このサイズにして、スポーツカーみたいに良く走る!? ベントレー ベンテイガ試乗レポート
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:和田清志
こんな巨体の中から、魔力に満ちた抜群の走り
意外な盲点に、乗り出してから気づいた。
なんと、こんなナリして走りが抜群なのだ。
ベントレー ベンテイガである。
嘘だと思うでしょ。私も、んなわけないと思っていた。だって5,150×1,995×1,755の弩級グラマラスボディですよ。世にいくつかの例外こそあれ(ex:機敏なデブ、とか)、巨体は愚鈍っていうイメージって、どうしても払拭できないもの。実際、レーシングカーなんて速さのために軽量化してますし。
しかし、忘れてはいけない。2.5トンを超える重量であっても、その心臓部に搭載されたエンジンはツインターボチャージドを施された6リッターW12気筒!!なのだ。W12気筒。キーボードを叩く指が一瞬迷うくらいの字面である。
そう、妖怪じみた見た目には(すみません)、妖怪じみたエンジンがきっちり搭載されている。そしてそこから繰り出される走行フィールは、間違いなく魔力に満ちていたのである。
腹の底から闘志がメラメラと湧き上がるみたいな鬼スペック
もう写真だけで説得力ありすぎて、言うまでもないとは思うけれども改めて少しプロフィールに触れておきたい。
ベンテイガは昨年(2016年)日本にも導入されたベントレー初のSUVモデルだ。先述の通り5,150×1,995×1,755の全長×全幅×全高に重量は2,350kg。
6リッターW12気筒ツインターボエンジンを搭載し、608psを5,250-6,000rpmで発生させる最高出力で、最大トルクは900Nmを1,250-4,500rpmという低いエリアから発生させる。トランスミッションはZF製の8AT。
・・・なんか書き綴っているだけで腹の底から闘志がメラメラと湧き上がるみたいな鬼スペックである。お値段2,695万円・・・なんともため息の出るシロモノだ。
先進とクラシックの融合
特筆すべきは絢爛豪華な内装である。
重厚なドアを開けたら、まあその瞬間からなけなしの姫気分がスパークしちゃうくらいの陶酔系。こちらもベントレーらしいクラシカルな手法を多用し、見るものを圧倒的な完成度の世界観へ誘ってくれる。
シートにはシャネルかエルメスかってくらいの凝ったレザーワークが施されているのだが、それだけでなく、ダッシュボードやドアの内張りまですべてをレザーで覆い、随所に木目の美しいウッドパネルをはめ込んだ応接間仕様。そこにお得意のメタルパーツを時折効かせ、クラシックカーのような時代錯誤感をあえて差し込んでいる。
反面、センターディスプレイとメーターパネル内の真ん中部分はデジタル化され、こちらは先進技術を積極的に採用した。Apple CarPlayにも対応しているため、自身のiPhoneとシンクロさせることも可能だし、メーターパネルにナビの地図を表示させることも出来る。使用感という部分において、クラシック風味はひとつも匂わせないところにギャップ萌えである。
ネオクラシックというのは時代のトレンドで、今、世界中で旧車が高騰し大ブームを巻き起こしているのだが、ベントレーは先進とクラシックの融合を手がけさせたら抜群に上手だ。
このボディサイズで、なんと軽々と身を動かすことか
そんな“陸クルーザー”的風貌なので、アクセルの踏み込みにはやや慎重になってしまった。なにしろ2.5トン越えなのだから、きっと最初はもったりと滑り出すクセに、突然ある領域からどっかんとトルクが生まれて振り回されるんだろうな、と想像しちゃったからである。
しかし、ZF製8速ATとトルクの制御は、そんなヤワな先入観を心地よいくらいに裏切るいい出来だったのだ。
踏み始めからなんのタイムラグもモタつきもショックもなく、スロットル開度に合わせてスルッと車体が動きだす。むろん、油断して強く踏み込んでしまえば身体がシートに押し付けられるほどのGを発生させるのだけど、超低速域の扱いはかなり優しいものだ。いや、なんども言うけどこのボディサイズで、ですよ。なんと軽々と身を動かすことか。その優雅さをまったく破綻させずにするすると滑り出しを見せる、その手腕に惚れ惚れしてしまう。
さらに言うならタイヤのキレ角がしっかり確保されていて、駐車場などの取り回しでも思った以上の小回りを見せるのだからこちらもすごい。
一般道では高い静粛性に加え、完全にフラットに保たれたキャビンが約束されている。踏み込めばW12気筒の勇ましいエンジン音が車内にもたらされるけれど、巡航中はただペダルに足をそっと乗せているだけで存分な速度をキープするから、その咆哮を聴く機会すらままならないほどだ。
弩級のスペックを誇っていながら、燃費はさほど劣悪ではない。エコドライブを心がけてもいないような一般道試乗中だというのに、アベレージはなんと、11km/Lあたりを指し示していた。
このW12気筒エンジン、低負荷時には片側半分を気筒休止したり、アイドリングストップ機能が付いていたりするうえに、下り坂やアクセルペダルから足を離すと自動的にエンジンがアイドリング状態になるというコースティング走行も盛り込まれていて、環境性能においてもきっちりカバーしている。むろん、それらの制御に切り替わる時の違和感は皆無。アイドリングストップだけ、始動時にやや振動を感じる程度だ。
まるでスポーツカーをドライブしているがごときコーナリング
しかし、ベンテイガの実力はそんなもんじゃなかった。実は一番感激したのは、ワインディングにおいての走破製の高さだったのだ。
そしてそれは608psという多大なる出力をもっての登坂能力に止まらない。もちろん1,250rpmから発生されるトルクは登坂においても頼り甲斐のあるもので、どんなに車速を落としてもその速度域からきっちり再加速をしてくれるために継ぎ目のないコーナリングを楽しめる、というものではあったのだけど(そしてソレがないと以降に述べる楽しさも半減するものではあるのだけど)、最も感動したのはサスペンションの粘りと電子サスペンションの制御の妙であった。
試乗車にはエアサスペンションとアダプティブダンパーが装着されていたのだが、このエアサスがエアサスにありがちのフラフラ感を微塵も感じさせず、しっかりとロールを程よく抑え、アダプティブダンパーとの組み合わせで並外れたエンジンパワーをしっかりと路面に伝達しつつキャビンをフラットに保つ、という離れ業を見せつけてくれたのだ。
よって、この巨体をしてまるでスポーツカーをドライブしているがごときコーナリングを体感できる。
このルックスだから、腰高感がないと言えば嘘になる。しかし、その辺のヤワなセダンよりも数倍スポーティーなワインディング性能を発揮してくれたのは本当の話。あんまり楽しいから、ついオーバースピード気味にコーナーに侵入してしまったとしても、アシ側が勝手に帳尻を合わせてターンアウトまで運んでくれる、そんなイメージだったのだ。ああ、こういうことこそを包容力というのかもしれない。
超いい。めっちゃいい。お財布に余裕があれば絶対欲しい。が、問題は超人気ですぐに完売してしまう、という驚異の争奪戦がすでに勃発しているという事実!先立つ物って、あるところにはあるんですよね(遠い目)。
[レポート:今井優杏/Photo:和田清志]
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