ジャガー Sタイプ 試乗レポート
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:小宮岩男
Sタイプ初のフェイスリフトとともに、エントリーモデルをラインアップ。
ジャガーSタイプの2.5Lモデルは、Sタイプ初めてのフェイスリフトと共にバリエーションに追加された、シリーズで最もベーシックなモデル。3Lモデルに対してパワーで41ps、トルクで50N・m低いが、その分価格も割安。一部装備は異なるものの、525万円という価格は『3.0V6』より95万円も安い。
搭載する心臓は、3Lユニットのボアを縮小させたもの。その値を含め、実はこのエンジンは先日登場のフォードV6モンデオ用と基本設計を共にする。ただし、そのチューニングはジャガー社が独自に行なったもの。組み合わせるトランスミッションはZF社製の6速(!)ATで、これもJATCO製の5速ATを組み合わせるモンデオとは異なっている。
“ベーシック・モデル”とは言うもののそこはジャガー車だけに、基本的な装備類は充実。DVDナビやヒーター内蔵ドアミラー、電動調整式ステアリングホイール、コノリー製レザーシートなどはすべて標準。一方『3.0』から省かれたものはヘッドライトウォーシャーや雨滴感知式のワイパーなどだ。
新開発の6速ATがパワー&トルク不足を補う。走りの感覚はジャガーそのものだ。
『2.5V6』の走りは紛れもなくジャガー車らしい。ひたひたと路面を舐めていく感じはいかにも高級サルーン。一方でハンドリングは微舵領域から反応が敏感で、速いコーナリングでもタイヤに無理強いをしない印象が強い。このあたりの走りの感覚が、いかにもジャガー車らしいところ。実はこのメーカーのクルマは、そのどれもが前後の重量配分の適正化からを真摯に考えた“スポーツカー”なのだ。『2.5V6』も、そのあたりの味は余すことなく表現をしている。
ただし、加速はさすがに「余裕タップリ」というわけにはいかない。ちょっと素早い加速が必要になったり、登り勾配が現れたりすると、このクルマはそれまでよりもずっと深いアクセル開度を要求してくる。1.7t級の重量に2.5Lという組み合わせだから、それもある程度は致し方ない。4000rpmはこのクルマにとって、「日常の回転数」だ。
ここで威力を発揮するのが6速AT。きめ細かくギア比を選択出来ることで、前述の非力さを最大限にカバーしている印象が強い。このATはまさに救世主的存在なのである。
エクステリアは最小限の変更、インテリアは大きく手が加えられた。
エクステリア・デザインは従来モデルのそれをほぼ踏襲した新しいSタイプだが、インテリアの雰囲気は大きく変わっている。その理由はダッシュボードのデザインを“フルモデルチェンジ”したこと。かつてのモデルでは、フォード・リンカーンLSと内部構造を共有するために上方展開式の助手席エアバッグを採用していたが、マイナーチェンジを機にそうしたしがらみとは決別。これでようやく左右対称型の“ジャガー・インパネ”を採用することが出来たわけだ。確かに、これによってインテリアの「らしさ」の雰囲気は大きくアップしている。
なお、相変らず室内空間は前席優先のレイアウト。後席は頭上空間が少々タイトで、ショーファー・ドリブンとして用いるにはあまり適当な車種とは言えない。
いずれにせよ、どれをとっても“ドライバーズカー”――それがジャガーというクルマなのである。
全5モデルのオススメは、お買い得モデルの2.5V6とジャガー史上最強のサルーン『R』だ。
『2.5V6』と共に、新しいSタイプにはもう一台のニューバージョンが追加されている。ジャガー社自らが「当社にとって史上最強のサルーン」と呼ぶ『R』がそれだ。4.2Lのメカニカル・チャージャー付V8DOHCユニットを積み込んだこのクルマは、当然ながら『2.5V6』とは対照的なシャープな加速を示す。が、面白いことにこのクルマもとてもジャガーらしい走りのテイストを味わわせてくれるのだ。この点では、今度は『2.5V6』と非常に共通性が高いとも言えることになる。
すなわち、新しいSタイプではその両端に新設された2つのモデルが、なかなかジャガーらしいテイストを色濃く発散させているのが特徴。お買い得感の高い『2.5V6』と、イメージリーダーとしてシリーズを牽引する『R』の両者を、どちらも「オススメの一台」と評することが出来る。
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