レクサス CT200h プロトタイプ 試乗レポート/森口将之(2/2)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:オートックワン編集部
成瀬氏セッティングのFスポーツなら欧州のプレミアムブランドに匹敵する!
パワーユニットは前述のとおり、プリウスと同じ1.8リッターエンジン+モーターで、最高出力/最大トルクも等しい。違うのは、エコ/パワーモードの選択がダイヤル操作になったことと、パドルで操作する6速マニュアルモードを持つことだ。
車両重量はプリウスの中間グレードSより50kg重いが、加速に不満はない。静粛性がプリウスよりはるかに上なので、エンジンを回している実感が薄いことも効いている。音そのものも、きめ細かくなったような気がする。もちろんEVモードに切り替えれば、ほぼ無音の電動走行が体験できる。
レクサス・ハイブリッド初のパドルシフトは、加速時のギアチェンジを受け付けないのが不満だが、減速時にはシフトダウンするごとに回転数が上がり、強力なエンジンブレーキが手に入る。そしてスポーツモードを選ぶと、スロットルレスポンスが鋭く、ステアリングが重くなるだけでなく、メーターの照明がブルーからレッドになり、システムインジケーターがタコメーターに変わる。
これまでのレクサス・ハイブリッドでは見られなかった種類の演出だが、シャシーのスポーティさはそれ以上だった。
この日はバージョンC、バージョンLのほか、Fスポーツという走り指向のグレードにも乗った。今年6月に不慮の事故で天に召されたテストドライバー、成瀬弘氏がセッティングを担当したグレードだ。
バージョンCやバージョンLでも、ノーズの動きは鋭く、コーナーでのロールは抑えられ、リアのグリップは安定している。とくにスポーツモードでは、トラクションコントロールの設定までアンダーステアを抑える方向に変わるという説明どおり、ペースを上げても切ったとおりに進んでいく。
しかし16インチはともかく、17インチのホイール/タイヤを履いた試乗車では、段差での突き上げがやや直接的だった。ところがFスポーツは、ホイール/タイヤサイズは共通なのに、同じ段差をフワッと通過しつつ、コーナーではほとんど傾かず、ペースを上げてもタイヤは粘り強く路面をグリップし続け、ピタッと路面に張り付いたように曲がっていけるのだ。
乗り心地とハンドリングの両立という点で、Fスポーツの足はヨーロッパのプレミアムブランドに匹敵する。成瀬氏はもうこの世にいないけれど、彼の魂はしっかり宿っているような気がした。CO2排出量89g/kmという数字もすごいが、エコだけで終わっていないところにCT200hの最大の価値がある。
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