マツダ 新型プレマシー スカイアクティブ 試乗レポート／マリオ高野 -プレマシーマイナーチェンジでミニバン初のSKYACTIVを搭載！-(2/2)

SKYACTIV搭載の新プレマシーと従来のプレマシーとを比較試乗！

一般的には「エコモード」を設けてスイッチを押すとパワーを絞る方向にエンジンの制御が効いて燃費を抑える手法を採用するメーカーが多い中、マツダは「それでは他社と同じになり、ウチのお客さまは喜ばない」と考え、独自路線でのエコ性能アップを目指したのです。

多くの場合、エコモードはクルマ側がドライバーの意志を拒否するような面がありますが、マツダの考えるエコ性能は、あくまでドライバー主導で追求。ドライバーはI-DMで表示された自分の運転結果を見て、みずからの操作を変えて行けば良いのです。

今回は、新しいプレマシーSKYACTIVとマイナーチェンジ前の従来型ATを積んだプレマシーとを比較試乗したことで、新6ATの気持ち良さを強烈に実感したのでありました。

従来型のATに乗るとナニコレ！？とガッカリさせられるほど古くさく感じます。ここまでロックアップ領域を広げたトルコンATは世界的にも唯一無二の存在といえるでしょう。

最近の高効率ミッションといえば、デュアルクラッチ式2ペダルやCVTが増えましたが、マツダはあえてトルコンATの可能性を引き出すことに挑戦。ここでも猛烈な独自性を発揮しました。

職人技のような入魂のシャシーセッティング！コーナリングが気持ちいい！

今回、大きな変更を受けたのはパワートレーンだけですが、試乗して衝撃を受けたのはソコだけではありませんでした。

シャシーは従来型そのままで転がり抵抗を減らしたエコタイヤを履いているということは、普通に考えるとコーナリング性能は落ちているはずなのに、プレマシー特有の（というかマツダ車に全車共通の）コーナリング時の安定感と気持ち良さが一切損なわれていないのです！

つまり、プレマシーにはタイヤのグリップに依存せず、積極的、かつ適切な荷重移動をすることでタイヤの性能を使い切るという、職人技のような入魂のシャシーセッティングが施されていることを実感したのでした。個人的には、デビュー直後以来しばらく乗る機会のなかったプレマシーですが、「こんなに気持ち良く曲がるクルマだったとは！」と、あらためて驚いたのであります。

聞けば、2010年に登場した現行型プレマシーはマツダの新しい乗り味を採用した最初のクルマだったようで、減速、旋回、加速の３つの要素をリニアに、かつ滑らかにすることで結果的にクルマ全体の質感の向上をはかるという考えが反映されているとのことでした。

たとえば、コーナリング時にはフロントの内側とリアの外側は浮かせたり沈ませたりせず、一番働かせたいフロントの外側のタイヤに大きな荷重をかけることで、一番効率的にタイヤのグリップを引き出せる姿勢となるよう、その制御に入魂のチューニングが働いているのです。

サスペンションを突っ張らせずに、しなやかにロールさせて路面からの入力をいなすことで、高い次元での操縦安定性と乗り心地を両立するという考えです。最新の欧州の高級車のように、ハイテク系のサスペンションを使うことでも実現できますが、マツダは荷重移動を積極的に使う道を選択。ここでもクルマとしての原点に回帰し、独自路線をゆくことで走りの良さを高めたのでありました。

新型プレマシーは、クルマ好きな人ほど得られる感動が大きくなる希有なミニバンです。守旧派ドライバーの皆さんは騙されたと思ってディーラーで試乗してみてください！