ホンダ 新型シビック 試乗|一度は消えたグローバルカー”CIVIC”が突如国内復活! ホンダの真意とは(1/2)
- 筆者: 大谷 達也
- カメラマン:和田 清志
ホンダが10代目シビックの日本復活に踏み切った理由
ホンダ シビックが復活しました。2010年、ホンダは「リーマンショックの影響」と「セダン市場の縮小」を理由にシビックの国内販売を中止。スポーティなタイプRを限定販売したのを除くと、この6年間ほど国内市場は「シビック不在」の状態が続いていました。それが10代目のデビューに伴って、2017年9月に日本での販売を再開したというわけです。
では、なぜホンダはシビックの復活に踏み切ったのでしょうか?
1972年に初代がデビューしたシビックは、もともと2輪車メーカーとして誕生したホンダが本格的な4輪メーカーへと生まれ変わる転機となった重要なモデルです。先代の9代目シビックも日本では販売されなかっただけで、欧米などでは販売を継続。ホンダが4輪車生産通算1億台(!)を達成した2016年の段階でも、そのおよそ1/4にあたる2400万台はシビックで占められていました。
それだけに、ホンダ社内のシビックに対する思い入れは強く、販売再開を期待する声は強かったといいます。正直、一度市場から姿を消したモデルを同じ名前のまま復活させるのは自動車メーカーにとって、相当勇気が要ることです。それを実現させたということは、それだけホンダにとってシビックが大切であると同時に、彼らが新型の仕上がりに自信を持っている証拠といえるでしょう。
新型シビックは「セダン」「ハッチバック」「タイプR」の3種類
今回、日本で発売になったのはセダン、ハッチバック、そしてハッチバックボディに320psの2.0リッターVTECターボエンジンを積んだタイプRの3タイプ。セダンとハッチバックに積まれるエンジンは、微妙にスペックが異なるものの、基本は同じ直列4気筒1.5リッターVTECターボで、ギアボックスはセダンがCVTと呼ばれるオートマチックのみ、ハッチバックはCVTと6速マニュアルの2タイプから選べます。
なお、シビックタイプRは今回の試乗会には用意されていませんでしたが、私は以前、そのプロトタイプに研究所のテストコースで試乗したことがあります。ごくごく短時間でしたが、これまでのタイプRとは違ってドイツ車的な骨太でふところの深いスポーツモデルに仕上がっているのが印象的でした。また、テストコースという限定的な環境で試乗した範囲でも、先代のタイプRより市街地での乗り心地が良さそうなことが推測できたので、機会を改めてじっくりとテストをしたいと思っています。
プロポーションに込められたホンダのメッセージ
エクステリアは、セダンのフロントマスクには輝くクロームパーツが使われていたり、ハッチバックに比べるとセダンのテールがやや長めといった違いがありますが、基本的なプロポーションはセダンとハッチバック、どちらも前衛的なクーペスタイルでまとめられています。
これには「シビックは保守的なクルマになってしまったのでは?」という巷の声に対する、ホンダからの強烈なメッセージが込められているそうです。
新デザインでも視界は良好
インテリアも大きく変わりました。
ハンドルの奥に控えたメーターパネルには、3つのエリアに仕切られた新しいデザインが採り入れられています。
また、新型シビックのようにフロントウィンドウが強く寝たクルマで問題になりがちな斜め前方の視界も、フロントウィンドウを両側から支えるAピラーをできるだけ細くすることで改善。私自身も、試乗中にAピラーで視界が邪魔されているとは一切感じませんでした。
充実の安全装備で価格も立派ながら、それを支払う価値のあるクルマ
また、最新モデルらしく先進の安全装備も充実。衝突軽減ブレーキ、渋滞追従機能付きアダプティブクルーズコントロール(前を走るクルマにあわせて自動的に速度を調整する機能)、警告もしくは自動的にハンドル操作を行なって車線逸脱を防ぐ車線維持支援システム、オートハイビームなどを含むホンダセンシングを全モデルに標準装備した点は注目に値します。
価格(消費税込)はセダンが2,650,320円、ハッチバックは2,800,440円と、車格や装備にあわせてなかなか立派になっています。
ところが、実際に試乗して、それだけの価格を支払う価値のあるクルマだと感じました。
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