BMW X6M 海外試乗レポート/河村康彦 編(3/3)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:ビー・エム・ダブリュー株式会社
こういったモデルから、新技術は生み出される
こうした強力無比なパワーパックの搭載に対応して、フットワークの強化も当然行われている。電子制御の可変減衰力ダンパー付き強化サスペンションに、同じく電子制御を行うリアのヨーコントロール・システム、そして大容量のブレーキ・システムやアクティブ・スタビライザーなどはいずれも標準のアイテム。
実際、走りのチェック用に設定されたサーキットコースを駆け巡ってみると、限界の8割程度のペースまでは全く完璧な“オン・ザ・レール”の感覚で、この巨体を振り回す事が出来た。
そんな一方、「残りの2割」の領域にまで踏み込むと、やはりそこでは重く、背が高いというパッケージング上のハンディキャップを意識せざるを得ない面もあったのは事実。
コーナーを追い込めば強いアンダーステアが姿を覗かせるし、遠慮のないペースで走り回っていると、さしもの強化されたブレーキもやはりフェード気味になる・・・という具合にだ。
今の時代、こんなモデルに一体どんな価値があるのか?とそんな意見もあるかも知れない。が、こうした「特別なモデル」であるゆえに、そこではある程度自由にコストを掛けて、最新技術に挑戦出来るといった面があるのも確かだろう。
そして、そんなところから実用化された新技術は、いずれよりポピュラーなモデルにも普及し、大きな省エネ効果やさらなる安全性向上に威力を発揮するというストーリーを描く事が出来る。
現在の“M車”のようなモデルは、そんな新技術の開拓者としての役割をも担っているというわけだ。
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