BMW 5シリーズ 試乗レポート
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:原田淳
8年ぶりのフルモデルチェンジを行った5シリーズ
下に3、上に7シリーズという兄弟に挟まれたご存知BMWの中堅セダンが5シリーズ。欧州では2003年の発売以来好調なセールスを記録し続け日本でもその姿をチラホラと見掛けるようになり始めた現在のモデルは、「先代の登場から8年ぶりのフルモデルチェンジを行った5シリーズ」と言う事にもなる。
新5シリーズのスタイリングは、ご覧のように歴代モデルの中でも最もスポーティで躍動感の強いイメージが特徴。“切れ長”のフロントライトやサイドへと回り込んだテールレンズの採用など、そのデザインは最新のBMW車の例に漏れず「好みが大きく別れそう」なものだ。それでも7シリーズやZ4などに比べればまだ“常識的”という印象。このところのBMWデザインはとにかく個性的で独創的であるのがポイントなのだ。ボディ・3サイズは4855×1845×1470mm。先代に比べると全長で70mm弱、全幅で50mmほど大きくなった。
ボディ・フロントセクションをフルアルミの構造とした“ハイブリッド・ボディ”
“走り”に関しては定評のあるBMW車も、全般にサイズの割には重量が大きめであることがひとつのウイークポイントだった。そんな反省に基づいてか、最近デビューのモデルたちはいずれも積極的な軽量化策を採るのが特徴。中でも新しい5シリーズは最も先鋭的な内容の持ち主。ボディ・フロントセクションをフルアルミの構造とした“ハイブリッド・ボディ”を採用することで、BMWが追い続ける「理想的な前後重量配分」に留意しながらも大幅な軽量化を実現させているのだ。
具体的にはAピラー以前の部分のボディシェルをアルミ化することで、オールスチール・ボディの場合に比べて40kg近い軽量化を実現出来たとBMWは試算。さらに、低速時のステアリング操作量を大幅低減させるアクティブ・ステアリングやパンク後も一定距離の走行を可能とするランフラット・タイヤなど、ライバルたちに差をつける先進アイテムを積極採用することもこのクルマの大きな特徴と言える。
BMW車のそれらしく、いかにもスポーティな印象が強い
新型5シリーズの走りのテイストは、さすがはBMW車のそれらしく、いかにもスポーティな印象が強い。このクルマのステアリングを握ると、例えセダンであっても「BMWはドライバーズ・シートこそが特等席」と言う事を改めて教えられる思いだ。
アクティブ・ステアリングは車庫入れ時を筆頭に、低速時のステアリング操作量を驚くほど軽減してくれる。一方で、冷間時のフリクション感が大きいなど、違和感を抱く人も少なくなさそう。
“減量”の甲斐あって1・5トン台に収まった重量や6速ATの採用が効き、動力性能に不満はない。もちろん、珠玉のように滑らかでパワフルなエンジン・フィールも、そんな好印象を盛り上げる大きな要因であることは言うまでもない。ボディの剛性感は高いが、低速時の路面凹凸に対する上下Gはやや強めの印象。ここが気になるならば、敢えてランフラットではなく普通のタイヤを履いた『525i』に目を向けるのも賢いかも知れない。
自分でステアリングを握りたい――高級セダン
一時は最大のライバルたるメルセデス・ベンツのEクラスと接近したキャラクターを競いあった5シリーズ。が、新型となってそんな路線とは訣別した雰囲気が明確になっている。乗る人全てに平等な安心感や快適性を提供しようというEクラスに対し、あくまでも「ドライバーに心地良さを感じて貰うこと」を主眼に開発されたというのが新しい5シリーズを見て、乗って感じる印象。総合バランスではメルセデス・ベンツに一歩先行を許すが、個性や独創性というプレミアム感では絶対に負けない――今度の5シリーズにも、このところのBMW車に共通のそんな雰囲気がひしひしと感じられる。
後席に踏ん反りかえって出来るだけ楽をしながら移動をしたい、と、そんな事を考える人にこのクルマはオススメ出来ない。高級セダンとは言ってもとにかく自分でステアリングを握りたい――そう思える人こそに推薦したくなる高級セダンがこのモデルなのだ。
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