移動する気持ち良さが体感できる。極めつけはトゥイジーだ。これはまさに、公道を走れる電動カートであり、4輪の電動スクーターである。小型軽量が生み出す身のこなしと、電動車両ならではの発進の力強さを融合させた、究極のアミューズメントカーなのである。

その感動は、普段クルマに乗っている僕が、たまの休日にオートバイに跨がったときと似ている。風の受け方も、景色の見え方も、カーブの曲がり方も、あらゆる部分がクルマとは違う。クルマの仕事をしつつ、オートバイを所有している最大の理由は、その感動を味わいたいからなのだ。

クルマ好きやオートバイ好きなら、魅惑的な新型車が出たときに、ときめきを抱くはず。新しいモビリティを見て、乗って感じることは、まさにそれだ。しかも今まで体験したことがないジャンルだけに、感動はそれ以上なのである。

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森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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