ジャガー XKR・XKR S 海外試乗レポート/西川淳(3/3)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:ジャガー・ランドローバー・ジャパン
“ジャガー”を疑うほどの、野蛮な加速力
ところは、ポルトガルのアルガルヴェ・サーキット。
フレンチレーシングブルーの試乗車に乗り込んだ。XKR-Sには、クーペボディの用意しかない。大きめのスポーツシートのせいか、それともブラック系の硬派なカラーコーディネーションのせいだろうか。室内はタイトな印象。ボディカラーに併せてブルーのラインが入っている。
豪快なエグゾーストノートを聴くと、是非なく気分が盛り上がってきた。走り出してすぐに感じるのは、アジリティの豊かさとステアリング操作における手応えの素直さ、そして軽さだ。きわめて現代的なステアフィールである。
平らなサーキット路面では、硬くフラットな乗り心地がかえって頼もしい。決して官能的ではないけれども、ド迫力のサウンドをまき散らして、加速する。0→100km/h加速4.2秒というカタログスペックは伊達じゃない。これが本当にジャガーなの?!という野蛮さだ。
XKRでサーキット走行したときには、ノーズの動きを持て余すことが多かったが、このSではそれがない。純粋にスポーツ走行を楽しむことができた。
そこまでは想像通り、というか想像を超えていたが、残念だったのはオンロードのライドフィールだ。率直に言って、硬い。否、硬いことは別に悪くない。硬さがストレートで古い、とでも言おうか。居心地の悪い硬さで、内臓に響く。ちょっと前のチューニングカー的なノリ。お世辞にもジャガーらしいとは言えない。
新しいジャガーライドを目指すにしても、もっと洗練された硬さが欲しいところ。550HPという大出力に対して、スポーツ走行の場面はともあれ、乗り心地面では根本的にシャシーが対応し切れなかったのだろうか・・・。
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