BMW 新型電気自動車「i3」(アイスリー) 国内試乗レポート/今井優杏(4/4)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:ビーエムダブリュー
発電機能が付与され、航続可能距離がグッと伸びた
さて、BMW i3といえば、レンジエクステンダー搭載モデルが選べるのもトピックスである。
レンジエクステンダーというのは読んで字のごとく、レンジ=航続をエクステンダー=伸ばすモノ。発電専用の小さなガソリンエンジンを搭載し、その電力を走行に使えるというもの(充電量を増やすものではない)。
i3のJC08モード航続距離は1回の満充電から130~160kmの走行が可能……と説明されているが、実はきっともっと少ないと思う。その理由は先述の『最初からズバッと出る極太トルク』の仕業にある。とにかく踏まない限りスピードは出ないし、何より踏むと楽しいので、わりと意図的に余計に踏み足してしまうのだ。結果、あっという間に充電が減ってしまうということは容易に想像できる(というか他メーカーのEVも多分にこの傾向にある)。また、冬場の暖房は“電費”の敵でもあり、寒いからとガンガン車内を暖めていたら、あっというまに充電が減る。
EVは出先で充電がなくなるのが一番怖い。
i3は日本国内の急速充電CHAdeMOに対応しているので、いざとなれば30分で80%まで充電が可能。しかし、充電インフラが豊富な屋久島のようなちいさな島ならともかく、本州で急速充電ポートを備える場所はまだ豊富とは言えないのが現状だ。そういうときの保険として、少なくなった充電分をエンジンの動力で賄ってくれるレンジエクステンダー付きを選ぶ人は多いはずだが、2気筒のスクーター用エンジンであるi3のレンジエクステンダーを作動させてみると、意外なほど車内にエンジン音が入る。
エンジン自体が温まって来るとその音も小さくなるのだが、特にこちらも後席の乗員にはちょっと気になるかもしれない。もっとも、オーディオを楽しんでいればそれほど神経質になるほどのものではない。
エコ視点にファッショナブルさをも兼ね備えた究極の都市型EV
これからまさにデリバリーが始まるi3、EVならではのデメリットはあるし運転席以外の快適さなどちょっと疑問に思う部分もなくはないのだが、もし自宅が充電ポートを取り付けられる持ち家だったとしたら、個人的には購入を前向きに検討してしまうくらいの商品力は充分に持っていると思った。ま、ありていに言えば欲しいと感じたってことだ。
すでにアナウンスされている通り、エコロジカルな観点から作られた優しい内装(特に成長が早いというオリーブの樹を使ったウッドトリムのヤツ!)なんてデザインとして相当に完成度が高いし、なんといってもEVでありながらオシャレ、ファッション性が高いところにくすぐられる。BMWのプレミアム電気自動車という高いブランド力も、環境への感度の高い都会の人々には大いに歓迎されそうだ。
[レポート:今井優杏]
「BMW i3 レンジエクステンダー装備車」 主要諸元
全長x全高x全幅:4010x1775x1550mm/ホイールベース:2570mm/車両重量:1390kg/駆動方式:後輪駆動/乗車定員:4名/ドア数:5ドア/ステアリングホイール位置:右/駆動用バッテリー:リチウムイオン電池/総電力量:18.8kWh/電気モーター最高出力:170ps(125kW)/電気モーター最大トルク:25.5kg・m(250N・m)/エンジン総排気量:647cc/エンジン種類:2気筒・4バルブ/エンジン最高出力:34ps(25kW)/4300rpm/エンジン最大トルク:5.6kg・m(55N・m)/4300rpm/タイヤサイズ:(フロント)155/70R19・(リア)175/60R19/車両本体価格:546.0万円[消費税8%込み]
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