マツダ アテンザ 鹿児島ロングドライブレポート/飯田裕子(2/2)
- 筆者: 飯田 裕子
- カメラマン:茂呂幸正
2Lガソリンモデル、2.5Lガソリンモデル、ディーゼルモデルを乗り比べ!
ここからは、排気量やボディタイプの異なる4台を試乗することができたので、そこから印象の違いをご紹介させていただきましょう。
スタート時に試乗した2リッターのガソリンエンジン搭載モデルの印象は、まさに軽快な滑り出しで好調そのもの。エンジンの加速性は、その後に乗り換えたディーゼルと比べると、ドライバーが強い加速を求めた際の分厚いトルク感でディーゼルが勝りますが、軽さや静かさ、そしてスムーズさは、街中から高速道路へと走行シーンを変えても不満はありません。
続いて乗ったディーゼルエンジン搭載モデルでは、ディーゼルの振動や音に注目すると振動はほとんどなく、音がわずかにディーゼルとわかるレベル。
そして前述の分厚いトルク感が、走りにボリューム感を与え、印象として走りの骨太さを強めるため、興味深いほどにガソリンモデルとの違いを強めています。
一般道では、のんびりと走る地元の軽トラックの後ろで、わずかにアクセルを踏み込んだ状態を維持して走るシーンも多いため、微妙なコントロールを低回転域で行っても2000rpmから最大トルクを発揮するこのターボ付エンジンは、ショックもなくごく自然に走らせることができました。
中でもアップダウンが連続するようなワインディング路では、2Lガソリンエンジンの軽くてスマートな印象もよいけれど、特に登りではアクセルに伝わるディーゼルエンジンの厚みのあるトルクが、スポーティな臨場感を強めているようにも思えるから興味深いです。
2.5リッターエンジン搭載モデルは、最高出力まで引き出すような走行はできなかったものの、2リッターの20.0kgf・m/4000rpmに対し2.5リッターの25.5kgf・m/3250rpmの違いはアテンザの走りにボリューム感を与えるのは十分で、燃費よりも(2リッターのJC08モードは17.4km/Lに対し2.5リッターは15.6km/L)実用走行領域の力強さを求める方にはより満足度が高いでしょう。
ちなみに、今回最も長いドライブをしたXD(ディーゼル)L パッケージ(AT)のカタログ燃費が20.0km/Lなのに対して実測燃費は高速で18.9km/L。また走りの気持ちいい指宿スカイラインや、交通量のやや多い夕方の指宿市内をノロノロ走行し宿泊地に到着したときの燃費が14.5km/L。
試乗ゆえに色々なアクセル操作や走行を試しつつこれだけの燃費で走れたことから、普通に走るとより燃費も向上すると思われ、ディーゼルの燃費の良さを実感できる結果となりました。
ガソリンエンジンについてはうっかり計測しそびれてしまったので、機会があればまた今度試してみたいと思います。
基本性能を高め、総合力を高めたモデルなのに、かなりのグッドプライス度
1泊2日=正味1日の滞在時間で走りとおした約340キロでわかったことは、アテンザはガソリンだろうがディーゼルだろうが、ATだろうがMTだろうが間違いなくドライバーズカーであるということです。
そして走行バリエーションも豊富な道中、時折燃費計をチラ見すれば、ドライビングによって変化する燃費に環境性能へのこだわりと、私たちが運転中の環境性能向上について、どう向き合うかという気づきすら楽しめるモデルでした。
それはドライバーの操作に対してクルマの挙動やエンジン出力の変化からも素直なレスポンスが得られ、わかりやすいからなんですね。だからと言ってアテンザはスポーツカーではないわけで、同乗者には快適な移動空間となり、景色や会話も楽しめます。
またセダンとワゴン、同じグレードなら同価格というのもフラットな目線でモデル選びがし易いのでは?
価格表と睨めっこしながら自分にとっての付加価値を複雑に探っていく作業が減るのは、例えばファミリーカーを選ぶ際に奥様へのプレゼンもわかりやすく伝えることができると思います。
アラサー、アラフォー女性好みのデザインテイストを持ったモデルゆえ、こういう点でも実用性が高い…と言えそうです。
唯一オプションで選ぶと安心と感じたのは、『レーダークルーズコントロール』と万一の際にブレーキサポートをしてくれる『スマートブレーキサポート』機能の付いたセーフティパッケージ。
減速のショックはやや強めで唐突に感じたものの、他メーカーでも採用するこのシステムはアテンザのドライブにはやはり有効です。
鹿児島まで行って試乗したので、もう少し名所案内などもしたかったのですが、アテンザの話ばかりになってしまいました。
確かにロングドライブには申し分のないコースでしたが、観光気分よりも魅力的なアテンザの豊富なモデルバリエーションのおかげで試乗モードが勝ってしまった結果とお察しください。
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