日産 リーフ 新型車解説(2/3)
- 筆者: 松下 宏
十分な航続距離と実用性
外観デザインについては賛否両論、様々な意見があるようだが、いかにもEVらしい部分と一般的なクルマに見える部分とがある。
例えば、エンジンを冷やすための冷却水が必要ないので、その冷却水を冷やして循環させるラジエターを持つ必要がなくなる。
その結果、リーフはラジエターグリルのない独特のフロントフェイスとなっている。さらに、リーフではここに充電口が設けられている。
逆に、全体的な印象としては普通のハッチバック車で、リアのちょっとお尻が出っ張った感じのデザインなどは、衝突安全の要件を満たすためなどで採用されたものだ。一般的なクルマと似たデザインである。
ヘッドライトは、電力消費の少ないLEDヘッドライトが採用されているが、これは必ずしもEVならではということではない。
電気モーターは、フロントボンネットフード内に搭載される。これも普通のクルマと変わらない方式だが、モーターと制御システムを合わせてもガソリン車のエンジンと補器に比べるとコンパクトなので、フードを低くできているのはEVらしい。
インテリアについては、いかにもEVらしい。
メーターパネルデザインが全く新しい感覚のもので、シフトレバーのデザインもこれまでのガソリン車にはないものであり、クルマに乗り込むとそのエクステリア以上に新鮮な印象を受けることは間違いない。
インパネのセンターにはリーフ専用に開発されたカーウイングス対応ナビゲーションが標準装備されている。
交流同期型電気モーターの動力性能は80kW/280N・mの実力を持つ。
80kWのパワーはガソリン車でいえば1.5Lエンジン程度の数値だが、280N・mのトルクは2.8Lエンジン並であり、エンジン動力性能は相当高いレベルだ。
リーフでは、このモーターをフロントに搭載し前輪で駆動(FF)する。
電気自動車において一番気になるであろう航続距離は、リーフではアメリカの「LAモード」で160kmとされている。これは日本の走行モードでは200kmくらいに達するという。
EVはエアコンやヒーターの使用によって航続距離が大きな影響を受けるが、それを考慮に入れてもリーフには十分な実用性があると考えていい。
日産はリーフを単なるシティコミューターとするのではなく、普通のガソリン車(コンパクトカー)と置き換えることが可能なクルマとして開発を進めてきた。十分な航続距離もその結果といえる。
リチウムイオン電池の充電には、通常は電気料金の安い深夜電力を使い、家庭用の200V電源で8時間で充電可能とのこと。急速充電なら30分で80%まで充電できる。
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