自動車メーカー各社の自動駐車は本当に使える? トヨタ、日産、ホンダ、ダイハツの駐車支援システムを徹底比較

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クルマの運転は好きだけど、どうも駐車場に停めるのだけが苦手、という人は多いのではないだろうか。そんな人たちのために、自動車メーカーは日々技術を磨き、スイッチを押すだけでハンドルやアクセル、ブレーキを自動で制御して、ほぼ自動で車庫入れができるような装備を実現した。

ただ、メーカーによって少しずつ操作方法や操作感が違い、作動させられる条件や検知できる範囲などにも差があるので、実際どうなの? 本当に使えるの? と懐疑的な人もいるだろう。この記事では、駐車アシスト機能を実際に使ってみてどうなのかについて、モータージャーナリストのまるも亜希子さんがレポート。トヨタ・日産・ホンダ・ダイハツ各社の違いを詳しくご紹介する。

目次[開く][閉じる]
  1. 白線がなくても使えるトヨタのアドバンストパーク
  2. 日産のプロパイロットパーキングは一連の動作を自動制御
  3. 縦列駐車からの出庫までアシストするホンダのスマートパーキングアシスト
  4. 簡単な操作が魅力のダイハツ スマートパノラマパーキングアシスト

白線がなくても使えるトヨタのアドバンストパーク

まずトヨタは、「アドバンストパーク(高度駐車支援システム)」という装備をヤリス、ヤリスクロス、アクアにオプション設定、MIRAIに一部標準装備として搭載しています。

他社との違いは、白線で区切られた駐車スペースだけでなく、事前に登録しておくことで、白線のないスペースでもアシスト操作が可能になること。これは、「駐車支援機能が欲しいけれど、自宅の駐車場には白線がないから使えない」というユーザーの声に応えたものだそうです。確かに、これまでは白線があっても薄くなっていたり、消えていたりすると作動しなかったり、路面が土やジャリなどで白線がない駐車場では使えないということが弱点の1つでした。

実際にヤリスで「アドバンストパーク」をためしてみると、まずは白線のある駐車場での並列駐車では、停めたい駐車枠の横に停車して、スイッチを押してそのスペースを画面に検出させます。

この時、駐車枠に近づきすぎても離れすぎても、スペースが検出されません。だいたい車両の全幅の1/2程度の隙間をあけて停めると良いと言われましたが、その塩梅が最初はよく掴めず、この時は3回目でようやく駐車スペースが検出されました。

画面に駐車スペースが縁取られたら、確認してOKを押し、その後再びスイッチを押すと、ハンドルが勝手にクルクルと回りはじめ、ペダルから足を離したままで前進していきます。そのスピードは遅すぎず速すぎずちょうどいい感覚。すぐにブレーキがかかって停止し、シフトレバーを「R」に入れるよう指示が出ます。その操作は手動です。

そして後退が始まり、ハンドルがまたクルクルと回って駐車枠にうまいこと収まりました。最後は自分でブレーキペダルを踏んで完了となります。ここまでの動きは思っていたよりも速く、車庫入れが上手な人並みとまではいきませんが、何度も切り返して入れ直している人よりは確実にスムーズだと感じました。

また、白線のない駐車スペースでも試してみました。最初に、そのスペースに停車している状態でメモリ機能への登録が必要ですが、その登録操作はものの1分もかからない程度。そして実際の駐車支援も白線のある場合とほぼ変わらず、スムーズに完了しました。

「アドバンストパーク」は、混み合っている駐車場で使うのは気が引けますが、平日のショッピングモールなど、人やクルマの出入りがそれほど多くない場合なら、十分に実践的だと感じます。

日産のプロパイロットパーキングは一連の動作を自動制御

次に日産は、多くの車種に「インテリジェントパーキングアシスト」という機能を搭載していますが、それはハンドル操作がアシストされ、ブレーキ操作は自分で行うという半自動の機能になります。最も使いやすいのは、リーフに搭載されている「プロパイロットパーキング」。なんとこちらは、ハンドル、アクセル、ブレーキ、シフト、パーキングブレーキまで全ての一連の動作が自動制御となっています。

実際の使い方は、まず駐車スペースの検知ですが、並列駐車の場合はスペースを探しながらゆっくりと走っていると、クルマが自動でスペースを検出して画面に映し出し、駐車可能なスペースがわかりやすいのがいいところです。

複数のスペースが検出された場合には、画面で好きなスペースをタッチすると、そのスペースへの駐車を開始します。ハンドルから手を離し、ペダルから足を離して、ただ指1本でスイッチを押し続けていれば、あっという間に駐車が完了。とてもスムーズで速いことに驚きます。これまで何十回と実際に試しましたが、駐車できなかったケースはわずかに1回のみ。

それは、車道脇に縦列駐車をしようとしていたところ、後ろから来たクルマが先にそこへ入ってしまったというだけで、スペース検知と承認の完了までのほんの数十秒が、自分で運転する場合とクルマに任せる場合の差になるということでしょう。「プロパイロットパーキング」に任せるメリットとしては、ドライバーの目視では死角になる低い位置の障害物もしっかり監視してくれるということ。より安全な車庫入れができるのがありがたいところです。

縦列駐車からの出庫までアシストするホンダのスマートパーキングアシスト

続いてホンダでは、軽自動車やコンパクトモデルを中心に「スマートパーキングアシスト」という機能を搭載していますが、最新のシステムはHonda eに搭載された「Hondaパーキングパイロット」です。ハンドルとシフトを自動制御して駐車支援を行うもので、ドライバーはブレーキペダルを操作しながら速度の調整をします。

特徴としては白線のある縦列/並列だけでなく、白線のない縦列/並列、斜めに区画が並んでいる駐車スペースへのバック駐車、縦列駐車からの出庫までアシストしてくれること。とくにこの出庫は、意外と苦手という人が多いので嬉しい機能でしょう。

実際に試したのは白線のある駐車スペースでの並列駐車でしたが、駐車スペースの検出が早いことに感心。駐車可能なスペースがグリーンのラインでわかりやすく表示され、複数ある場合は好みの場所を指定できます。

Honda eのボディサイズが小さく、RRで小回り性能に優れることもあり、一度の切り返しで難なく駐車スペースのド真ん中に駐車が完了しました。障害物があるかどうか、クルマが今どんな位置にいてどんな向きなのか、というところも画面でしっかり確認でき、安心感が高いと感じました。こちらも、日常で使いやすいシステムです。

簡単な操作が魅力のダイハツ スマートパノラマパーキングアシスト

次にダイハツでは、タントから搭載されている「次世代スマートアシスト」の中の1つの機能として、駐車支援システムの「スマートパノラマパーキングアシスト」が搭載されています。この開発にあたり、重視したのは「簡単な操作」「駐車完了までの早さ」ということで、ユーザーから「そうじゃなければ付いていてもなんの意味もない」とキツい言葉まで受けてしまったことで、開発にも力が入ったそうです。 

実際に、白線のある駐車スペースでの並列駐車を試したところ、まず駐車スペースから約1mほどの間を開けてゆっくりと進むと、画面での駐車スペースの検出が行われます。「このスペースに駐車しますか?」とのアナウンスに、画面の「はい」を押すと車庫入れが始まります。ハンドル操作が自動制御されるので、アナウンスに従って前進、シフトチェンジ、バックを行えば、駐車完了。かかった時間は50秒ほどでした。

その後、同じく「スマートパノラマパーキングアシスト」が搭載されているタフトでも試したところ、タントの時よりやや駐車スペースの検出に時間がかかる印象はありましたが、車庫入れそのものは同様にスムーズ。アナウンスの途中でもさっさと操作が始められるので、アシストに慣れてくればもっと時間を短縮できるはず。これも、苦手な人が何度も切り返して自分で入れるよりは、早く完了するのではないでしょうか。

1つ懸念材料があるとすれば、ダイハツは車体の前後左右に配置したカメラによる周囲の監視、駐車スペースの検出を行うため、カメラ+ソナーなどを併用している他社のシステムと比べると、雨の日や強烈な西日といった、天候の条件によっては作動しない可能性も高いのではないかということです。ただ、地下駐車場のような薄暗い場所で実際に試したところ、問題なく作動しました。

それぞれ性能には特徴があるため、上手に活用しながら苦手意識を払うのが理想だ

ということで各社の駐車支援システムを比較してみましたが、いかがでしたでしょうか。ひと昔前と比べると、作動できる駐車スペースの条件が幅広くなり、白線が引いてないスペースもOKとなったり、出庫までサポートしてくれるなど、特徴もわかりやすくなっていると感じます。

どんな場所でも使えるという万能なシステムはまだありませんが、技術は日々進化しているので、そのうちに実現するかもしれません。駐車が苦手な人にとっては、こうした技術の助けをうまく借りながら、苦手意識を取り払い、やがては自分だけでも上手に駐車できるようになるのが理想的ですね。今後も期待しましょう。

【筆者:まるも亜希子】

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まるも 亜希子
筆者まるも 亜希子

大学卒業後、編集プロダクション株式会社エディトリアル・クリッパーに就職、自動車雑誌「ティーポ(Tipo )」の編集者として6年間勤務。2003年にフリーランスとして独立。現在は雑誌やウェブサイトの自動車関連記事に出演・寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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