8ナンバーとはどんな車? 車検、高速料金の違い、2022年の法改正による変更点を含む取得方法を徹底解説

  • 筆者: MOTA編集部
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パトカーや消防車、最近ではキャンピングカーなどの特殊用途自動車に割り振られる8ナンバー。

一般的な普通車の3ナンバーや5ナンバーとどのような違いがあるのでしょうか?

税金や車検費用、保険などの維持費のメリットや登録の条件などを解説します。

目次[開く][閉じる]
  1. 8ナンバーって何?|ハイエースなどを改造したキャンピングカーも該当する
  2. キャンピングカーが8ナンバー車に登録できる理由と例外
  3. 8ナンバー登録にすることで税金や車検、維持費はどう変わる?
  4. わざわざ8ナンバー登録してもメリットはあまりないが、キャンピングカーなら別

8ナンバーって何?|ハイエースなどを改造したキャンピングカーも該当する

街中でたまに見かける8ナンバー。8ナンバー車にはキャンピングカーやパトカーなどが多いことから、特殊な車が8ナンバーになるとの認識を持っている人もいるでしょう。ですが、普通の自家用車、例えばトヨタ ハイエースなどが架装していない状態でも8ナンバーをつけている場合もあります。他にもパッと見ただけでは一般車との区別がつかない工夫を凝らした車いす移動車なども該当します。

「8ナンバーにしたら何か得するの?」「メリットがあるなら自分も取得したいけど、実際のところ維持費や取得方法はどうなっているの?」などなど、気になる点がいろいろとあるでしょう。

そこで当記事では「そもそも8ナンバーって何?」というところから、税金や保険料などの維持費にメリットまで具体的に紹介します。

8ナンバー車の定義は特殊用途自動車、緊急車両や特殊運搬車両が該当する

自動車の用途は、その構造や装置により、乗用自動車、乗合自動車、貨物自動車、特種用途自動車の4用途に区分されていますが、8ナンバー車はこのうち特種用途自動車に分類されます。

車両に特定の目的に合わせた改造を施したものを指し、使用目的は「緊急車両」「法令特定事業で使用する自動車」「その他の特種な目的で使用する自動車」の3つに区分され、全部で78の形状があります。

緊急車両

警察車両、消防車、救急車、検察庁車、緊急警備車など13形状

法令特定事業で使用する自動車

給水車、郵便車、霊柩車、採血車、図書館車、郵便車など13形状

その他の特種な目的で使用する自動車

・運搬目的の自動車 

現金輸送車、アスファルト運搬車、冷蔵冷凍車、散水車など15形状

・患者、車椅子利用者の輸送目的の自動車

患者輸送車、車いす移動車の2形状

・特殊な作業目的の自動車

ボイラー車、ポンプ車、農業作業車、事務室車、電気作業車など32形状

・キャンプ又は宣伝活動を行うための特種な設備を有する自動車

キャンピング車、放送宣伝車など3形状

一般ユーザーに関連がある8ナンバー車はキャンピングカー

このように8ナンバー車は専門的な作業を目的としたもので、私たちに馴染みがないものが目立ちます。私たち一般ユーザーに関係する8ナンバー車と言えば、真っ先に挙がるのが、昨今のアウトドアブームで注目を集めるキャンピングカーでしょう。

キャンピングカーにもミニバンベース、トラックベース、バスベースと種類があり、それぞれ土台となる車種が異なるため使い勝手も違います。

例えば、ミニバンベースのキャンピングカーは車内空間こそさほど広くないものの、小回りも効き、旅先での移動もラクラク。

トラックベースのものは、トラックの荷台に居住空間を乗せたものなので、適度な取り回し性能を有しつつ、室内は十分すぎるほどの広さがあります。

ナンバーに含まれる分類番号って何?

自動車のナンバープレートにおいて、地域名の横に書かれている3桁の数字を分類番号と言います。これは、自動車の種類や用途を区分するための番号で、3桁の分類番号の上1桁は自動車の「用途」や「大きさ」を区分します。0~9までがあり例えば、”1”は普通貨物車を、”3”は普通乗用車を、”4”と”6”は小型貨物車・軽貨物車に割り当てられます。一方下2桁は「一般払い出し番号」と「希望番号」を区分するものです。

キャンピングカーが8ナンバー車に登録できる理由と例外

通常、形状や原動機の型式、燃料の種類、用途などに変更を生ずるような改造をしたときは「構造等変更検査」を受けなければなりません。従って、特定の用途に合わせた改造を施した車に割り当てられる8ナンバーを取得するには、この検査を受ける必要があります。

検査は運輸支局もしくは自動車検査登録事務所で行われるのですが、どんな車でも8ナンバー化できるわけではなく、その用途に応じた要件をクリアする必要があるのです。

では、どうしてキャンピングカーは8ナンバー車に登録できるのでしょうか。また、すべてのキャンピングカーは8ナンバー登録ができるのでしょうか。

寝台や調理設備、上下水設備があると8ナンバーの要件が満たせる

8ナンバー取得の要件はいくつかありますが、その中に以下のようなものがあります。

“特殊設備が運転席以外にありその面積が1平方センチメートル上(軽自動車の場合0.6平方センチメートル以上)あること”

“特殊設備の面積が運転席を除く合計床面積の2分の1を超えること”

“積載スペースと乗用スペースの間に適当な隔壁又は保護仕切があること(最大積載量500kg以下の場合は座席の背あてでも可)”

上記の特殊設備はこの場合、キャンプや宿泊に必要な寝台、調理設備、上下水設備が含まれます。これは多くのキャンピングカーに搭載されているので、条件としては十分になります。またそれ以外のボディ構造や面積の条件も、基本的に多くのキャンピングカーで満たすことが可能といえます。

例外として、例えばキャンピングカーでも最大積載量500kg上で積載スペースと乗用スペースの間に仕切がない場合、また、簡易ベットが設置されているものの調理設備や上下水設備を持たない簡易的なキャンピングカーなどは、8ナンバーとしての登録要件を満たさない可能性もあります。

2022年4月の法改正でキャンピングカーの条件が緩和

上記の条件は厳しいものですが、2022年4月に法改正が実施され、キャンピングカーの条件が緩和されました。

洗面台や調理台を利用するスペースの室内高は床面から上に1600mm以上を確保する必要がありましたが、これが1200mmに変更されました。

また、就寝定員も乗車定員の3分の1(小数点以下切り上げ)から3分の1(小数点以下切り捨て)と緩和されています。

これはどういうことかというと、乗車定員5人の場合、法改正前は5÷3=1.6666 つまり2人だったものが、1人でも良いということになります。要するに1人分(180cm×50cm)の就寝スペースが確保できれば構造要件を満たします。

そのため、8ナンバーの取得は以前より簡単になっています。具体的な例を挙げると、ハイエースの標準(ナロー)ルーフでもキャンピングカーにできるようになりました。

また、軽自動車をキャンピングカー仕様にする軽キャンパーも登録がしやすくなっています。

「キャンピングカーが欲しいけれど、運転が不安」という人でも、通常のミニバンくらいのサイズでキャンピングカーにすることができるようになりました。

8ナンバー車を装った不正登録の方法と規制強化

1990年代後半頃までは8ナンバー車には税金面のメリットがありました。これは、8ナンバー車が特殊な車であるがゆえ、公道を走る頻度が少ないのにもかかわらず他ナンバー車と税率が同じでは、不公平が生じると考えられたためです。

しかし、徐々に脱税目的の不正取得が増加しました。典型的な不正が、8ナンバーの要件を満たすためだけに特殊な設備をつけ、取得後に取り外すというケースです。

そのため、当時は、実質事務車両や放送宣伝車両でないにも関わらず、8ナンバー車として登録するといった不正が横行しました。

もっとも、不正が可能だったのは、かつては8ナンバー取得時の審査が甘く、比較的簡単に登録できたためです。こうした不正の増加を受けて2001年法改正により、キャンピングカーの構造要件を厳格化。登録変更の際にも運輸支局や自動車検査登録事務所に車を持ち込んで検査を受けなければならなくなりました。つまり8ナンバーを簡単に取得することはできなくなってしまったわけです。

しかし、最近ではキャンピングカーが注目され、キャンピングカーのベースとなる車種も増えました。ユーザーの中にはキャンピングカーの要件を満たさない普通車で、車検のたびにキャンプ用品を取り外して車検を受けるといったケースもあったそうです。ですが、これは二次架装となるため、厳密に言えば違反となります。そこで、8ナンバー登録を受けたいという声もユーザーから挙がっていました。

そのため、先に触れた2022年の法改正ではこれまで8ナンバー登録の構造要件を満たすことが難しかった軽自動車などの小さめの車両を想定し、就寝定員や室内高など構造要件を緩和したという経緯があります。

8ナンバー登録にすることで税金や車検、維持費はどう変わる?

8ナンバー化のメリット、実は手間の割に微々たるもの

自動車の所有には車検費用、保険料、税金などの維持費がかりますが、8ナンバー車は、他ナンバー車よりもこの維持費が安くあがると言われることがあります。

しかし、結論から言えば、現在は8ナンバー化することで享受できる維持費のメリットはほとんどありません。実際に計算してみると、取得の手間を考えれば8ナンバー化のメリットは微々たるものなのです。

8ナンバー化による税金(自動車税・重量税)の違い

まず自動車税を計算してみましょう。

自動車税は車種や排気量によって、以下の表の通りに決定します。

区分(総排気量・標準税率の場合)

自家用キャンピング車(2019年10月以前に初回新規登録)

自家用キャンピング車(2019年10月以降に初回新規登録)

乗用車(2019年10月以前に初回新規登録)

乗用車(2019年10月以降に初回新規登録)

1L以下

2万3600円

2万円

2万9500円

2万5000円

1L超1.5L以下

2万7600円

2万4400円

3万4500円

3万500円

1.5L超2L以下

3万1600円

2万8800円

3万9500円

3万6000円

2L超2.5L以下

3万6000円

3万4800円

4万5000円

4万3500円

2.5L超3L以下

4万800円

4万円

5万1000円

5万円

3L超3.5L以下

4万6400円

4万5600円

5万8000円

5万7000円

3.5L超4L以下

5万3200円

5万2400円

6万6500円

6万5500円

4L超4.5L以下

6万1200円

6万400円

7万6500円

7万5500円

4.5L超6L以下

7万400円

6万9600円

8万8000円

8万7000円

6L超

8万8800円

8万8800円

11万1000円

11万円

このように自動車税は自動車の用途や排気量によって決まります。8ナンバー車として登録が可能なキャンピングカーなどは普通車登録の車よりも割安になる傾向があります。

とは言え、重量税は自動車の重さで額が決まるもの。設備がかなりの重量になるキャンピングカーでは、必ずしも8ナンバーが安いとは言い切れません。

8ナンバー化による車検期間の違い

続いて、車検期間について見ていきましょう。8ナンバー車の場合は初回から2年ごとですが、車検期間は車の種類や類型によって違いがあります。ですからベースとなる車によって8ナンバーを取得することで車検期間が短くなるケースとそうでないケースもあるわけです。

例えば、トヨタ ハイエースバンや日産 キャラバンなど、1ナンバーや4ナンバー登録車の貨物車では、毎年車検を受ける必要があります。しかし、これらの車をベースに8ナンバー化した場合、車検は2年に1度となり、車検回数を減らすことが可能です。

他方、トヨタ プリウスなど、3ナンバーや5ナンバー登録の普通乗用車の場合、初回3年、以後2年ごとの車検となります。つまり、8ナンバー化した場合、初回の車検期間が短くなってしまう場合もあるわけです。

8ナンバー化による自動車保険料の違い

では、自動車保険料はどうでしょうか。自動車の保険には大きく分けて「自賠責保険」と「任意保険」があります。まずは自賠責保険料について見ていきましょう。

自賠責保険料は車種や契約期間によって金額が決まり、8ナンバーの場合以下の通りになります。

車種

25か月

24か月

13か月

12か月

キャンピングカー(三輪以上の自動車)

2万3140円

2万2450円

1万4640円

1万3930円

自家用車

2万610円

2万10円

1万3310円

1万2700円

※2021年4月改定

つまり、たとえば24か月契約で比較した場合、

・自家用車登録:20,010円

・8ナンバー登録:22,450円

・差額:+2,440円

となり、8ナンバー登録によって高くなってしまうのです。

任意保険ではさらに8ナンバーの恩恵は薄い

次は任意保険料ですが、任意保険料は複数の要素で決定されます。保険料を決める要素には契約者の年齢や保証内容、前年走行距離などがあり、中でも影響が大きいのが「ノンフリート等級」です。

これは、被保険者の事故履歴によって、契約者の安全運転のレベルを20段階の等級で格付けし、その等級に応じて、自動車保険の保険料が割引・割増されます。したがって、ナンバーによって保険料が上下するわけではありません。

加えて、保険会社によっても基準が異なる場合があります。例えば、ソニー損保では運転歴も考慮し、他にもアメリカンホーム保険では性別までも考慮して保険料が決定されるのです。つまり、8ナンバーであることが、任意保険料に直接影響を与えるものではありません。

また、必ず覚えておかなければならないのが、8ナンバー車は任意保険に入りづらいということです。と言うのも、脱税目的の8ナンバー車の増加への対処として構造要件の厳格化がなされたことは前述の通りですが、実は同時に各保険会社に対して任意保険の引き受け審査を厳しくするように省庁から行政指示が出されたのです。

その結果、8ナンバー車を任意保険の対象から外す、対象であっても車内までくまなくチェックした上で契約をするようになったわけです。保険加入に際して車を実際に見て確認するため、違法改造はすぐにバレてしまい、実際に任意保険の加入を断られるケースも少なくありません。

8ナンバー化による高速料金の違い

では高速料金はどうでしょうか。特種用途車両である8ナンバー車は高速料金も高いイメージを持っている人も多いですが、結論から言うとそれは全くの誤認で、8ナンバー車だから高いということはありません。実は高速料金は車の大きさや形状ではなく以下の料金車種区分で決まります。

・軽自動車など

・普通車

・中型車

例えば、乗車定員10人以下のキャンピングカーは乗用自動車に区分されるので、高速料金も普通車の区分になり、軽自動車のキャンピングカーであれば高速でも軽自動車料金になるわけです。

わざわざ8ナンバー登録してもメリットはあまりないが、キャンピングカーなら別

昔であれば8ナンバー車には、維持費を抑えるというメリットがありました。しかし現在では構造要件も厳しくなっています。つまり、わざわざ8ナンバーを取得してもメリットはほとんどなく、維持費の節約目的での8ナンバー化は慎重に判断したほうが良さそうです。

一方、キャンピングカーとしての利用を考えているのであれば、特に室内に設備を整えたいという人にとっては車検のたびにいちいち装備を外す必要がなくなるので、メリットがあると言えます。

【参考】

■自動車の用途等の区分について(国土交通省公式サイト)

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MOTA編集部。編集部員は、自動車雑誌の編集者やフリーランスで活動していた編集者/ライター、撮影も同時にこなす編集ディレクターなど、自動車全般に対して詳しいメンバーが集まっています。

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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