ホンダ「ステップワゴン」の新型と旧型を比較してみた/渡辺陽一郎(3/5)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
走行安定性
ステップワゴンのプラットフォームは、3世代にわたり基本部分を変えていない。なので旧型と共通だ。それでもスライドドアの部分で床面地上高は約390mmと低く、優れた乗降性と併せて低重心化も達成している。
この素性の良いプラットフォームをベースに、新型は旧型に比べてホイールベースを35mm拡大。ボディの骨格にも手が入り、角の部分や接合点を強固に仕上げた。スライドドアやリアゲートなど、歪みの生じやすい開口部も入念に補強している。
これらの効果もあり、5ナンバーサイズを基本にした背の高いミニバンとしては、走行安定性はトップ水準になる。カーブでは、後輪をしっかりと接地させた上で自然な感覚で回り込む。旋回軌跡を拡大させにくい。操舵感にも鈍さはなく、ワゴンのように運転できる。ボディの傾き方はさほど小さくないが、挙動の変化が穏やかに進むため、ドライバーや乗員が不安を感じにくい。新型になって走行安定性はかなり良くなった。
進化度数:7点/10点(大幅に進化した)
乗り心地
旧型の乗り心地は、ミドルサイズの背の高いミニバンとして特に不満はなかったが、少し硬めであった。最も快適だったのは、16インチタイヤを履いたスパーダ。ただし17インチを装着すると硬くなる。標準ボディの15インチも少し粗かった。
それが新型では全般的に快適性を高めている。路面が荒れたところでは少し硬く感じるが、角は丸く、段差を乗り越えた時の突き上げ感も抑えた。
印象が特に変わったのはスパーダの17インチタイヤ装着車で、旧型の硬さを払拭させた。その代わりカーブで外側の前輪が踏ん張る感覚も少し弱まり、旋回性能は16インチタイヤに近づいたが、ミニバンの足まわりとしてはバランスが良い。
新型は標準ボディもスパーダと同サイズの16インチタイヤを履くが、スパーダと違って高剛性ハブベアリングは採用されず、減衰力などの設定も違う。それでも乗り心地は優れた部類だが、スパーダは適度な引き締まり感があって粗さも抑え、走行安定性を含めてバランスが良い。購入時には乗り比べると良いだろう。
進化度数:6点/10点(大幅に進化した)
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