ドイツ製ハイパフォーマンスクーペ 徹底比較(2/4)

ドイツ製ハイパフォーマンスクーペ 徹底比較
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流麗なスタイルとクワトロの操安性

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アウディが久々に世に送り出した2ドア4シータークーペであるA5の高性能バージョンがS5だ。全長4,635mm、全幅1,855mmというボディは、ロングホイールベース&ショートオーバーハングによる伸びやかなクーペスタイル。近年アウディのアイデンティティであるシングルフレームグリルやLEDのポジションランプなどが、フロントマスクをより印象深く見せている。外観上のA5との違いは、前後バンパーやエアロパーツ、タイヤ&ホイールのサイズ、専用デザインのホイールなど。S5はよりダイナミックなイメージとなっている。

エンジンは、最高出力354ps(260kW)/7,000rpm、最大トルク44.9kgm(440Nm)/3,500rpmを発生する4.2L V8直噴ユニット。前後の基本駆動配分を40:60とした可変トルクスプリット式の最新クワトロシステムを搭載。これを6速ティプトロニックATで操る。低回転域から力強くアクセルペダルを踏んだ瞬間にドンと前に出る感覚が、ハイパフォーマンスをアピール。俊敏なレスポンスと、高性能V8らしいサウンドを響かせつつ、そのままトップエンドまで吹け切るという、大きなドライビング・プレジャーを持つエンジンである。

ハンドリングは、アジリティ(=俊敏性)とスタビリティ(=安定性)の両立を、クワトロシステムという絶大な武器の中で、可変ステアリングギアレシオとともに提供している。ただし、完成度は個人的にはもう一歩。スタビリティは非常に高く、クルマの挙動は安定しているのだが、ステアリングフィールは少々リニアさに欠け、接地感が希薄。とくに、大舵角のときはいいが、微小舵角領域で感じられた。また、アウディ車に共通するブレーキの特性が気になる。ハイスピード領域ではちょうどいいのだが、日常の一般走行では唐突に利きすぎてスムーズな運転を妨げてしまう。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

ストレート6からついにV8へ

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4世代目となるM3。3シリーズのトップモデルとして、これまでよりもさらに多くのパーツを専用設計とし、高剛性を実現し、カーボン製ルーフやアルミパーツを多用した軽量化、低重心化など、非常に本格的な内容となっている。ルックスは、「流麗」な3シリーズクーペに対し、M3は「獰猛」な印象。路上で見てもM3のほうが存在感がある。

6速MTは、横方向のストロークが短く、縦方向が長い設定。節度感があって運転しやすい。クラッチペダルも、これだけのトルクに対応するクラッチなので、圧着力は高いはずだが、操作力は極めて軽い。

新開発の4L V8エンジンは、最高出力420ps/8,300rpm、最大トルク40.8kgm/3,900rpmを発揮。0-100km/h加速は、公表値で4.8秒という高性能ぶりだ。エンジンフィールは、Mモデルらしく高回転型で、7,800rpmからイエロー、8,300rpmからがレッドゾーン。実際、スムーズな吹け上がり具合はまるで青天井。さらに、それなりに排気量が大きく、低回転域でも十分なトルクを発生するので、MTでも乗りやすい。トルクの盛り上がり感とともに、期待どおりの痛快なV8サウンドを奏でる。

なお、このエンジンには、超高回転域に対応できないという理由からか、BMW独自のバルブトロニックは採用されていない。

Mサーボトロニック・パワーステアリングは、従来のアクティブステアリングに見られた人工的な違和感はかなり薄れ、アジリティ(=俊敏性)を適度に味わえる。このあたりは後輪駆動であることに加え、いち早く可変ステアリングレシオを手がけたBMWにアドバンテージがあるのだろう。反面、スタビリティが高いため、Mらしい刺激が薄れて面白味に欠けると評する人もいるが、現代のハイパフォーマンスカーの王道をいく1台として、これがあるべき姿だと思う。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

ピュアスポーツぶりは911をもしのぐ

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ケイマンはボクスターの屋根つきクーペバージョンという位置付けだが、雰囲気がずいぶん違って感じられる気がする。ミッドシップにつき前後のバランスもよく、ボディサイズが小さく、それでいて、どこから見てもポルシェである。獲物を狙う動物のようにも見え、911よりスポーティな印象すらある。

ケイマンSは、スタンダードのケイマンに対して、エンジン、ブレーキ、足まわりなどが違う。

まず、エンジンが大幅にパワフルである。911と同様にバリオカム・プラスが採用され、最高出力295ps(217kW)&340Nmのパワー&トルクを発生する。0-100km/h加速は5.4秒と、今回の中では数値面での動力性能では下回るが、非常にピックアップに優れ、吹け上がりもスムーズであり、高性能エンジンらしい味わいはある。ただし、フィーリングはいわゆる官能的なものはなく、どちらかというと踏んだら踏んだ分だけ、期待どおり機械的にトルクを発生する。

エンジンがこれだけ乗員と近いところに搭載されていながら、騒音や振動は問題なく拭い去られている。加えて、乗員にちゃんとドライビングプレジャーを感じさせるサウンドの演出もある。そのあたりのチューニングは実に見事である。

フットワークは素晴らしい。ステアリングを切り込んだときに意のままにクルマが向きを変える感覚に、このクルマを上まわる境地は今のところ思い浮かばない。さらに、路面の凹凸をしなやかにいなし、接地性がまったく損なわれず、しかも乗り心地は良く、直進安定性にも優れている。

スポーツモードは、スロットル開度が上がり足まわりも固くなるという設定。すべてが極めてリニアで、車重もほかの2台に比べて軽量。全体として、走りの洗練度・完成度の高さに、大いに感心させられた。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤラゲッジ

デザイン・スペックの総評

今回取り上げた3台について、ベースモデルとの価格差を考えると、見た目の満足感よりも、走りのアドバンテージがそれなりにないと、ユーザーは納得しないはずだ。この3台は、エンジン~パワートレインなどの基本パッケージがかなり異なる。走りの印象も、それにあわせて性格付けされている。

S5とM3は、同じくV8エンジンを搭載し、ステアリング機構を工夫するなど、似たような進化の過程をたどっている。比較的コンパクトな車体に強力なV8エンジンという組み合わせは、確かに乗っていて楽しい。しかし、そこであらためてケイマンSに乗ると、素性のよさに感心させられるのだ。動力性能では劣るが、ハンドルからタイヤまでが一本でつながっているというステアリングの剛性感、一体感あるハンドリングなど、ケイマンSは素晴らしい。S5やM3は違う手法でアジリティを出そうとしているが、結局、本当のアジリティを持っているのは、ケイマンだと思う。これはクルマとしての基本的なレイアウトに起因する部分なので、いたしかたない話ではあるが…。

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

MOTA編集部
監修者MOTA編集部

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