アウディ Q7 試乗レポート
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:原田淳
時代のニーズや流行にフレキシブルに対応するQ7
自身にとって初めての大型高性能SUV――アウディ自らがこのように紹介し、クワトロ・システムを連想させる“Q”の記号とフラッグシップ・セダンであるA8に次ぐ“7”という数字を組み合わせたネーミングもそんなキャラクターをアピールするのが、2005年のフランクフルト・モーターショーで発表され、1年強の時を経て日本上陸となった『Q7』だ。
アウディ自身は「オリジナルの開発」を主張するものの、その組み立てはフォルクワーゲン トゥアレグやポルシェ カイエン(のボディ部分の生産)と同一の工場で行われる。そうした事から、そこに採用される様々なコンポーネンツに関しては、それらの車種との色濃い“血縁関係”も考えられるのがこのモデルでもある。
ちなみに、前述の工場が位置するのは東欧スロバキア。ここの工場でトゥアレグとカイエンは同ラインでの生産が行われ、Q7はそれとは別の専用ラインで生産される事になるのだ。
“泥臭さ”を感じさせないアウディらしいSUV
フロントグリルからスタートしたデザイン――そんなデザイナーの声がすんなりと納得出来てしまうのが、まずはそのフロントマスクにこそ最大の特徴が感じられるQ7のルックスだ。垂直近くまで立った最新のアウディ車に共通の大きな“シングルフレーム・グリル”は、高くて水平に近いボンネットフード、薄いヘッドライトなどと共に、Q7ならではの表情を例え100mの遠方からでもしっかりと主張する。
一方リアビューは、プレーンな面処理でA4やA6アバントなどとの共通性をアピール。ユニークなのはサイドの造形で、ベルトラインを高い位置に走らせウインドウ部分の厚み感は抑えた事で、多くのSUVに共通するワイルドな雰囲気よりも、ステーションワゴン的なスマートさを放つ事が特徴。
あくまでも上質で“セダンライク”なデザインのインテリアと共にこうして「オフロード車的な雰囲気を徹底的に排除した事」が、このクルマのエクステリア/インテリア最大の特徴と言っても良さそうだ。例えSUVであっても“泥臭さ”を感じさせないのが、アウディの流儀というわけなのである。
ゴージャスかつ余裕タップリな走り
3.6リッターのV6モデルも販売するアメリカや、3リッターのV6ディーゼル・モデルも設定するヨーロッパに対し、日本仕様が搭載するのは4.2リッターのV8エンジンのみ。すなわちそれは、グローバル・マーケットに向けて用意をされた中での最上級のモデルという事になる。
徹底して押し出し感の強い巨大なボディと共に、こうして高出力エンジンを搭載した豪華装備を満載の仕様に特化する事で、日本では「圧倒的な高付加価値を備えたモデルである事を最大限にアピールしよう」というアウディの狙いが明らかだ。実際、前述のような仕様の持ち主である“日本のQ7”の走りの印象は、良くも悪くも際立ってゴージャスで、かつどんなシーンでも余裕タップリ。
2.3トンと超重量級でありながらも――さすがに「軽快」とは言いかねるものの――常用域ではそれをさほど感じさせない加速感を味わわせてくれるのは特筆事項。2列目シートを前寄りにセットすれば、3列全てのポジションで大人が何とかさほどの無理なく座る事の出来る居住性の持ち主である事も付け加えておこう。
“エクスクルーシブ=排他的”な魅力
率直なところ、全長が5mを大きくオーバーし、全幅も殆ど2mというQ7のボディサイズは、日本では「ナンボ何でも大き過ぎる」という印象を否めないものだ。6mに達する全長のピックアップが珍しくなく走り回り、車線幅も広く駐車のための白枠スペースも大きなアメリカのようなゆとりのインフラは、残念ながら日本には用意をされていないのだ。
前輪切れ角が意外に大きく、それゆえ覚悟をしていたよりも小回り性は悪くない印象は受けるものの、今度はそこでは3mというホイールベースが生み出す内輪差が気になってくる。すなわち、快適に走れるルート、ゆとりで駐められる場所が限定されるのは、このクルマに乗るにあたっては避けられないという事だ。
一方で、そんな少々エクスクルーシブ=排他的な雰囲気がまたこのクルマならではの魅力のポイント、という意見にも頷けてしまう。1000万円級という価格ゆえにそれが販売台数を制約するひとつの“リミッター”的な役割を果たしそうである点も、実際に手を入れたユーザーにはむしろ歓迎される事柄かも知れない。
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