エンスト(エンジンストール)の原因や対処方法を徹底解説! 実はAT車(オートマ車)でも起こるので注意【2024年】
- 筆者: MOTA編集部
MT(マニュアルトランスミッション)車を運転していたら、エンスト(エンジンストール)をしてしまったという方も少なくないのではないでしょうか? MT車あるあるとしてよく耳にしますが、 実はAT(オートマチックトランスミッション)車にも起こりうることをご存知でしょうか? では、そもそもエンストとは何なのか? ここでは、エンストについての原因と対処法を解説していきます。
エンスト(エンジンストール)ってどんな現象?
発進時や走行中にエンジンが停止し、走行できなくなる現象
エンストとは、エンジンの回転が何らかの理由で停止してしまい、十分な駆動力を発揮できなくなる現象を指します。
よくエンジンストップ(Engine Stop)と思われていますが、正しくはエンジンストール(Engine Stall)です。意図的に停止するニュアンスを持つストップに対し、ストールという言葉には、段々と勢いを失って停止するという意味が込められています。航空機の失速もストールと表現されます。
ここでは、エンストの発生原因や対処方法を、詳しく解説します。
一般的にエンストとは、MT(マニュアルトランスミッション)車で半クラッチが足りない際に起こる現象
エンジンが発生する力には、馬力とトルクがあり、これらは、エンジンの回転数が上がれば増加します。
車を停止状態から発進させるために必要なのは主にトルクですが、アイドリングの回転数だけでは不十分です。そのためにアクセルを踏んでエンジンの回転数を上げ、トルクを増加させなければなりません。
AT(オートマチックトランスミッション)車ではこれらを自動的に行ってくれますが、MT(マニュアルトランスミッション)車ではドライバーがクラッチを踏み、ギアを1速に入れつつアクセルを踏んで回転数を上げ、半クラッチを経てクラッチを繋ぎ、車両を発進させなければなりません。それが上手にできないと、ガクンというショックと共にエンジンも車も止まってしまいます。バイクでも同じです。
これは一人で運転していても不快ですし、同乗者も体に軽い衝撃を受けます。また、坂道発進の場合、エンストして後退し、後ろの車にぶつかってしまうリスクもあります。
急激にクラッチを繋いだり、いきなり2速以上に入れたりした場合もエンストが起こる
またエンジンの回転数が十分でも、急激にクラッチをつないだ場合はエンストしやすくなります。1速でなく2速で発進しようとした場合も、エンストが発生する確率が上がります。
逆に言えば車をスムーズに発進させることは、エンジンの回転数を上昇させて十分なトルクを発生させ、低いギアでタイヤに伝えるという作業の連続です。これらのうちどれか一つでも欠けると、発進時にギクシャクしたり、エンストする確率が上がったりします。
AT車でもエンストはする! どんな原因がある?
燃料供給や燃焼制御関連のトラブルの可能性がある
エンストと言えばMT車に特有と思われがちですが、実はAT車でもエンストは起きるのです。頻度としては多くはありませんが、燃料制御周りのトラブルが原因で起こる場合もあるので、万が一発生したらその原因をちゃんと調べる必要があります。ここでは考えられる原因をご紹介します。
発進時にエンストが起こる場合
▼アイドリングの回転数が低すぎてトルクが足りない
ATでは、シフトレバーをN(ニュートラル)あるいはP(パーキング)からD(ドライブ)に入れると、エンジンにトルコン(トルクコンバーター)の負荷がかかります。その際アイドリングの回転が低すぎると、エンジンの回転がトルコンの負荷に耐えきれずエンストしてしまいます。これは、MT車で十分に回転を上げずに発進しようとしてエンストが起こるのと似た原理です。
▼急過ぎる上り坂で発信しようとしたらトルクが足りなかった
また、あまりにも急な上り坂でDレンジに入れた場合も、MT車で急激にクラッチをつないだのと同じようにトルクが足りず、エンストすることがあります。
走行中にエンストが起こる場合
▼ポンプの詰まりや燃料制御など、燃料系のトラブル
燃料ポンプやキャブレターが詰まっている、アクセル開度に比例して開いていない、燃料噴射プログラムにトラブルが起きているなど、最適量の燃料を噴射できないと、エンジンが十分なパワーを発生できず、エンストにつながります。
▼点火プラグなど、点火系のトラブル
エンジンは、クランクシャフトの回転にきっちりシンクロして点火プラグをスパークさせなければなりません。しかしこのタイミングが狂うと、エンジンの回転がばらついたり、回転が上昇しなくなったりしてしまいます。
回転がばらつく、4気筒のうち1気筒が爆発しないという場合のほとんどは、燃料か点火いずれかのトラブルが起きています。その結果、パワーが出ず、エンストしてしまいます。
▼違う燃料を入れてしまった
ガソリン車に軽油を入れた場合、ディーゼル車にガソリンを入れた場合も、エンストします。また最悪の場合、エンジンが壊れてしまいます。
▼アクセル開度センサーや燃料ポンプへのエアー混入
他にも、スロットルバルブのバキュームセンサー(アクセルの動きを検知するセンサー)異常、燃料ポンプひび割れによるエアー混入等が考えられます。
エンジンが不調かな? という時に点検したい項目
アイドリングが安定しない、またはAT車でもエンストするなど、エンジンの不調を感じたら、整備工場で点検してもらわなければなりません。しかし、いきなり整備工場に持って行くのではなく、まずは自分で点検を行い、消耗品の交換や簡単なメンテナンスを行うことで改善できる場合もあります。
点火プラグ
点火プラグは、ガゾリンエンジンに装着されているパーツで、ガゾリンエンジンの正常な作動にはなくてはならない存在です。エンジンの燃焼室にある点火プラグは高温、高圧な環境にさらされているため、先端の電極が消耗し最終的にはエンジン不調の原因になります。
近年多くの車種では、電極に高耐久のイリジウムや白金を用いたプラグを採用しており、10万kmが交換基準となりますが、エンジンの調子がよくないと感じたら点検してみましょう。(※点検が困難な車種もありますので、無理は禁物です。)
■NGK イリジウムプラグ IZFR6K13
NGK イリジウムプラグ IZFR6K13は、着火性能の良いイリジウムを用いた端子一体型の点火プラグです。
ニューセラミックスの絶縁体を使用しており、絶縁性、熱伝導性に優れ、焼けすぎを防止。熱範囲が広く低速~高速域までをカバーし、焼けにもくすぶりにも強いワイドレンジプラグとなっています。
なお、本品は点火プラグの一例であり、交換する場合はご自身の車に適合するプラグ品番を確認しましょう。NGKの公式サイトから、型式や年式などを元に適応品番を検索することができますよ。
エアクリーナーエレメント
エアクリーナエレメントとは、人間で言えばマスクのような存在で、エンジンが吸い込む空気のゴミや砂を除去する役割があります。特殊なスポンジや不織布でできており、使い続けることで汚れるため、最終的には目詰まりをおこすことでエンジン不調の原因となるため定期的な交換や清掃が必要です。
■トヨタ純正 エアクリーナーフィルター 17801-37021
トヨタ純正 エアクリーナーフィルターは、ディーラーや修理工場などでも採用されている高品質の純正フィルターです。
価格は2,370円とリーズナブルで、目詰まり解消のため掃除機で吸ったりはたいたりといったメンテナンスをするより、交換してしまっても高コスパと言えます。交換には工具等も不要で、自分でスグ出来るのでDIYも簡単ですよ。
なお、本品は一例(トヨタ プリウス ZVW30用)であり、購入する際は車種ごとの適応品を確認しましょう。
添加剤
エンジン内部には、燃焼で発生する煤(スス)や金属同士が擦れることで生まれる金属粉など、さまざまな汚れや不純物が蓄積されていきます。しかし、エンジンオイルや前述したエアクリーナーエレメントの交換はできてもエンジンを分解して掃除することはできないません。
そこで活用したいのが、ガソリンやエンジンオイルに使用する添加剤。定期的に使用することでエンジン内部の汚れや不純物を除去してくれます。
■ワコーズ F-1 フューエルワン ガソリン・ディーゼル兼用洗浄系燃料添加剤
ワコーズ F-1は、燃料タンクに注入するだけで燃料系統を清浄に保ってくれる燃料添加剤です。
燃料燃料20~60Lに対して1本(200ml)を使用し、ガソリン・ディーゼル車、ハイブリッド、PHEV車にも使えます。燃料系統に堆積したカーボンやワニス、ガム質などを除去してくれるほか、酸化や腐食を防いで燃焼効率を向上する効果があります。
本品を初めて使用する時、あるいは古い車の場合、複数回使用がおすすめです。
■ワコーズ ECP eクリーンプラス 遅効性エンジン内部洗浄剤
ワコーズ ECP eクリーンプラスは、エンジンオイルに混ぜ、走行しながら使用できるフラッシング剤です。
エンジン内部で固形化した汚れ(スラッジ)を剥がすのではなく、ゆっくりと溶かして除去するため、パイプなどで目詰まりを起こすことがありません。ただし、オイルメンテナンスをしておらず、スラッジが溜まりすぎている場合などは使用できませんので注意しましょう。
なお、本品の使用後、次回のオイル交換の際にはオイルフィルターの交換も必要です。
バッテリー
エンジンの始動に加え、エンジンで駆動される発電機(オルタネーター)で賄いきれない電力を補助するバッテリーは、いまや車にとってなくてはならない存在です。何も異常の無い状態であれば、バッテリーの劣化が直接エンジン不調の原因になることはありません。
しかし、10万キロ以上走行した、または新車から5年以上経過している場合、発電機の能力が低下している可能性があります。その場合は劣化したバッテリーでは電力を賄いきれず、エンジン不調を引き起こしてしまうのです。
■パナソニック Blue Battery カオス 標準車(充電制御車)用 N-60B19L/C8
パナソニック Blue Battery カオスC8シリーズは、充電制御車、標準車向けのバッテリーです。独自技術「新パワフルペースト」採用によって高速充電性能が大幅アップするとともに、大容量かつ軽量化を実現。またMFシルバー合金を採用することにより長寿命となっています。
原料である鉛の加工から組み立てまで国内生産にこだわっています。優れた基本性能により、カーオーディオなどに繊細な電流を供給し、クリアな音質を実現。カーオーディオを臨場感ある音質へとこだわる方にもおすすめのバッテリーです。
なお、購入される際は、バッテリーメーカーの適合表をご確認ください。
走行中にエンストしたらどうする? 対処法を徹底解説
まずは再始動を試みて、安全な場所まで移動する
さて、通常はエンストしないオートマでエンストしてしまうと、誰もが慌ててしまいます。しかしそこは冷静になり、まずはエンジンを再始動しましょう。シフトレバーをPに入れ、セルモーターを回します。(プッシュスタート式の場合はボタンを押す)
DレンジからPレンジに切り替えるのを忘れずに
こういうとき、慌ててDレンジのままエンジンの再始動を試みてしまいがちですが、Pに入れないとエンジンはかかりません。この過程さえ間違わなければ、燃料ポンプによほど致命的トラブルがない限り、エンジンは再始動できます。回転がばらつくこともありますが、復活する可能性はあるので、何よりも慌てないようにしましょう。
エンジンがかかったら、あまりアクセルは踏み込まず、アイドリングのままDレンジに入れ、そっとアクセルを踏んで危険でない場所まで移動しましょう。アクセルを急に踏み込むと、急発進して事故を起こす可能性があります。
走行中にエンストすると、正常な運転操作ができず非常に危険
走行中のエンストには、もうひとつ大きな問題があります。それは、ハンドルとブレーキが極端に重くなることです。通常の車についているパワーステアリングとブレーキブースターは、エンジンのアシストによって操作が軽くなっています。エンジンが止まると、これら補助力がなくなってしまいます。すると、ハンドルもブレーキも、驚くほど重くなります。一度体感すれば分かりますが、この時のハンドルの重さときたら、回すと途中のシャフトがどこか折れるのではないかと思うぐらいの重さです。ブレーキに至っても、全く効いていないかのようにペダルが重くなります。
そうなると正常な操作ができないので、安全な停車も非常に困難になります。そのため、まず最初にすべきはエンジンの再始動です。
エンジンの再始動ができなければ、とにかく停車させることを最優先
エンジンが停止した状態だと、ハンドルは非常に重くなりますが、無理に回してシャフトが折れることはありません。またブレーキも、本気で踏めば効力は発揮されます。
ギアをPに入れて無理に停車させようとするのは非常に危険、絶対にNG
車を停止させるためにシフトをP(パーキング)に入れれば良いのではないかと思ってしまいそうですが、これは機械的にギアをロックさせるもので、非常に危険です。走行中にギアをPレンジに入れると、たとえ時速60キロや100キロでもタイヤにロックが掛かってしまいます。すると、壁に激突したかのように衝撃がかかり、その後、車体のコントロールはほぼ不可能になります。
サイドブレーキを引くのも同様です。後輪が急にロックされるとトラクションを失い、あらぬ方向に車両が向きを変える可能性が高く非常に危険です。
エンスト後にエンジンが再始動ができないなら、安全に停車した状態でレッカーを待つ
エンジンが再始動できない場合は、ギアをPに入れ、停車した状態でレッカーを待ちましょう。そこで必要なのは、ハザードランプをつける、車後方に三角板を設置する、JAF等に連絡するなどです。肝心なのは停車中であることを周囲の車にアピールし、二次被害を未然に防ぐ事です。
高速道路を走行中にエンジンが停止した場合はどうすればいい?
高速道路の場合は、車の50m以上後方に三角板を置きます。発炎筒を焚くのも効果的です。
そして故障を知らせる専用電話を探します。通常は約1km間隔(首都高速では500m)、トンネル内では約200m間隔(同じく100m)で設置されており、通話料はかかりません。連絡をしたら、速やかに車外に出て、ガードレールのさらに外側、車の後方で待機します。
高速道路の車線は、実は非常に危険な場所です。路側帯で止まっていて、追突される事故が頻繁に起きています。間違っても車内にとどまってはいけません。
万が一の事態にも積んでおくと安心なアイテム
走行中のエンストはぜひとも防ぎたい事態ですが、エンスト以外にも万が一のことは起こり得ます。そんな、いざという時のために、車に積んでおくと安心のアイテムを3つご紹介しましょう。
出番がないに越したことはありませんが、常備しておけば他の車の救援の際にも役立ちますよ。
■エーモン 非常信号灯 国土交通省保安基準適合品 車検対応 (防滴仕様IPX3相当) ON/OFFスイッチタイプ 6904 赤
エーモン 非常信号灯は、車の故障時などに周りに危険を知らせるLEDのライトです。助手席の足元などに備えられた「発炎筒」と同じ役割を果たすもので、保安基準適合品で車検にも対応しています。
発炎筒は4年という使用期限があるほか、とっさの時に使える自信がない方もいるでしょう。しかしこのLED非常信号灯は消費期限がなく、電池交換で繰り返し使用可能。夜間、約200m先からでも確認できる強力発光で点灯時間も長く、二次災害を防ぐのに役立ちます。マグネットでボディにくっつけられるのも便利なポイントですよ。
こちらのLED非常信号灯(6904)は、従来品に比べ明るさが1.7倍アップし、さらによく見えるようになっています(メーカー調べ)。
■エーモン 三角停止板 国家公安委員会認定品(認定番号 交F16-2) 6640
エーモン 三角停止板は、高速道路上での故障時などに設置が義務付けられている三角表示板です。発煙筒と違って車載義務はないので標準装備されていないため、高速を利用するドライバーは万が一に備えておくといいでしょう。
本品は風速18mという強風でも吹き飛ばない安定性を持ち、国家公安委員会の認定品にもなっています。
三角停止板は故障車両の後方50m付近に設置しますが、高速道路上ではそのための移動も大変。上記の非常信号灯とあわせて使うのがおすすめです。
■エマーソン 車用 けん引ロープ 3t EM-373
- 車用 けん引ロープ 3t EM-373
- エマーソン
エマーソン 車用 けん引ロープ は3tまでの普通車を安全に引っ張れる、伸長時4mの牽引ベルトです。
伸縮タイプなので、引っ張り始める際に徐々に伸びていき、牽引車に大きな衝撃をかけることなく牽引できます。また車間距離が詰まってたわんだ際には縮むため、地面を擦る心配もありません。もしもの時、救援する側・される側どちらでも重宝しますよ。
まとめ
MT車は自分でギアチェンジを行うので、エンストが起こりやすいのが特徴。クラッチ操作は慎重に、アクセル操作は丁寧に行いましょう。万が一実際にエンストしてしまうとパニックになり、後続車に迷惑をかけまいとより焦ってしまうこともあるでしょう。そんな時は、気持ちを落ち着け今一度丁寧な操作を心がけましょう。
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