ジャガー Fタイプ クーペ 試乗レポート／金子浩久(3/3)

路上を支配する速さ！ V8 5.0 スーパーチャージドモデル「R」

3モデルあるFタイプクーペのうち、最初にV8エンジンを搭載する最強力版のFタイプV8Rに乗った。5.0リッター・スーパーチャージドエンジンは550馬力を発生し、0-100km/h加速が4.2秒、最高速度300km/hという超俊足だ。

クールなインテリアはコンバーチブルと変わらない。必要以上にタイトでない運転席も親しみやすい。

クルマには珍しいイエローゴールドのスタートボタンを押してエンジンを掛けると、野太い排気音が響き渡る。

アクセルペダルを踏み込んでいくと、エンジンのパワフルさとボディの軽さが相乗されて、感覚以上に加速していく。路上を支配する速さだ。

コーナーの手前でアクセルペダルを緩めると、マフラーから“パンッ、パンッ”という威勢のいい音が吐き出されるのは、ちょっと気恥ずかしい。

軽いことと併せた強靭さというアルミの恩恵は走行中にとても大きい。路面の荒れた部分を通過する際でも、ショックが大きいだろうと身構えてしまうがそれは杞憂に終わった。

ショックはサスペンションが柔らかく吸収してくれるからだ。

速さと排気音だけに気を取られてしまうと、粗野なクルマに思えてしまうが、そうではない。路面をしっかりとつかみながら、柔軟にコントロールしている。

それはコーナーでも変わらない。しなやかに向きを変え始め、適度にロールしながら旋回し、出口では豹の後ろ足が伸びていくように加速していく。

以前から、ジャガーのサスペンションは「ネコ足」と喩えられていたが、Fタイプもまた21世紀のネコ足を備えている。

インテリジェントな走り方が似合うV6モデル「Sクーペ」

続いて、3.0リッターV6スーパーチャージドエンジンを積むFタイプ Sクーペに乗った。Rほどのパワーはないが、それでも380馬力もある。

Rの20インチに対して、19インチという小さなタイヤを履くこともあって、柔軟な身のこなしはR譲りだが、走りは繊細だ。コーナーを探りながら抜けていくような、インテリジェントな走り方はこちらの方がふさわしい。排気音も小さいし。

コンバーチブルは風と一体感が気持ち良かったが、クーペはクルマとの一体感が楽しみの本質になっている。

FタイプはEタイプのスピリットをしっかり受け継いだ

性能を追求したという開発陣の狙いは達成されていて、FタイプクーペはXKとは違ったピュアスポーツ路線を進んでいる。だが、血は争えないもので走りにはジャガーらしさがたっぷりと盛り込まれている。リアルタイムでEタイプを体験していなくても十分に楽しむことができるだろう。FタイプはEタイプのスピリットを受け継いだ最新のピュアスポーツカーだ。

[レポート：金子浩久／Photo：小林岳夫]

JAGUAR F-TYPE R COUPE[V8]　主要諸元

全長x全幅x全高：4470x1925x1315mm／ホイールベース：2620mm／車両重量：1810kg／乗車定員：2名／エンジン種類：V8 DOHC スーパーチャージャー付 ガソリン 直噴エンジン／最高出力：550ps(405kW)/6500rpm／最大トルク：680N･m/3500rpm／トランスミッション：電子制御8速AT／燃料消費率：8.1km/L[JC08モード]／タイヤサイズ：(前)255/35ZR20(後)295/30ZR20／車両本体価格：12,860,000円[消費税込]

※試乗・撮影車はオプション装着車

「JAGUAR F-TYPE CONVERTIBLE」PHOTO GALLERY

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