BMW X6M 海外試乗レポート/河村康彦 編(1/3)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:ビー・エム・ダブリュー株式会社
”M”の心臓を搭載したX6の登場
初代X5の誕生時からたびたび噂はあったものの、結局のところ今になるまで世に姿を現す事のなかったのが「Mの手掛けたSUV」。
高回転・高出力型エンジンとMT、もしくはそれをベースとした2ペダル式トランスミッションの組み合わせをメイン・キャラクターとしてきた『Mバッジ』のモデルにとって、二の足を踏んだのはマーケティング戦略上からも当然ではあったかも知れない。
同時に、X5が「アメリカ工場専用車種」という事も、リリースが遅れた理由には多分に関係があったと推測出来る。
開発拠点がドイツで、生産の現場がアメリカとなれば、幾多の障害が発生する事は想像に難くないからだ。
というわけで、2代目モデルをベースにようやく誕生したX5のMバージョンは、“SAC”(=Sports Activity Coupe)なる新たなカテゴライズを謳うX6の同バージョンと同時にデビュー。
「各国からのゲスト間で取り合いにならないように」という親心(?)から、敢えてテスト車をX6に限定したという国際試乗会の舞台は、そんなX5/X6の生産工場にもほど近いアメリカ南東部の都市、アトランタ近郊に設定された。
大開口を持つフロントマスクを採用し、ファットなシューズを装着。さらに、リアビューは“クワッドパイプ”で高出力エンジンの搭載をアピールする・・・と、ベース車両に対してよりダイナミックな印象を強めたX6Mのルックス。
そんなモデルの一番の売り物が、「そのエンジンにある」というのはこれまでの“M”の文法通り。
ただし、「M5/M6の10気筒も物理的には搭載可能だが、それではフロントヘビーの傾向が強まるし、“高回転・高出力型”というこちらのエンジンの特性は、X5/X6のキャラクターには似合わない」のがV8ツインターボという形式を採用した最大の理由であるという。
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