日本にない日本車「欧州シビック」(2/3)
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:桃田健史/本田技研工業株式会社
ホンダが「欧州シビック」に求めたモノとは?
ホンダが「欧州シビック」を企画したのは2002~2003年頃。
当時、世界市場は、これまで定番だった日米欧の三大市場に加えて、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)等の新興国市場が急速に大きくなり始めようとしていた。
ホンダの北米市場における2大看板は「シビック」と「アコード」。その流れを、ホンダブランドをまだよく知らないBRICsのユーザーにも持ち込もうとしていた。
そうしたなかで、課題となったのが欧州だ。欧州はCセグメントの激戦区。またDセグメントなど中大型車には、欧州車ヒエラルキー(絶対的な秩序)が存在する。
つまり、メルセデス、BMW、VW、アウディ等、ドイツ車の存在感が大きい。そこに、欧州内での使い勝手に長けたフランス車と、エモーショナルなイタリア車がいる。そのなかでホンダの存在感は小さい。そうした市場図式をどうやって切り崩すのかが課題だった。
そうして考え出されたのが、スポーティ性を全面に押し出した欧州専用の「シビック」だった。これは、アジア圏での戦略車「シティ(旧フィットアリア)」などと対象な存在だ。
ホンダは1960年代のマン島TT、F1への参戦を皮切りに、欧州で長年に渡り「レーシングスピリッツ」を企業イメージに据えてきた。その流れを欧州で維持、拡張することでホンダの存在感をアピールしようした。
そして生まれたのが、欧州で人気の3ドアハッチバックのイメージの5ドアハッチバック車。前衛的なボディシェイプに、リアドアのヒンジをドア上後部に埋め込んだ。
新型「欧州シビック」のエンジンラインアップは3つ。
1.4リッターガソリンエンジン([最大出力]100ps@6,000rpm、[最大トルク]127Nm@4,800rpm)、1.8リッターガソリンエンジン([最大出力]142ps@6500rpm、[最大トルク]174Nm/4300rpm)、さらに欧州での必需品であるディーゼルは2.2リッターエンジン([最大出力]150ps@4000rpm、[最大トルク]350Nm@2000~2750rpm)だ。
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