日産 モコ 試乗レポート
- 筆者: 西沢 ひろみ
- カメラマン:小宮岩男
スズキからOEM供給を受けて、日産が軽自動車のジャンルに初参入。
年間600万台と言われる乗用車の販売台数のうち、約200万台を占める軽自動車市場へ、新たなビジネスチャンスを求めて初参入したのが日産自動車だ。モコとネーミングされたモノフォルムの軽自動車は、自社開発ではなく、スズキのMRワゴンのOEM供給車。モコの投入により、日産は市場対応力50%拡大を目指し、月販の目標台数を4000台に設定した。
4月10日、モコは全国一斉に発売された。全国3000拠点の販売力、日産のブランドイメージで、初の軽自動車であるモコがどこまで売れるかが注目の的だった。結果は、予想をはるかに上回る人気ぶりだった。10日間で約1万台の受注を見せたのだ。まずは大成功の滑り出しといっていい。
マツダもスズキからOEM供給を受けているが、エンブレムの変更のみ。モコは外観に専用デザインを採用したのが功を奏したようだ。
内外装のデザインに手を加えて、MRワゴンとの差別化が図られている。
かわいらしく、暖かな響きのある“モコモコ”から名前が付けられたモコ。シンプルなMRワゴンに比べて、お洒落感覚が漂っているのは、オリジナルなデザインによるものだ。
最もモコらしさを発揮しているのが、日産ファミリーと同じウインググリル。ボンネットフード、フロントバンパーにも手が加えられ、OEM供給車の雰囲気をまったく排除している。フロント部分に合わせてリアバンパーも変更。クリアレンズを使ったテールランプが、すっきりしたリアフォルムを作り上げている。足元はタイヤがしっかり大きく見える穴が7つの、モコ専用フルホイールカバーが採用された。
ボディカラーは、専用のモコグリーンを含む7色を用意。インテリアは、モコグリーンとコーディネイトされたグリーンの盤面発光色のメーターパネル、ブルーのシート地とベージュの内装色の組み合わせがオリジナルだ。
熟成された仕上がりは、OEM供給車ならでは。専用の味付けは今後に期待したい。
エンジン、足回り、パッケージングは、OEM供給車のMRワゴンそのもの。外観が異なるのに、車重さえもまったく同じなのだ。でも言い換えれば、中身はお墨付きの熟成された仕上がりといえる。確かに、「超-低排出ガス」認定を受けているDOHC VVTエンジンは、市街地での乗りやすさを重視。落ち着いた加速感と極めてスムーズな変速を見せてくれる。静粛性の高さもクラストップレベルだ。その分キックダウンが抑えられ、勾配のきつい上り坂ではかったるさを伴う。低速域のトルクに力を注いだDOHCインタークーラーターボなら、余裕の走りが味わえる。
足回りは乗り心地を優先した安定志向だが、多少挙動にメリハリがないのが気になるところ。もうワンランク、タイヤをグリップ志向に変えて、モコ専用のセッティングを施して欲しかった。
前後席ともに大きく座り心地のいいシートを配置した室内は、居心地のいい空間を確保している。特に105mmのスライド機構を備える後席の足元は、コンパクトカーに優るとも劣らない余裕を見せる。助手席下のバケツを始め11ヶ所におよぶ各種ポケッテリアは、機能性と実用性が伺えるものだ。
スマートに続き、日産モコの登場。黄色いナンバーの戦いは、ますます激しくなりそう。
日産は軽自動車市場への参入にあたって、かなりのマーケティング調査を行なったそうだ。その結果、「軽自動車ユーザーはその70%が軽自動車に乗り換える」「その90%が軽自動車だけを対象にする」「その60%が他メーカーの軽自動車に乗り換える」というデータが得られた。つまり「新たなビジネスチャンスが十分にありえる」という結論が、モコの発売の決定打になったのだろう。けれども「必ず売れる」確証はどこにもない。だからこそリスクの少ないOEM供給を選択し、なおかつモコの専用セッティングを望まなかったと思われる。けれども、このままモコの人気が持続すれば、もっと日産に色が濃いモコの新バージョンの登場はもちろん、本当の意味で日産の軽自動車が誕生する可能性もあるはず。これからも、モコの販売状況からは目が離せない。
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