ジャガー XK 海外試乗レポート(3/4)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:ジャガー・ジャパン
ジャガー XK 海外試乗レポート
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歴史と伝統が育んだジャガー流儀を現代風にアレンジ

インテリアに関しては、歴史と伝統が育んだジャガー流儀の“スポーツカー・インテリア”のデザインを、テレマティクス・システムや各種のスイッチ付きステアリング・ホイールなどを含めてモダーンにアレンジし直した、という印象だ。4種類のカラー、3種類のパネル材、2種類のレザートリム・・・etcと、好みに応じて様々な風合いで仕立てが可能なそのインテリアの仕上がりのほどは、実はテスト車の個体によってはパーツの合わせ目が完全に揃っていなかったりとまだ完璧と言える状態には達していなかった。

が、これは今回のような遠隔地でのイベントに間に合わせるべく、「発売に半年近くも先駆けて工場を出荷した、プリ・プロダクション・レベルのモデルであるため」という本社スタッフのエクスキューズの言葉を信じても良さそう。各部に採用されたパーツの材質そのものは、レザーにしてもアルミ材にしても木目材にしても、確かにいずれも吟味を尽くされた上質なものだった。

ちなみに、センターパネル部分には7インチ・ディスプレイを軸としたDVDナビゲーション機能付きのインフォメーション・コントロールシステムを標準採用。センターパネル部分に置くスイッチの数を削減するため、オーディオや空調コントロール関係のスイッチを必要最小限なものを残してこうしたシステムの中に仕舞い込んでしまう、というのは、BMWの“iドライブ”やメルセデス・ベンツの“コマンド・システム”と同様の考え方だ。説明書に目をやる事なく大半の操作は直感的に行う事が出来るものの、タッチスクリーン式であるために操作時には必ずディスプレイ部分に目を向ける必要があるのと、そうした操作の度に画面上が自らの皮脂によって微妙に汚れてしまうのは難点だが・・・。

「ジャガー車としては初めて、シフトパドルを採用した」というのが売り物であるものの、フロア上には“Jゲート”式のATレバーが健在。『D』以外の前進レンジが『S』のみとなった今、正確には“逆Lゲート”と表現すべきかも知れないが、一見アナログ的にも思えるこうしたレバーの動きが大きい操作系が、現実には現在選択をしているポジションをブラインドタッチで推測しやすいといった利点もあるのは見逃せない。

コンバーチブルのソフトトップは、裏地付きの3層構造。電動油圧式で約15km/hまでの速度であれば走行中も動作を継続というその開閉は、ちょっとした信号待ちでも変身作業を完了可能な18秒という時間内に行われる。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

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