ランドローバー ディスカバリー4 試乗レポート(2/2)
- 筆者: 日下部 保雄
- カメラマン:小宮岩男
高速クルージングも快適な5リッターV8エンジン
もっとも大きく変ったのはエンジンだ。全て最新のジャガーに使われている5リッターのV8エンジンに統一されたのが今回のモデルイヤーの特徴だ。
従来の4.4リッターエンジンを5リッターにして直噴化しつつ、可変吸気マニホールド、可変カムシャフトタイミング、2段階可変バルブリフト、2段階カムプロフィールで低速トルクとパワーを向上。それにこのAJ-V8型エンジンは、ジャガーのエンジンをそのままコンバートしたものではなく、ランドローバーらしい悪路対策が施されている。
オイルパンのバッフルプレートを追加して、車両が傾斜した時もオイルが潤滑できるようにし、オルタネーターやパワーステアリングポンプなどの防水対策が施され、あらゆる過酷な条件でも走行が出来るようチューニングされている。
ランドローバーが得意のテレインレスポンスは、路面に応じて前後左右の駆動力配分などを行い、難しい砂地での走行や雪道での最適な走行状態をダイヤル一つで選択できる、優れたシステムだ。
センタークラスターなどにウッドパネルが貼られ(HSE)、ラグジュアリーになったインテリアは、従来のレンジローバーを彷彿とさせる。大きなシートはランドローバーの特徴の一つでもあるが、そこから見晴らす景色は見切りが良くて、大変居心地がいい。
特に、四隅の見切りの良さはランドローバーの特徴で、オフローダーたる出自と矜持を守っている。意外なほど狭いところでも取り回しがよく、また意外なほど小回りも効くので実際のサイズよりも小さく感じる。
装着タイヤは、グッドイヤー 225/55R19サイズの大径タイヤを履いていたが、クルマの性格上、本格的なオフロードも意識しているだけに、荒れたコースも走破出来そうなトレッドパターンになっている。
反面、高速での直進安定性はオンロード志向の強いタイヤと比較すると、多少のヨレ感が残るのも事実。サスペンションはオンロードのコーナーでロールを抑えたもので、これまでよりもコーナリング速度が上がっているだけでなく、左右のハンドルの切り返しでも反応が早い。
タイヤのヨレはサスペンションチューニングの影響が出ているが、タイヤとサスのバランスは結構高いところにある。エンジンはさすがに低速トルクがあり、これならオフロードでも使いやすそうだ。少しざらついた回転フィールも、ディスコらしくていい。
これまでのエンジンと比較すると燃費も良くなっており、更に高回転の伸びも軽やかなので、高速クルージングも快適で気持ちよくこなせる。
価格差が縮まったレンジローバー スポーツとの選択は難しいところだが、ディスカバリーのハイエンドを狙うか、レンジローバー スポーツのベーシックモデルを取るか、それはライフスタイルの投影だけに悩ましいところだ。
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